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第二章 戦
君たちね(いつも変わらない僕たち)
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さてさて。
玉が泣ける様になった事は、僕らにとって大きな成長(?)だと思うけど、僕の事で泣かれると、打たれ弱い僕としては途方に暮れるので。
どうしようかな?
と脳内で頭を抱えて居たら、胸の中の玉が頭をブンブン振り出した。
どうした玉?
玉さんがどうしたかと言うと、涙を袖口でゴシゴシと拭って、僕をキッと睨む事でした。
巫女装束で涙を拭う巫女さんってのも、多分滅多にないと思うなぁ。
などと明後日な事を考えていたら、玉に叱られました。
「玉はもう誰とも離れたくありません!」
「いや、玉の意識的には、タイムラグ無しで側に僕が居るという事になるんだけど。」
「それでも嫌です。」
「ちょっと待ちなさい。僕としずさんは玉の視界内から出ちゃいけないとても言うつもりですか?」
「はい!」
「いや、そんなに元気にはいって…。」
困り果てた僕は、助けを求めて周囲を見渡した。
けど、……''人間''に味方は居なさそうだった。
「まぁね、私も反対だな。」
玉ほど我儘を言う訳ではないけど、佳奈にやんわりと反対された。
「だってそれって、あなたがまた、ひとりぼっちになるって事でしょ。たぬちゃん達が居るにしても、言葉が話せないって多分凄く辛いと思う。私達の知らないところで、あなただけ苦しむって知りたくないよ。そんなの嫌だよ。」
だから言いたくなかったのに。
「玉も最後は何も考えられなくなりましたよ。」
いや、本当にひとりぼっちになった玉とは、相当条件が違う訳でですね。
「私はせっかくアニキに逢えたのに、まだ殆ど話せてないよ。」
もう1人の佳奈も何やら言い出したよ?
「いずれ私はアニキと沢山話しが出来るようになるのは、私を見てわかったし、アニキと婚約まで行った事は、私は自分の事として、凄く嬉しい。でもね。」
佳奈は佳奈を押し退けて、ずんずん僕に近寄って。
「私だって女なんだよ。感情あるんだよ。アニキと玉ちゃんにずっとずっと逢いたかったんだよ。2年後の私も多分アニキと沢山お話しをしたと思うけど、私もアニキとお話ししたい事は沢山いっぱい山ほどあるの!」
玉の直ぐ後ろで僕を睨む佳奈に気脅されて、そっと奥の佳奈を見ると、うんうん頷いてやがる。
裏切り者ぉぉぉ。
…裏切りになるのかな?これ。
「ねぇ、婿殿?」
今度はしずさんですか。
「なんですか?」
「一つ質問があります。例えば玉がここで婿殿とその900年を過ごしたら、玉の縁(えにし)は2つに重なってしまうのかしら。」
「……時代と時間軸が、前の玉と同じですから、恐らく重ねた上書きになると思います。」
「佳奈お姉さんとの縁(えにし)は?」
「そもそも佳奈とは、最初から時代も時間軸もズレていませんから、縁(えにし)が深まるだけこと。………ええと、まさか、まさかな事を考えてませんよね?」
「はい、そのまさかですよ。」
「あのね、しずさん。夫婦って50年も経てば、愛情だって擦り減ります。僕はですねぇ
「良いじゃないですか。」
食い気味だ。
「ちょっと早くて長いけど、さっさと夫婦(めおと)におなりなさいな。お社だってそこにあるし、私が華燭の宴を取り持ちますよ。」
