20 / 30
魔法使いと魔法少女の間には超えられない壁がある
しおりを挟む
「あ。そう言えばさ、上栫と有栖川とした約束、まだ果たしてないよね」
賑やかな食事を終え、我が弟子である瑠依とあいの幼女組が遊び疲れたのだろう、可愛いパジャマ姿で可愛くないおともだちと一緒に就寝していると言う状況の午後8時半。
食事に使った食器を洗い、片付けた上栫と、テレビを見ながら寛ぐ有栖川に向けて俺はそんなことを言った。
「あ、そう言えばそうだね」
2人はそんな返事をしたのである。
「何でも言うことを聞いてやるつったの俺だし、なんかある?なかったら無理しなくていいからな」
無いなら無いに越した事はない。
「あるよ?もう、決めてるし」
まず、上栫が俺の希望をぶっ殺してくれた。
「私も決めてる」
有栖川までもである。
「おう、ちゃっちゃと言え。いつまでも引っ張るもんでも無かろうて」
無駄な抵抗はせず、俺は2人にそう言った。
「じゃあさ、これからずっと、あたしのこと下の名前で呼んでよ。花梨って」
「私も風音って呼んで」
……簡単そうで実は厄介なのをぶち込んできやがりましたな、この中学生たち。
「……それでいいのか?後悔しないか?ファイナルアンサー?」
「よくなかったら言わないよ」
もっともである。
「……どんな噂が立つか知らんぞ?まぁ、了解した。じゃあ、花梨、風音、これで約束は果たしたな?」
「うんっ」
2人は揃って笑顔で答えた。
☆
「……なぁ、お前ら、眠いなら寝ろよ……」
現在時刻は、日付が変わって午前1時半である。
「……やだ。お前って名前じゃないし」
「……お前って誰のこと言ってんのかわからないし」
JCコンビは揃って眠そうに目をとろーんとさせながら、時にうつらうつらと船を漕ぐのだが、何故か眠らない。
「……花梨、風音、眠いなら寝ろよ」
名前をきちんと伝えて再び。
「えへへっ、やだ……。だって、あんた起きてるもん。あたしも一緒に起きてるの!」
「えへへっ、私もやだ。あんたが寝るなら考える」
二人揃って名前で呼ばれるのが嬉しいのか、眠そうにはしているものの、にへらと破顔させる。
え?なに?普通に可愛くない?
「……俺、これからアニメ観るんだぜ?花梨も風音も退屈だろ……」
とりあえず、可愛いのはいいが、眠そうにしている女子中学生を起こしたままにしているのは何か色々とヤバイ。
「あんたが観るなら、あたしも観るのっ」
「私も一緒に観るもんっ」
しかし、2人は眠らない。
「さいで……。アニメ観るんなら、コーヒーでも淹れてやろうか?」
ならばと、あまりやりたくはないが、そんな提案をする。
「……うん。お砂糖とミルク多めでお願いします……」
「私も同じく……」
「へいへい」
注文を聞いた俺は、キッチンへと行き、要望通りに砂糖とミルクを多めに入れたコーヒーを二杯、カップへと注ぐのだった。
☆
アニメが始まる時間になると、2人はコーヒーの力のおかげか、眠気が少し引いたようで、ソファーに座ってテレビを観ている。
ちなみに、俺の左側に花梨、右側に風音といった配置だ。
「どんなアニメなの?」
ぴたりと俺に身体をくっつけながら尋ねてきたのは花梨である。
「ん?ああ、魔法少女もの。ほら、魔法に対してさ、夢や希望がいっぱいでさ、すげぇ頑張ってるから、つい、毎週観てしまうんだよな」
「……ふぅん。で、キャラはみんな可愛いの?」
次に尋ねてきたのは風音であるが、花梨と同じ様に身体をぴたりとくっつけているのだが、如何せん2人にはとある格差があるので俺の腕に母性の象徴がむにっと当たるのだ。
「……ん?別に可愛さは関係ねーよ。魔法に対して一生懸命で、夢も希望も持って戦ってるんだ。俺みたいな奴からしたら、無いものばっかだからな。すげぇ応援したくなるのよさね」
俺は冷静を装いながらそう答えた。
「そうなんだ。面白そうだね」
もにょり、と、お胸の膨らみを腕に押し付けながら、可愛く笑んで風音はそう言う。
……無心だ。
そんな風音に影響されたか、花梨もまたより一層身体を密着させてきた。
存在感こそ薄いが確かに柔らかいモノを腕に感じる。
「あたしも楽しみっ」
花梨は花梨でこれまた愛くるしく微笑んだ。
☆
そうこうしていたら、遂に番組が始まった。
『魔法少女☆まじかるがーる』
タイトルはシュールでアレだが、俺の好きなアニメの一つである。
内容は、主人公の女子中学生、月ヶ瀬 柊が憧れの姉である、榛原 桐花のようになりたいと一生懸命悩み、もがき、苦しみながらも、友達の淀川 すみれとともに魔法少女として奮闘し、成長してゆくストーリーだ。
ちなみに、主人公の月ヶ瀬 柊はセミロングの亜麻色の髪をポニーテールにまとめた、おっぱいの小さな女の子であり、友達の淀川 すみれは、肩より少し下まで伸ばした黒髪を左右にまとめて下ろしているおっぱいの大きな女の子である。
……考えるな、考えたら負けだ。
ちなみに2人は猪名川 晋という、なんでモテるのか分からんような唐変木の朴念仁な年上の高校生に恋しているライバルでもある。
そして、月ヶ瀬 柊の姉である榛原 桐花は、執事姿が良く似合うイケメンでありながら、執事服を脱ぐと純情で世間知らずで多少ポンコツで綺麗な形をしたお胸の持ち主で美女であるが、同じく唐変木の朴念仁に恋をしている。朴念仁爆発しないかな。マジで。
