ある日、幼女が弟子にしろと言ってきたのだが

まさ☆まさお

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幼女は世界を救いもするし、壊しもする。

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「……あれに気付いたのか?」

それまで無言だった神裂が口を開いた。

「この中で気付いたの俺だけだったみたいだけどな。つっても、瑠依には聞いてないから知らんけど。で、何をしようとした?」

「……知ってどうする?」

俺の目を真っ直ぐに瑠依と良く似た瞳で見つめながら神裂は答える。

どうするか?って、決まってんだろ。

「ロクでもないことなら、止めるに決まってんだろ。弟子と知り合いに頼られてんだよ。でも、なるべくならめんどくさいから平和的に解決したいからお願いします」

俺は頭を下げた。

幼女に向かってである。

「……止められるのか?お前に」

神裂は瑠依に良く似た容姿に全く以て似合わない挑発的な笑みを浮かべた。

「あ?なめんなよ?俺はなんでもできるんだぜ?あんまりしたくないけどな」

当たり前だ。好き好んで働きたくないでござる。

「ふふっ、おもしろい。気に入った」

俺の言葉を受けた神裂は初めて年相応な愛らしい笑みを浮かべて言った。

「……おもしろいのか知らんが、最近のお子様はみんなチートなのか?」

「ふふっ、チートなのは誰よりお前じゃないか。あと、そこにいる瑠依ってのもチートだろ。あと、あの2人もな」

楽しそうにカラカラ笑う神裂である。




「……で、お前って、結局何者なの?」

一段落ついた俺は神裂に尋ねた。

「あい。あいと呼ばないなら何も答えない」

「……あいって結局何者なの?」

名前呼びを強制され、問い直す俺である。

「先にお前の名前を教えてくれないと答えない」

……え?なに?おちょくられてんの?

「……風祭 慶一郎だ」

「神裂 あい9歳。で、わたしが何者かって聞きたいのか?それとも、さっき何をしたのか聞きたいのか?それともなんでこんなことになってるのか聞きたいのかどれだ?」

やたら偉そうにする神裂に答えてやる。

「全部に決まってんだろ」

「なんと、ワガママなけいちゃんだ」

カラカラ楽しそうに笑う神裂あい(9)だった。

誰がけいちゃんだ、誰が。

「……ねぇ」

そんな中、不機嫌そうに有栖川が声を掛けてきた。

「ん?なんだ?」

「なんでさっきから、私たちをほったらかして、自分らだけで喋ってんの?バカなの?死ぬの?」

「風音の言う通りだよ!あたしたちもいるんだからさ!」

言葉を返した俺に対し、有栖川だけでなく上栫まで加わり突っかかってくる。

「ん?なんだ?確かお前らけいちゃんのの2人だったな。で、瑠依は弟子だろ?」

放置プレイに憤慨するJC組と自分そっくりな瑠依に向け、またも挑発的な笑みを浮かべる神裂だった。

刹那、空気が震えた。

そして、辺りに殺気が満ちた。

「は?なに?ケンカ売ってるわけ?」

殺気の主は敵意剥き出しに神裂を睨みつける。

……9才の幼女相手にマジになってますよ、ワガママお嬢さま。

「ふふっ、大した殺気だが、わたしに勝てるのか?」

なおも挑発的な態度のあいちゃんである。

「勝てる勝てないじゃない、やってみるか?」

ガチギレモードですね、わかります。

つか、なにこの幼女とJCのケンカ。

「まぁ、お前ら落ち着けや……」

「アンタは黙ってて」

「けーちゃんは黙れ」

止めようとしたら、2人から罵倒された件について。

「あいちゃんも、風音さんもおちつくのです!ケンカはダメです!」

頼みの綱の瑠依ちゃんが特攻してくれました。

そして、もう何度も見た様ないがみ合う2人が落ち着くという絵面に。

……瑠依ってマジ最強じゃない?

俺、罵倒されて終わったのに。




「じゃあ、あい。聞かせてくれるか?」

「ふむ、よかろう。結果から言うが、暇つぶしだ」

予想の斜め上を行く答えが返ってきましたよ、これ。

「暇つぶし?」

「うむ。ちなみに、わたしは学校にも通ってなければ、誰かの弟子でもないぞ。だから、けいちゃんが言うところのきちんとした魔法使いでもない。暴走する訳がないって言えるのは、生まれた時からすでに魔法使いだったからな。扱うのは誰よりも上手い自信しかない」

……なるほどな。生まれた時からか。

「そうか、じゃあ、あい。暇つぶしであるのは分かったが、どうやったんだ?国がほっとかないだろうし、国の管理してるモンになんか出来るとは思えないんだが」

「さっき、けいちゃんが言ってたじゃないか。わたしの魔法じゃなかろうか、と。それにわかりやすい嘘をつくんだな。どうにか出来るとは思えないとか」

俺の言葉の何が面白いのか、また神裂はからからと愛らしく笑った。

「……なにが嘘なんだよ?」

けーちゃんが出来る訳ないなんて思う訳ないじゃないか」

お、おう。そう来たか。

「正しくは、けーちゃん以外の誰かに、だろ?」

神裂は笑みを絶やすこまてなくそう続けた。

「……それより、タネ明かししてくんない?」

「それもそうだな。簡単に言えば、わたしはわたしの魔法を使って、様に世界を上書きしたんだよ」
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