「待ちなさい。」
だから気が早いっての。
「そしてお子を。」
「だから待ちなさい。そこ、玉と佳奈と佳奈。もじもじしない!」
大体、多分子供は生まれないよ。
玉がこの祠に閉じ籠められて居た時も、玉はお腹も減らなければ老けもせず、死ななかったんだから。
恐らく懐妊も出来ないし、下手をすると処女膜が毎回再生する可能性がある。
いや、多分する。
不老不死、傷病無しがこの聖域の住人に課せられるルールだ。
「はい、でしたら、玉は殿に付き従います。玉と殿はずっと一緒です!」
「私もね。あの日、あなたと玉ちゃんと別れた後の喪失感を二度と味わいたくないもん。」
「そうだ。私晩御飯を作りながら、お風呂に入りながら、ベッドの中で、ずっと泣いてたもん。あんな気持ち味わいたくないよ。」
玉佳奈佳奈が口を合わせて近寄って、だからたぬきちとてんいちとてんじが可哀想だろ。
てんいちとてんじは寝てんだから。
………
「そうと決まれば、早速食うところ寝るところ住むところを整備しましょう。」
てんいちを僕に預けて、佳奈が茶店に消えて行った。
「くぅ?」
あぁほら、起きちゃったじゃないか。
「待ってよ私。」
佳奈はてんじを抱いたまま佳奈の後を追いかけていく。
ここらへんは、普段から貂を可愛がっている佳奈と、初めて貂に会った佳奈の差、なんだろうか。
「玉はご飯を作りましょう。たぬきちくん、モーちゃん行きますよ。」
「わふ」
「もう」
玉は畑に走って行った。
なんなのこれ?
あと今さっき、サラダや果物を食べてなかった?君たち?
「お嫁さん達は、随分と強くなりましたね。」
テンママを地面に下ろしたしずさんは、何をするかと思いきや、茶店の外壁に立て掛けてある釣竿を取り出した。
池に置いてある石をひっくり返すと、川虫を捕まえて針につけている。
この竿は佳奈が時々使っていたもの。
浅葱屋敷の釣竿は、温泉の暖簾掛けになって久しいのだけど、ここ聖域では彼女だけが釣りを楽しむ。
その殆どは、たぬきち達の餌になるのだけど、鰻とか鮎とかが釣れると僕のところに持って来て、大体僕らの晩御飯になる。
しずさんは、玉のご飯って言葉に吊られて(おっと、交通事故)おかずでも調達しようとしているらしい。
隣にはテンママがお座りして、尻尾を振っている。
なんだかなぁ。
僕が置いていかれっぱなしだぞ。
て言うか、僕の意思はすっかり無視されて、ここに900年居座ることに決定かよ。
だとしたら、僕は何しよう。
おい真神。
「ぶるる。」
「あ、馬の真似ならもう良いや。人間形態の方が助かる。」
適当にジーンズとカットソーっての?僕的にはトレーナーでお馴染みの上っぱりと、ビーチサンダルを押し付けた。
真神は社の中に消えて行く。
真神を見送ったあとで。
「殿、玉はお風呂に入りたいですよ。」
大根ととうもろこしと山葵を抱えた玉が帰って来た。
「お風呂って言ってもなぁ。水は豊富にあるから沸かすかなぁ。湯船になるもの、何かあるかな。」
「その水晶で、玉の家の温泉に行けませんか?」
浅葱屋敷には、土地神の許可と協力で作られた温泉がある。
効能は、打ち身・切り傷・疲労回復。
しずさんが畑仕事の汗を流したり、何故かずぶ濡れになりがちな佳奈が震えながら浸かっている、我が家の女性陣の憩いの場だ。
神様との話し合いで、排水まで考慮に入れたアルカリ泉だったりする。
