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目的の魔獣はあっさりと幼女のおともだちという名の何かに食べられました
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目を覚ますと、木陰でなにか心地の良いものを枕にしていた。
目を開くと、美少女の顔がすぐ近くにあった。
んん?
意味がわからず落ち着いて状況確認してみると、どうやら上栫に膝枕をされているようだ。
んん?
「なぁ、上栫?」
「え?なに?」
「なんで俺、お前に膝枕されてんの?」
「アンタが風音を怒らせて気を失ってたから?」
「さいで。つか、なんで疑問形?」
「んー、まぁ、いいじゃん。頭撫でてあげよっか?」
「いらねーわ」
ちなみに上栫はショートパンツであるため、俺の頭はニーソとショートパンツの間の絶対領域に乗せられている。
「……風音から聞いたよ?報酬の為だったんだって?」
不意にそんな事を言ってきた。
「あぁ」
「……わかった」
そう答えた上栫だが、納得しているような表情ではなかった。
☆
「あ。そう言えば、任務の魔獣ってなんだったんだろ?」
「さぁ?なんか、わかんないけど、この辺にいたのは、瑠依ちゃんとあいちゃんのおともだちが全部食べちゃったって」
「は?じゃあ、俺、なんもしない間に任務おわってんじゃん」
「あはは、よかったじゃん。いつも働きたくないでござるって言ってんだからさ」
「間違いないな」
と、何気に会話しているが、俺、上栫に膝枕されたままじゃん。
さて、起きるかと、身体を動かそうとしたら、頭をギュッと押さえられた。
「まだ、いいじゃん。瑠依ちゃんもあいちゃんもまだ、おともだちと遊んでんだから」
「でも、お前、いやじゃねーの?恥ずかしくねーの?」
とりあえず聞いてみたのである。
「ちょっと恥ずかしいけど、嫌じゃないよ?」
するとハニカミながら上栫はそう答えた。
「……それとも、あたしに膝枕されるのヤダ?」
そして、少し不安気にそんな言葉を漏らす。
「……嫌じゃねーよ」
「じゃあ、問題ないじゃんか」
俺が無愛想に投げた言葉に、上栫はなにが嬉しいのか不安気な表情を明るいものに変えてそう言った。
「……さっきさ、何もしてないって言ってたけどさ?」
少しの沈黙の後、上栫は再び口を開いた。
「あぁ。なんもしてないな」
何もしていないだろ。幼女2人が暴れてただけじゃん。
「そんなことないよ?ちゃんと、あたしと風音のこと守ってくれたじゃん」
「……報酬が惜しいからな」
「ふふっ、本当にそれだけ?」
「他に何があんだよ……」
「じゃあさ、あたしと風音のことは本当にどうでもよくて、報酬だけのために守ってくれたの?心配してくれたの?」
優しい口調で、見透かしたような態度で上栫はそんなことを言う。
「……どうだろうな。ただ、お前らが怪我したり、傷付いたりするのは嫌だな。お前らのこと、嫌いじゃないし」
だから、俺は柄にもなく小っ恥ずかしいこと宣ってしまった。
「うん、知ってる。でも、風音は知らなかったんだよ?」
「……あぁ」
「はぁ、きちんと風音にも言ってあげてね。あの子、本当は強がりで怖がりなんだからね。ちゃんと言える?」
「……あぁ」
俺が答えると、上栫は俺の顔を覗き込んでいたのをやめ、顔を上げた。
「聞こえてたでしょ?風音」
そして、そんなことを言ったのである。
☆
どうやら、有栖川と上栫にやられたようだ。
……黒歴史じゃない?これ。
美少女中学生相手になにが「嫌いじゃない」だよ、俺のアホ!!
「……ほんとなの?」
そして、いつの間にやら俺のすぐ近くにまで来ていた有栖川は、上栫に膝枕されたまま、その素晴らしく、芸術的でさえある絶対領域に頭を乗せている俺を不安気に、今にも泣き出しそうな表情で見下ろしながら、弱々しく言葉を投げてきた。
……ちなみに有栖川スカートなんだよなぁ。
「あぁ。嘘じゃねーよ」
なるべく見ないように目を閉じて答える。
「……嘘なんでしょ?だって、私の顔見てくんないし……」
目を閉じてるからどんな表情をしているかはわからないが、声音は今にも泣き出しそうなものである。
「……いや、待て。俺は悪くない。お前、自分の服装考えろ。普通に見えるぜ?スカートの中」
俺の言葉でハッと気付いたらしい有栖川は口を開いた。
「……見た?」
「いや、見てない」
……純白のちょっとこどもっぽいのだったとか言えない。言えるわけない。
「……本当は?」
「ありがとうございました」
思わずお礼を言ってしまった俺は死すら覚悟したが、意外な返しが待っていた。
「……えっち」
いつもなら考えられない程に恥ずかしそうにもじもじしながらそんなことを言ったのである。
ギャップ萌え頂きました!!
☆
結局、上栫が「今回だけだかんね?」とか言いながら、有栖川とポジションチェンジをし、今度は有栖川の絶対領域に頭を乗せることになった。
……あれ?
「……花梨にだけ言ったのずるい」
「なにが?」
「私と花梨のこと、嫌いじゃないって言ったこと」
何故、こんなにいい事が続くのかと、少し不安になっていたら、本当にいつもらしくないことをいつもらしくない声音で言ってきた有栖川である。
なんなの?いつもの殺気丸出しとか、冷たい口調とかどうした!?
何その甘えつつも、少し拗ねてる感じのセリフと声音は。
今日のこいつ可愛すぎかよ。
こいつの容姿だから全く違和感ねーわ!!
