ある日、幼女が弟子にしろと言ってきたのだが

まさ☆まさお

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幼女、野良辞めるってよ

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世界を書き換える?
何そのチート。チートのバーゲンセールなの?モヤッとボールさん大忙しだな。

「ははははは……」

もはや、乾いた笑いしか出ない。

「ところで、けーちゃん?」

あまりの斜め上っぷりに俺が呆れ返っていると、神裂がらしくなく、見た目に相応な声の掛け方をしてきた。

「ん?どうした?」

「靴紐解けてるぞ?」

神裂にそう言われ、足元を見てみると確かに右足のスニーカーの靴紐が解けていた。

「お、すまんな」

俺は教えてくれた神裂に礼を言い、腰を膝を曲げ、腰を下ろして解けた靴紐を結ぶ。

「こちらこそだ」

そこに、神裂が急接近してきたと思ったら、そんなことを言うので顔を上げた。

すると、あら不思議、唇に柔らかな感触が訪れるとともに、耳にチュッと音が聞こえてきた。

「あー!!なにやってるですか!!あいちゃん」

「ん?何って、惚れた男に唇を捧げただけだが?」

瑠依が騒がしく詰め寄るが、神裂はしれっと答える。

「……ねぇ、ちょっとお話しよっか?」

「奇遇だね、風音。あたしもちょっとコイツとお話したい気分だよ」

幼女コンビが騒がしくする中、何故かJCコンビが俺にズリズリと詰め寄ってきた。

……どす黒いオーラを纏いながら。

「ま、待て……。俺は悪くない!!靴紐を結んでいただけだ!!」

「…………」

「な?ほら、見てただろ?靴紐ががががが」

そこで俺の意識は途絶えた。





「決めたぞけーちゃん」

何分ほど意識を失っていたかは知らないが、目を覚ますと目の前には神裂がいて、そう言ってきた。

「ん?何を?」

「私は今この時から、きちんとしていない魔法使いを辞める」

「あ?これから登録すんのか?」

「あぁ。そして、けーちゃんの弟子になるのだ。瑠依も今日から弟子入りしたんだろ?なら、何も問題あるまい」

……いや、待てや。問題しかないわ。

「いや、お前、瑠依より何か知らんが中身大人っぽいから分かってると思うが、俺は男でお前は女の子。俺がなんかするようなロリコンだったらどうすんの?やめとけ。めんどくさいし」

俺は当たり前のように断った。

当たり前でしょ。俺の弟子になる必要なんてないんだから。

「心配するなけーちゃん。わたしはいつでも受け入れるぞ?」

「……バカか」

斜め下の発言がきた。ほんとバカなの?

「ふふっ、バカかも知れんな。何度も何度も暇つぶしをして、魔法を使っていたら、精神だけが妙に成長してしまったし、とんでもない化け物に恋をしてしまったのだから」

何故か神裂は楽しそうに笑う。

「とんでもない化け物とか自己紹介じゃねーの?それこそ」

「むっ、これでもわたしも女なのだ!化け物とか失礼なことを言うな!けーちゃん程の化け物がなんてこと言うか!」

俺の言葉を聞いた神裂は拗ねたような表情を浮かべて、唇を尖らせる。

……いや、君の方が失礼じゃないの?

「ちなみに拒否権はないぞ?さっき、瑠依の奴に瑠依とともだちになりたいから、一緒に弟子になりたいって言ったら、二つ返事で、あいちゃんも一緒にわたしと弟子をやりましょう!!もう、決定です!って言ってたからな」

拗ねてたと思ったら、今度はいたずらっぽく笑う神裂を見て思う。

え?チート幼女2人で勝手に何してくれてるわけ?

「……ところで、ここどこだ?あの2人はおろか、瑠依の姿も見当たらないんだが」

「……今、わたしと話してるのに、他の女の話とかするか普通……」

今度は呆れ顔だった。

「まぁ、いい。けーちゃんが普通である訳がないしな。それこそ、今更だ。ここは、精神世界かな。あの2人に折檻されて気を失ったけーちゃんの夢の中だ。だから、目を覚ました訳じゃない。今はこの世界に存在しているのは、けーちゃんとわたしだけ」

「……なんで、精神世界にまで侵入してきてんの?俺のプライバシーどこいった?」

「ふふっ、こどものイタズラだ。許してくれ。あと、言っておくと、世界でくくられる物なら、なんにでもわたしは干渉できるからな」

「……さいですか。でも、むやみやたらに誰かの精神世界に干渉するんじゃねーぞ?精神崩壊しかねんからな」

「うむ。心配せずとも、けーちゃん以外にやるつもりはないよ」

……いや、俺にもするなよ。

「ま、お前を……「あい」、あいをほっとく訳にはいかんからな。取り敢えず弟子にするし、登録させることにするわ。どうせ断れねーんだろうし」

「ふふっ、違うだろ?断らないんだろ?ほんと、わたしが好きになった人はひねくれてるねぇ」

……何言ってやがる。

「ま、とりあえず、そんな訳だからよろしく頼むぞ師匠」

あいはそう言って可愛く笑んだあと、俺の精神世界から姿を消した。
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