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魔法使いと魔法少女の間には超えられない壁がある
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「あ。そう言えばさ、上栫と有栖川とした約束、まだ果たしてないよね」
賑やかな食事を終え、我が弟子である瑠依とあいの幼女組が遊び疲れたのだろう、可愛いパジャマ姿で可愛くないおともだちと一緒に就寝していると言う状況の午後8時半。
食事に使った食器を洗い、片付けた上栫と、テレビを見ながら寛ぐ有栖川に向けて俺はそんなことを言った。
「あ、そう言えばそうだね」
2人はそんな返事をしたのである。
「何でも言うことを聞いてやるつったの俺だし、なんかある?なかったら無理しなくていいからな」
無いなら無いに越した事はない。
「あるよ?もう、決めてるし」
まず、上栫が俺の希望をぶっ殺してくれた。
「私も決めてる」
有栖川までもである。
「おう、ちゃっちゃと言え。いつまでも引っ張るもんでも無かろうて」
無駄な抵抗はせず、俺は2人にそう言った。
「じゃあさ、これからずっと、あたしのこと下の名前で呼んでよ。花梨って」
「私も風音って呼んで」
……簡単そうで実は厄介なのをぶち込んできやがりましたな、この中学生たち。
「……それでいいのか?後悔しないか?ファイナルアンサー?」
「よくなかったら言わないよ」
もっともである。
「……どんな噂が立つか知らんぞ?まぁ、了解した。じゃあ、花梨、風音、これで約束は果たしたな?」
「うんっ」
2人は揃って笑顔で答えた。
☆
「……なぁ、お前ら、眠いなら寝ろよ……」
現在時刻は、日付が変わって午前1時半である。
「……やだ。お前って名前じゃないし」
「……お前って誰のこと言ってんのかわからないし」
JCコンビは揃って眠そうに目をとろーんとさせながら、時にうつらうつらと船を漕ぐのだが、何故か眠らない。
「……花梨、風音、眠いなら寝ろよ」
名前をきちんと伝えて再び。
「えへへっ、やだ……。だって、あんた起きてるもん。あたしも一緒に起きてるの!」
「えへへっ、私もやだ。あんたが寝るなら考える」
二人揃って名前で呼ばれるのが嬉しいのか、眠そうにはしているものの、にへらと破顔させる。
え?なに?普通に可愛くない?
「……俺、これからアニメ観るんだぜ?花梨も風音も退屈だろ……」
とりあえず、可愛いのはいいが、眠そうにしている女子中学生を起こしたままにしているのは何か色々とヤバイ。
「あんたが観るなら、あたしも観るのっ」
「私も一緒に観るもんっ」
しかし、2人は眠らない。
「さいで……。アニメ観るんなら、コーヒーでも淹れてやろうか?」
ならばと、あまりやりたくはないが、そんな提案をする。
「……うん。お砂糖とミルク多めでお願いします……」
「私も同じく……」
「へいへい」
注文を聞いた俺は、キッチンへと行き、要望通りに砂糖とミルクを多めに入れたコーヒーを二杯、カップへと注ぐのだった。
☆
アニメが始まる時間になると、2人はコーヒーの力のおかげか、眠気が少し引いたようで、ソファーに座ってテレビを観ている。
ちなみに、俺の左側に花梨、右側に風音といった配置だ。
「どんなアニメなの?」
ぴたりと俺に身体をくっつけながら尋ねてきたのは花梨である。
「ん?ああ、魔法少女もの。ほら、魔法に対してさ、夢や希望がいっぱいでさ、すげぇ頑張ってるから、つい、毎週観てしまうんだよな」
「……ふぅん。で、キャラはみんな可愛いの?」
次に尋ねてきたのは風音であるが、花梨と同じ様に身体をぴたりとくっつけているのだが、如何せん2人にはとある格差があるので俺の腕に母性の象徴がむにっと当たるのだ。
「……ん?別に可愛さは関係ねーよ。魔法に対して一生懸命で、夢も希望も持って戦ってるんだ。俺みたいな奴からしたら、無いものばっかだからな。すげぇ応援したくなるのよさね」
俺は冷静を装いながらそう答えた。
「そうなんだ。面白そうだね」
もにょり、と、お胸の膨らみを腕に押し付けながら、可愛く笑んで風音はそう言う。
……無心だ。
そんな風音に影響されたか、花梨もまたより一層身体を密着させてきた。
存在感こそ薄いが確かに柔らかいモノを腕に感じる。
「あたしも楽しみっ」
花梨は花梨でこれまた愛くるしく微笑んだ。
☆
そうこうしていたら、遂に番組が始まった。
『魔法少女☆まじかるがーる』
タイトルはシュールでアレだが、俺の好きなアニメの一つである。
内容は、主人公の女子中学生、月ヶ瀬 柊が憧れの姉である、榛原 桐花のようになりたいと一生懸命悩み、もがき、苦しみながらも、友達の淀川 すみれとともに魔法少女として奮闘し、成長してゆくストーリーだ。
ちなみに、主人公の月ヶ瀬 柊はセミロングの亜麻色の髪をポニーテールにまとめた、おっぱいの小さな女の子であり、友達の淀川 すみれは、肩より少し下まで伸ばした黒髪を左右にまとめて下ろしているおっぱいの大きな女の子である。
……考えるな、考えたら負けだ。
ちなみに2人は猪名川 晋という、なんでモテるのか分からんような唐変木の朴念仁な年上の高校生に恋しているライバルでもある。
そして、月ヶ瀬 柊の姉である榛原 桐花は、執事姿が良く似合うイケメンでありながら、執事服を脱ぐと純情で世間知らずで多少ポンコツで綺麗な形をしたお胸の持ち主で美女であるが、同じく唐変木の朴念仁に恋をしている。朴念仁爆発しないかな。マジで。