「行けるは行けるけど、帰って来れないよ。」
僕的には、それで一向に構わないけどね。
「帰って来た時に見る聖域は、たぬきち達はいるけど、僕はいない聖域だよ。」
「やめましょう。ここでお風呂を炊きましょう。」
早いな。
「うぅん。浅葱の力を使えばお湯は出し放題、かなぁ。」
試してみよう。
さっきまで飲んでた湯呑みにホレっと。
…出たなぁ。
ここに17年間待機していた僕は気にしてなかったけど、戦場を駆け回った玉達は汗をかいて当然だな。
「湯船に使えるものか。僕が今まで手にした箱状の物って言ったら、しずさんの衣装ケースか、タライか。ふむ。」
「コンクリで作っちまえば良いんじゃねぇか?」
「型枠がないなぁ。」
「だったらさぁ。」
「あの殿?」
「なんですか?」
「そのおっぱいの大きな女の人、どなたですか?玉の敵ですね。」
「ん?馬。」
「うまぁ!」
「あらあら。」
あらあら母さん。
少し目を離したら、魚籠代わりの洗面器が山になってます。
………
「大口真神。」
「はぁ。」
手力男が時々手伝いに来てくれる事をさっき知った佳奈佳奈は、新しい神様の登場にも慌てる事はなかった。
「玉ちゃんは知ってたの?」
「お母さんが神馬様は神様って言ってたので。」
「ちょっと目を離したら女と縁を作って来る人ね。」
「浮気してやがるって事?」
いや、君たちね。
佳奈1人エキサイト気味だけど、玉と佳奈は平然としたもの。
「玉達に手をつけずに他の方に手を出しているなら浮気でしょうけど。」
「こいつは無意識で女を惹き寄せる危険人物なの!」
「そんな人と何故私は婚約したのよ。」
「私達も惹き寄せられたの!」
「です。」
「あらあら。」
君たちね。
「お前、普段何してんの?」
「僕の刀に棲みついているなら、わかるだろう。」
「この17年は日がな一日、狸と遊んで、野菜育てて、飯作って、疲れたら寝てたな。あぁでも、たしかにお前の交友関係って女しかしないな。あと5人か。」
「5人?」
「俺とキクヱと隣の娘と動物園の娘と妹。」
「うち3人は身内と人外じゃないか。」
「人を人外言うな!」
「んじゃお前人間か?」
「違うけど。一応神族の端くれだけど。」
「おい、端くれ。」
「端くれ言うな!」
「殿のあの様子見たらわかります。お隣さんとおんなじ反応です。」
「お隣ってグビ姐さんの事?」
「何そのあだ名?」
君たちね。
「温泉を掘るとか、駄目かね。」
「ここは荼枳尼天様の世界だろ。俺みたいな端くれじゃ会ってもくれないよ。ご主人の方が会えるだろ?」
「それがなぁ、御狐様は時々出てきて、僕が作るデザートを食べてたけど、この17年本人(本神)は出て来ないんだ。何か考えはあるんだろうけど。」
「だったら、俺がなにか探して来るよ。風呂桶になる物がありゃ良いんだろ。」
「おや、珍しく協力的だな。」
「俺も風呂入りたいから。」
「そうですか。」
そういえば、浅葱の温泉に入ってんだっけか。この神様。
………
「殿?」
「なんですか?」
真神が、じゃあねぇとどこかに消えて行く姿を手を振って見送っていると、玉がとことこやって来た。
「あの方は、どちらの神様なんですか?」
「一言主の社の狛犬。」
「はぁ、あの白い狼ですか…。」
「狼は農作物を荒らす猪や鹿を狩ってくれるから、農家は助かったんだよ。山岳信仰の対象にもなったんだな。これが流れに流れて武甕槌の食客になっていたところをキクヱさんに押し付けられた。」