賑やかな食事を終え、我が弟子である瑠依とあいの幼女組が遊び疲れたのだろう、可愛いパジャマ姿で可愛くないおともだちと一緒に就寝していると言う状況の午後8時半。
食事に使った食器を洗い、片付けた上栫と、テレビを見ながら寛ぐ有栖川に向けて俺はそんなことを言った。
「あ、そう言えばそうだね」
2人はそんな返事をしたのである。
「何でも言うことを聞いてやるつったの俺だし、なんかある?なかったら無理しなくていいからな」
無いなら無いに越した事はない。
「あるよ?もう、決めてるし」
まず、上栫が俺の希望をぶっ殺してくれた。
「私も決めてる」
有栖川までもである。
「おう、ちゃっちゃと言え。いつまでも引っ張るもんでも無かろうて」
無駄な抵抗はせず、俺は2人にそう言った。
「じゃあさ、これからずっと、あたしのこと下の名前で呼んでよ。花梨って」
「私も風音って呼んで」
……簡単そうで実は厄介なのをぶち込んできやがりましたな、この中学生たち。
「……それでいいのか?後悔しないか?ファイナルアンサー?」
「よくなかったら言わないよ」
もっともである。
「……どんな噂が立つか知らんぞ?まぁ、了解した。じゃあ、花梨、風音、これで約束は果たしたな?」
「うんっ」
2人は揃って笑顔で答えた。
☆
「……なぁ、お前ら、眠いなら寝ろよ……」
現在時刻は、日付が変わって午前1時半である。
「……やだ。お前って名前じゃないし」
「……お前って誰のこと言ってんのかわからないし」
JCコンビは揃って眠そうに目をとろーんとさせながら、時にうつらうつらと船を漕ぐのだが、何故か眠らない。
「……花梨、風音、眠いなら寝ろよ」
名前をきちんと伝えて再び。
「えへへっ、やだ……。だって、あんた起きてるもん。あたしも一緒に起きてるの!」
「えへへっ、私もやだ。あんたが寝るなら考える」
二人揃って名前で呼ばれるのが嬉しいのか、眠そうにはしているものの、にへらと破顔させる。
え?なに?普通に可愛くない?
「……俺、これからアニメ観るんだぜ?花梨も風音も退屈だろ……」
とりあえず、可愛いのはいいが、眠そうにしている女子中学生を起こしたままにしているのは何か色々とヤバイ。
「あんたが観るなら、あたしも観るのっ」
「私も一緒に観るもんっ」
しかし、2人は眠らない。
「さいで……。アニメ観るんなら、コーヒーでも淹れてやろうか?」
ならばと、あまりやりたくはないが、そんな提案をする。
「……うん。お砂糖とミルク多めでお願いします……」
「私も同じく……」
「へいへい」
注文を聞いた俺は、キッチンへと行き、要望通りに砂糖とミルクを多めに入れたコーヒーを二杯、カップへと注ぐのだった。
☆
アニメが始まる時間になると、2人はコーヒーの力のおかげか、眠気が少し引いたようで、ソファーに座ってテレビを観ている。
ちなみに、俺の左側に花梨、右側に風音といった配置だ。
「どんなアニメなの?」
ぴたりと俺に身体をくっつけながら尋ねてきたのは花梨である。
「ん?ああ、魔法少女もの。ほら、魔法に対してさ、夢や希望がいっぱいでさ、すげぇ頑張ってるから、つい、毎週観てしまうんだよな」
「……ふぅん。で、キャラはみんな可愛いの?」
次に尋ねてきたのは風音であるが、花梨と同じ様に身体をぴたりとくっつけているのだが、如何せん2人にはとある格差があるので俺の腕に母性の象徴がむにっと当たるのだ。
「……ん?別に可愛さは関係ねーよ。魔法に対して一生懸命で、夢も希望も持って戦ってるんだ。俺みたいな奴からしたら、無いものばっかだからな。すげぇ応援したくなるのよさね」
俺は冷静を装いながらそう答えた。
「そうなんだ。面白そうだね」
もにょり、と、お胸の膨らみを腕に押し付けながら、可愛く笑んで風音はそう言う。
……無心だ。
そんな風音に影響されたか、花梨もまたより一層身体を密着させてきた。
存在感こそ薄いが確かに柔らかいモノを腕に感じる。
「あたしも楽しみっ」
花梨は花梨でこれまた愛くるしく微笑んだ。
☆
そうこうしていたら、遂に番組が始まった。
『魔法少女☆まじかるがーる』
タイトルはシュールでアレだが、俺の好きなアニメの一つである。
内容は、主人公の女子中学生、月ヶ瀬 柊が憧れの姉である、榛原 桐花のようになりたいと一生懸命悩み、もがき、苦しみながらも、友達の淀川 すみれとともに魔法少女として奮闘し、成長してゆくストーリーだ。
ちなみに、主人公の月ヶ瀬 柊はセミロングの亜麻色の髪をポニーテールにまとめた、おっぱいの小さな女の子であり、友達の淀川 すみれは、肩より少し下まで伸ばした黒髪を左右にまとめて下ろしているおっぱいの大きな女の子である。
……考えるな、考えたら負けだ。
ちなみに2人は猪名川 晋という、なんでモテるのか分からんような唐変木の朴念仁な年上の高校生に恋しているライバルでもある。
そして、月ヶ瀬 柊の姉である榛原 桐花は、執事姿が良く似合うイケメンでありながら、執事服を脱ぐと純情で世間知らずで多少ポンコツで綺麗な形をしたお胸の持ち主で美女であるが、同じく唐変木の朴念仁に恋をしている。朴念仁爆発しないかな。マジで。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる