ある日、幼女が弟子にしろと言ってきたのだが

幕間～とある魔法使いの独白～

魔法という言葉がある。
お伽噺にゲームにアニメにマンガに小説に映画にドラマに色んな魔法がいろんな形で出てくる。

悪い魔女が悪さをするために使うのも魔法。

灰かぶりと呼ばれ、蔑ろに扱われた女の子のサクセスストーリーの土台も魔法。

王子様を蛙に変えてしまうのも魔法。

故に、魔法と言うものは元来、人間が自己の力で起こせる事象を総じて表わしていたのではないだろうか。

ある魔法使いの男がいる。

男は世の魔法使いが持つ全ての魔法が使えるのだが、男は自分を偽物だと言う。

男にこの言葉が届くことはないと思うが言おう。

それは本当か？

本当にお前が偽物なのか？

お前はある日を境に世界が変わって魔法使いが存在し、自分はふざけた魔法を持つようになったという。

ならば、考えてみろ。

ある日を境に変わったのは自分ではないのかと。

自分が世界を変えたのではないのかと。

そして、自分こそが本物の魔法使いで、他の魔法使いは魔法の欠片フラグメントをもつものではないのかと。

なんでもできるのは、なんでもできるのが本当の魔法だからではないのかと。

まぁ、いい。

言ったことが本当になると言うのは、世界にその結果を強制させるものだ。

世界に介入し、上書きすると言うのは、世界はこうあるべきと作り直すものだ。

その二つと、お前はそう変わらない。

お前と言う完成された本物の中に、その二つは含まれまい。

なんでもできるヤツには必要のないものなのだから。

しかし、その二つもまた本物ではなかろうか。