D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第三十四章

みんな見慣れ!

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 前半が終了しロッカールームへ引き上げていく選手達の顔色は、お世辞にも明るいものではなかった。それでも俺やザックコーチは何名かに声をかけ、励ましてから見送る。
「こういう時に一緒に中へ入ってすぐ話せないのは、少し不利だと思いますね」
 いつも通りドアの脇に立ち、ザックコーチにそう話しかける。男の俺は選手達の着替えが終わるまで待たねばならないのだが、もし身支度の最中に言い合いなどが発生しても介入できないのだ。
「そうか? ショーキチ監督なら一緒に入っても角が立たないと思うがなあ。俺と違って」
 ミノタウロスのフィジカルコーチはそう言いながら頭部の角を撫でる。余談だが彼の角は常に立っている。
「はあ。まあ何かあっても、ナリンさんやニャイアーコーチが介入してくれるでしょうが」
 議論が残る部分はそのままにして、俺は中の様子を想像する。前半に先制しておきながら逆転された直後のハーフタイムだ。ウチのエルフ達の性格的に、失点シーンについて責任の擦り合いになったりはしないだろうが軽い言い争い位はあるかもしれない。
 コーチ陣の手を煩わせることが無ければ良いのだが……。
「おーい! 入っても良いぞ!」
 と、俺がさりげなく除外したジノリコーチの声が中から聞こえた。
「早いな?」
「早いですね?」
 サッカードウ選手とは言えみんな女の子だぞ? こんなに素早く終わるものか? ザックコーチと俺は顔を見合わせつつ、いつもより早い呼びかけに応じて更衣室のドアを開けた。

「「じゃじゃーん!」」
「わっ! 着替え終わってないじゃないですか!?」
 中へ入った俺の目に入ったのは、上半身下着姿でポーズをとる何名かのエルフ達の姿だった。
「いやこれバーバリアン・クラインだぜ?」
「エッチな目で見るからエッチに見えるんですよっ? プロデューサーさん!」
「だからショーも馴れるようにもっとルック!」
 ティアさん、エオンさん、ツンカさんがそう言ってそれぞれにポーズをとる。他にもパリスさんとヨンさんが同様にしている。なるほど、「お姉さん」グループがこれを着用するボリュームゾーンなのか……。
 じゃなくて!
「その必要はありません! 話をするので早く上を着て!」
「そうよ。そもそもそれもスポーツブラだからヤラシくないし」
 俺が叫ぶとリーシャさんも呆れたように呟いた。彼女のスポブラエッチじゃない論はブレないな。俺はもはや尊敬の念すら感じ始めたぞ。
「おほん! 何にせよ、皆さんがそれほど落ち込んでないようで安心しました。ただ俺が見せて欲しいのはボディではなくソウルです! アローズは最後まで諦めたりしない、強い心を持っているということを後半のピッチで示しましょう! それができれば、結果として負けても、俺は皆さんを誇りに思います。じゃあキャプテン」
 この時間では細かい指示は出せないし変な茶々を入れられても困る。俺は気合いを入れる言葉だけかけると、部屋の中央をダリオさんへ譲った。
「ショウキチ監督はああ、仰っていますが……みなさん覚えていますか? 負ければセンシャですよ?」
 はい、忘れていました! この世界のサッカードウの試合では、負けたチームは勝ったチームの馬車を洗う「センシャ」という儀式があるって事を!
「ソウルを見せたら負けても良い、と言うことはつまり、監督は私たちの根性を見て更にセンシャで水着姿も見たいと思っているのです!」
「いやちが……」
「まあ! 欲しがりさんですわね!」
「欲深いヨー!」
 俺の否定をかき消すように、ガニアさんやタッキさんまでが合いの手を入れる。
「3、2、1、『貪欲に!』で行きましょう! 3、2、1……」
「「貪欲に!!」」
 ダリオさんのスピーチに従って最後だけ聞くと如何にもそれらしい、しかし流れの上では特定個人に極めて不名誉なかけ声を唱和し、選手達は一斉に外へ駆け出した。
「目の肥えたフェリダエの観客とショーキチ殿が満足するモノを見せるのよ!」
 ナリンさんもそんな声をかけて、一緒に出て行く。こちらも表向きはまともだが、裏にかなり含みがある発言だ。
「ナリンさんも毎回拾わなくて良いんですよ!」
 俺は彼女の背中にそう呼びかけるが、当然の如く届く事はない。俺は諦めてジノリ台へ手を伸ばす。これがここにあって使用された形跡があるという事は、着替えの最中にジノリコーチから戦術的なアドバイスがなされたという証拠だ。今から俺がジタバタしても仕方ない。
「ショーちゃん! 手伝おうか?」
 そこへ、何時の間に戻ったのかシャマーさんが声をかけてきた。
「あ、ありがとうございます! でも選手に無駄な体力を使わせたらいけないので、結構です」
 俺は首を振ってそれを断る。この為にシャマーさんがわざわざ更衣室へ帰ってくるとは、意外な感じだ。もっとも彼女については、今日はあまり出番が無さそうな流れなので、少しでも役に立とうという考えなのかもしれない。
「そっかー。じゃあこっちが良い?」
 と、そんな事を考える俺の前でドーンエルフは唐突にユニフォームの上をたくし上げ、ズボンの前を少し下ろした!
「なななな! 何なんですか!?」
 当然の如く、シャマーさんの小振りな胸を包むピンクのブラジャーと、同じ色の小さなショーツが目に入り俺は驚いて目を逸らす。
「私はねー、バーバリアン・クライン派じゃないんだよね~」
「それを訊ねた訳じゃないです!」
 確かに見たのは一瞬だが、ほんの一瞬だがあのメーカー特有のグレーではなかったし、格好良いと言うより可愛い系だった気がする。
「えー? じゃあ何が知りたいの~? 裏地の素材とかー?」
「見せなくて良いです!」
 俺は慌てて彼女を止めに入る。確かにお洒落さんはそういう部分にも気を使うらしくカズさんもオーダーメードのスーツを作る際は裏の生地から決めてそうが、俺はそんなタイプではないしシャマーさんは単に胸を露出する方便で言ってるかもしれないからだ!
「あ」
「あー! ちゃんと見てくれたー」
 止めに入った俺と目が合って、シャマーさんはやや照れた様に笑って舌を出した。下を見れば彼女はまだ下着を見せる為に服を広げたポーズのままで、珍しく胸に谷間ができている。たぶん腕で寄せ上げられているからだろう。
「み、見ました……」
 その妖艶な姿に俺は間抜けな言葉を返す。
「皆がアレ系じゃないって事を知って欲しかったんだよねー。あと、この後は見る機会が無いかも知れないしー」
「はい! 見たので、その!」
「はーい! じゃあ行くね、ちゅ!」
 とにかくこの危険な状態を一刻も早く終わらせようと、俺は見た事を繰り返し申告した。そんな俺に軽く口づけすると、シャマーさんはピョンと跳ねるように踵を返して更衣室を出て行く。
「お、恐ろしかった……」
 こちらに下着を見せつけながらキスしてくるエルフの美女に、何も反応せずにいる事は非常に困難なミッションだった。だが俺は何とかそれを成し遂げた。
「ジノリ台……持って行かなきゃ……」
 しかも本来の仕事も忘れなかった。正直、もっと自分を自分で褒めて良いだろう。だがその裏で、俺はシャマーさんがもっと恐ろしい存在である事には、その時は気づけないでいた……。
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