「はぁ。」
「浅葱の庭でひっくり返って遊んでいる神馬は彼女だ。」
「はぁ。」
玉さんの処理能力が超えたらしく、はぁしか言わなくなったので、騒ぎを無視して釣りをしていた、しずさんの洗面器を眺めた。
「鰻は蒲焼に、鮎は塩焼きで行きましょうか。」
「婿殿、川海老はどうしますかねぇ。」
ありゃ、いつの間にか増えたなぁ。
「みんな食べてないの?」
「わふ」
『噛まれると痛いし』
荼枳尼天の眷属が何言ってんの。
川海老のハサミなんか大丈夫でしょ。
「くぅ」
『怖いものは怖いので』
テンママさんさぁ、貂は本来なら凶暴な肉食獣だよ。
「くぅ」
『そんな事よりご飯を食べようよ』
だから、眷属は別にご飯を食べなくてもね……まぁ良いや。
「鰻を捌いているから、玉はご飯を炊いて下さい。」
「わかりました。…あの、お米とお櫃は?」
「あぁ、ちょっと待ちなさい。」
僕は茶店の裏側、佳奈が閉じ籠められて、いつぞやお金がじゃらじゃら溜まっていた隠し空間につけた扉を開けた。
「こんなとこに扉開いてましたっけ?」
「17年も暇だったから、倉庫に改装してみました。」
「…中にお金が詰まってませんでした?」
「政秀さんとこに投げて来た。」
お金はあって損はないでしょうし。
中から米櫃とお釜を取り出して来ると、玉は茶店の中の流しに運んで行った。
冷蔵庫もあるから、まぁ大体のものは揃うかな。
玉の大好きな手作りふりかけは無いけど。
「あ、私も作るね。ねぇ、お味噌ある?」
「市販品なら冷蔵庫に入ってるよ。」
「おし。17年ぶりの佳奈ちゃんお味噌汁をお見舞するからね。」
元気なお嫁さんだ。
「ねぇアニキ。」
「なんですか?」
「今の私は、あの私と違ってお料理は下手くそなので、手は出しません。」
賢明な判断ですね。
「ところで、この建物の壁紙と天井はなんとかなりませんか?目がチカチカするので、900年ここで過ごすならもうちょっと落ち着いた色にしたいのです。」
あれはなぁ。
本当に最初の頃、玉を驚かす為だけにやったからなぁ。
当の玉は、あまり驚いてなかったけど。
「向こうの佳奈はイラストを描いていて、その筆記用具は融通がつくので、デザイン画を描いて下さい。」
「こっちの私、そんな事してるの?」
「玉が児童文学を書いているから、その挿絵を描いているんだよ。」
「ほえぇ。」
なんだかんだで、結局あっという間にいつもの僕らの生活に戻りましたよ。
僕らは何処にいても、結局狸達動物を可愛がって、野菜や果物を育てて、美味しいご飯を作る毎日を繰り返していくんでしょう。
魚釣りが終わったしずさんは、モーちゃんの為に牧草を植えているし。
「婿殿にも、毎日のお勤めを手伝ってもらいますからね。うふふ。」
「この神官服は、御狐様に無理矢理着させられただけなんですけどね。」
因みに、それまで来ていた服は、果樹の間に張られたロープに干しっぱなしだ。
洗濯してくれたのは、たぬきちとテンママ。
なんだかなぁ。
………
「ところで玉?」
「なんですか?殿。」
「なんで僕が殿なんだい?」
「うふふふふ。秘密です。」
死ぬまでには教えて欲しいなぁ。
玉が泣ける様になった事は、僕らにとって大きな成長(?)だと思うけど、僕の事で泣かれると、打たれ弱い僕としては途方に暮れるので。
どうしようかな?
と脳内で頭を抱えて居たら、胸の中の玉が頭をブンブン振り出した。
どうした玉?