賑やかな食事を終え、我が弟子である瑠依とあいの幼女組が遊び疲れたのだろう、可愛いパジャマ姿で可愛くないおともだちと一緒に就寝していると言う状況の午後8時半。
食事に使った食器を洗い、片付けた上栫と、テレビを見ながら寛ぐ有栖川に向けて俺はそんなことを言った。
「あ、そう言えばそうだね」
2人はそんな返事をしたのである。
「何でも言うことを聞いてやるつったの俺だし、なんかある?なかったら無理しなくていいからな」
無いなら無いに越した事はない。
「あるよ?もう、決めてるし」
まず、上栫が俺の希望をぶっ殺してくれた。
「私も決めてる」
有栖川までもである。
「おう、ちゃっちゃと言え。いつまでも引っ張るもんでも無かろうて」
無駄な抵抗はせず、俺は2人にそう言った。
「じゃあさ、これからずっと、あたしのこと下の名前で呼んでよ。花梨って」
「私も風音って呼んで」
……簡単そうで実は厄介なのをぶち込んできやがりましたな、この中学生たち。
「……それでいいのか?後悔しないか?ファイナルアンサー?」
「よくなかったら言わないよ」
もっともである。
「……どんな噂が立つか知らんぞ?まぁ、了解した。じゃあ、花梨、風音、これで約束は果たしたな?」
「うんっ」
2人は揃って笑顔で答えた。
☆
「……なぁ、お前ら、眠いなら寝ろよ……」
現在時刻は、日付が変わって午前1時半である。
「……やだ。お前って名前じゃないし」
「……お前って誰のこと言ってんのかわからないし」
JCコンビは揃って眠そうに目をとろーんとさせながら、時にうつらうつらと船を漕ぐのだが、何故か眠らない。
「……花梨、風音、眠いなら寝ろよ」
名前をきちんと伝えて再び。
「えへへっ、やだ……。だって、あんた起きてるもん。あたしも一緒に起きてるの!」
「えへへっ、私もやだ。あんたが寝るなら考える」
二人揃って名前で呼ばれるのが嬉しいのか、眠そうにはしているものの、にへらと破顔させる。
え?なに?普通に可愛くない?
「……俺、これからアニメ観るんだぜ?花梨も風音も退屈だろ……」
とりあえず、可愛いのはいいが、眠そうにしている女子中学生を起こしたままにしているのは何か色々とヤバイ。
「あんたが観るなら、あたしも観るのっ」
「私も一緒に観るもんっ」
しかし、2人は眠らない。
「さいで……。アニメ観るんなら、コーヒーでも淹れてやろうか?」
ならばと、あまりやりたくはないが、そんな提案をする。
「……うん。お砂糖とミルク多めでお願いします……」
「私も同じく……」
「へいへい」
注文を聞いた俺は、キッチンへと行き、要望通りに砂糖とミルクを多めに入れたコーヒーを二杯、カップへと注ぐのだった。
☆
アニメが始まる時間になると、2人はコーヒーの力のおかげか、眠気が少し引いたようで、ソファーに座ってテレビを観ている。
ちなみに、俺の左側に花梨、右側に風音といった配置だ。
「どんなアニメなの?」
ぴたりと俺に身体をくっつけながら尋ねてきたのは花梨である。
「ん?ああ、魔法少女もの。ほら、魔法に対してさ、夢や希望がいっぱいでさ、すげぇ頑張ってるから、つい、毎週観てしまうんだよな」
「……ふぅん。で、キャラはみんな可愛いの?」
次に尋ねてきたのは風音であるが、花梨と同じ様に身体をぴたりとくっつけているのだが、如何せん2人にはとある格差があるので俺の腕に母性の象徴がむにっと当たるのだ。
「……ん?別に可愛さは関係ねーよ。魔法に対して一生懸命で、夢も希望も持って戦ってるんだ。俺みたいな奴からしたら、無いものばっかだからな。すげぇ応援したくなるのよさね」
俺は冷静を装いながらそう答えた。
「そうなんだ。面白そうだね」
もにょり、と、お胸の膨らみを腕に押し付けながら、可愛く笑んで風音はそう言う。
……無心だ。
そんな風音に影響されたか、花梨もまたより一層身体を密着させてきた。
存在感こそ薄いが確かに柔らかいモノを腕に感じる。
「あたしも楽しみっ」
花梨は花梨でこれまた愛くるしく微笑んだ。
☆
そうこうしていたら、遂に番組が始まった。
『魔法少女☆まじかるがーる』
タイトルはシュールでアレだが、俺の好きなアニメの一つである。
内容は、主人公の女子中学生、月ヶ瀬 柊が憧れの姉である、榛原 桐花のようになりたいと一生懸命悩み、もがき、苦しみながらも、友達の淀川 すみれとともに魔法少女として奮闘し、成長してゆくストーリーだ。
ちなみに、主人公の月ヶ瀬 柊はセミロングの亜麻色の髪をポニーテールにまとめた、おっぱいの小さな女の子であり、友達の淀川 すみれは、肩より少し下まで伸ばした黒髪を左右にまとめて下ろしているおっぱいの大きな女の子である。
……考えるな、考えたら負けだ。
ちなみに2人は猪名川 晋という、なんでモテるのか分からんような唐変木の朴念仁な年上の高校生に恋しているライバルでもある。
そして、月ヶ瀬 柊の姉である榛原 桐花は、執事姿が良く似合うイケメンでありながら、執事服を脱ぐと純情で世間知らずで多少ポンコツで綺麗な形をしたお胸の持ち主で美女であるが、同じく唐変木の朴念仁に恋をしている。朴念仁爆発しないかな。マジで。
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