「んんっ、お前のこと、嫌いなわけねーだろ」
だから俺は恥ずかしいことをまたしても口にしてしまった。
目を開くと、美少女の顔がすぐ近くにあった。
んん?
意味がわからず落ち着いて状況確認してみると、どうやら上栫に膝枕をされているようだ。
んん?
「なぁ、上栫?」
「え?なに?」
「なんで俺、お前に膝枕されてんの?」
「アンタが風音を怒らせて気を失ってたから?」
「さいで。つか、なんで疑問形?」
「んー、まぁ、いいじゃん。頭撫でてあげよっか?」
「いらねーわ」
ちなみに上栫はショートパンツであるため、俺の頭はニーソとショートパンツの間の絶対領域に乗せられている。
「……風音から聞いたよ?報酬の為だったんだって?」
不意にそんな事を言ってきた。
「あぁ」
「……わかった」
そう答えた上栫だが、納得しているような表情ではなかった。
☆
「あ。そう言えば、任務の魔獣ってなんだったんだろ?」
「さぁ?なんか、わかんないけど、この辺にいたのは、瑠依ちゃんとあいちゃんのおともだちが全部食べちゃったって」
「は?じゃあ、俺、なんもしない間に任務おわってんじゃん」
「あはは、よかったじゃん。いつも働きたくないでござるって言ってんだからさ」
「間違いないな」
と、何気に会話しているが、俺、上栫に膝枕されたままじゃん。
さて、起きるかと、身体を動かそうとしたら、頭をギュッと押さえられた。
「まだ、いいじゃん。瑠依ちゃんもあいちゃんもまだ、おともだちと遊んでんだから」
「でも、お前、いやじゃねーの?恥ずかしくねーの?」
とりあえず聞いてみたのである。
「ちょっと恥ずかしいけど、嫌じゃないよ?」
するとハニカミながら上栫はそう答えた。
「……それとも、あたしに膝枕されるのヤダ?」
そして、少し不安気にそんな言葉を漏らす。
「……嫌じゃねーよ」
「じゃあ、問題ないじゃんか」
俺が無愛想に投げた言葉に、上栫はなにが嬉しいのか不安気な表情を明るいものに変えてそう言った。
「……さっきさ、何もしてないって言ってたけどさ?」
少しの沈黙の後、上栫は再び口を開いた。
「あぁ。なんもしてないな」
何もしていないだろ。幼女2人が暴れてただけじゃん。
「そんなことないよ?ちゃんと、あたしと風音のこと守ってくれたじゃん」
「……報酬が惜しいからな」
「ふふっ、本当にそれだけ?」
「他に何があんだよ……」
「じゃあさ、あたしと風音のことは本当にどうでもよくて、報酬だけのために守ってくれたの?心配してくれたの?」
優しい口調で、見透かしたような態度で上栫はそんなことを言う。
「……どうだろうな。ただ、お前らが怪我したり、傷付いたりするのは嫌だな。お前らのこと、嫌いじゃないし」
だから、俺は柄にもなく小っ恥ずかしいこと宣ってしまった。
「うん、知ってる。でも、風音は知らなかったんだよ?」
「……あぁ」
「はぁ、きちんと風音にも言ってあげてね。あの子、本当は強がりで怖がりなんだからね。ちゃんと言える?」
「……あぁ」
俺が答えると、上栫は俺の顔を覗き込んでいたのをやめ、顔を上げた。
「聞こえてたでしょ?風音」
そして、そんなことを言ったのである。
☆
どうやら、有栖川と上栫にやられたようだ。
……黒歴史じゃない?これ。
美少女中学生相手になにが「嫌いじゃない」だよ、俺のアホ!!
「……ほんとなの?」
そして、いつの間にやら俺のすぐ近くにまで来ていた有栖川は、上栫に膝枕されたまま、その素晴らしく、芸術的でさえある絶対領域に頭を乗せている俺を不安気に、今にも泣き出しそうな表情で見下ろしながら、弱々しく言葉を投げてきた。
……ちなみに有栖川スカートなんだよなぁ。
「あぁ。嘘じゃねーよ」
なるべく見ないように目を閉じて答える。
「……嘘なんでしょ?だって、私の顔見てくんないし……」
目を閉じてるからどんな表情をしているかはわからないが、声音は今にも泣き出しそうなものである。
「……いや、待て。俺は悪くない。お前、自分の服装考えろ。普通に見えるぜ?スカートの中」
俺の言葉でハッと気付いたらしい有栖川は口を開いた。
「……見た?」
「いや、見てない」
……純白のちょっとこどもっぽいのだったとか言えない。言えるわけない。
「……本当は?」
「ありがとうございました」
思わずお礼を言ってしまった俺は死すら覚悟したが、意外な返しが待っていた。
「……えっち」
いつもなら考えられない程に恥ずかしそうにもじもじしながらそんなことを言ったのである。
ギャップ萌え頂きました!!
☆
結局、上栫が「今回だけだかんね?」とか言いながら、有栖川とポジションチェンジをし、今度は有栖川の絶対領域に頭を乗せることになった。
……あれ?
「……花梨にだけ言ったのずるい」
「なにが?」
「私と花梨のこと、嫌いじゃないって言ったこと」
何故、こんなにいい事が続くのかと、少し不安になっていたら、本当にいつもらしくないことをいつもらしくない声音で言ってきた有栖川である。
なんなの?いつもの殺気丸出しとか、冷たい口調とかどうした!?
何その甘えつつも、少し拗ねてる感じのセリフと声音は。
今日のこいつ可愛すぎかよ。
こいつの容姿だから全く違和感ねーわ!!
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だから俺は恥ずかしいことをまたしても口にしてしまった。
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