玉さんがどうしたかと言うと、涙を袖口でゴシゴシと拭って、僕をキッと睨む事でした。
巫女装束で涙を拭う巫女さんってのも、多分滅多にないと思うなぁ。
などと明後日な事を考えていたら、玉に叱られました。
「玉はもう誰とも離れたくありません!」
「いや、玉の意識的には、タイムラグ無しで側に僕が居るという事になるんだけど。」
「それでも嫌です。」
「ちょっと待ちなさい。僕としずさんは玉の視界内から出ちゃいけないとても言うつもりですか?」
「はい!」
「いや、そんなに元気にはいって…。」
困り果てた僕は、助けを求めて周囲を見渡した。
けど、……''人間''に味方は居なさそうだった。
「まぁね、私も反対だな。」
玉ほど我儘を言う訳ではないけど、佳奈にやんわりと反対された。
「だってそれって、あなたがまた、ひとりぼっちになるって事でしょ。たぬちゃん達が居るにしても、言葉が話せないって多分凄く辛いと思う。私達の知らないところで、あなただけ苦しむって知りたくないよ。そんなの嫌だよ。」
だから言いたくなかったのに。
「玉も最後は何も考えられなくなりましたよ。」
いや、本当にひとりぼっちになった玉とは、相当条件が違う訳でですね。
「私はせっかくアニキに逢えたのに、まだ殆ど話せてないよ。」
もう1人の佳奈も何やら言い出したよ?
「いずれ私はアニキと沢山話しが出来るようになるのは、私を見てわかったし、アニキと婚約まで行った事は、私は自分の事として、凄く嬉しい。でもね。」
佳奈は佳奈を押し退けて、ずんずん僕に近寄って。
「私だって女なんだよ。感情あるんだよ。アニキと玉ちゃんにずっとずっと逢いたかったんだよ。2年後の私も多分アニキと沢山お話しをしたと思うけど、私もアニキとお話ししたい事は沢山いっぱい山ほどあるの!」
玉の直ぐ後ろで僕を睨む佳奈に気脅されて、そっと奥の佳奈を見ると、うんうん頷いてやがる。
裏切り者ぉぉぉ。
…裏切りになるのかな?これ。
「ねぇ、婿殿?」
今度はしずさんですか。
「なんですか?」
「一つ質問があります。例えば玉がここで婿殿とその900年を過ごしたら、玉の縁(えにし)は2つに重なってしまうのかしら。」
「……時代と時間軸が、前の玉と同じですから、恐らく重ねた上書きになると思います。」
「佳奈お姉さんとの縁(えにし)は?」
「そもそも佳奈とは、最初から時代も時間軸もズレていませんから、縁(えにし)が深まるだけこと。………ええと、まさか、まさかな事を考えてませんよね?」
「はい、そのまさかですよ。」
「あのね、しずさん。夫婦って50年も経てば、愛情だって擦り減ります。僕はですねぇ
「良いじゃないですか。」
食い気味だ。
「ちょっと早くて長いけど、さっさと夫婦(めおと)におなりなさいな。お社だってそこにあるし、私が華燭の宴を取り持ちますよ。」
「待ちなさい。」
だから気が早いっての。
「そしてお子を。」
「だから待ちなさい。そこ、玉と佳奈と佳奈。もじもじしない!」
大体、多分子供は生まれないよ。
玉がこの祠に閉じ籠められて居た時も、玉はお腹も減らなければ老けもせず、死ななかったんだから。
恐らく懐妊も出来ないし、下手をすると処女膜が毎回再生する可能性がある。
いや、多分する。
不老不死、傷病無しがこの聖域の住人に課せられるルールだ。
「はい、でしたら、玉は殿に付き従います。玉と殿はずっと一緒です!」
「私もね。あの日、あなたと玉ちゃんと別れた後の喪失感を二度と味わいたくないもん。」
「そうだ。私晩御飯を作りながら、お風呂に入りながら、ベッドの中で、ずっと泣いてたもん。あんな気持ち味わいたくないよ。」
玉佳奈佳奈が口を合わせて近寄って、だからたぬきちとてんいちとてんじが可哀想だろ。
てんいちとてんじは寝てんだから。
………
「そうと決まれば、早速食うところ寝るところ住むところを整備しましょう。」
てんいちを僕に預けて、佳奈が茶店に消えて行った。
「くぅ?」
あぁほら、起きちゃったじゃないか。
「待ってよ私。」
佳奈はてんじを抱いたまま佳奈の後を追いかけていく。
ここらへんは、普段から貂を可愛がっている佳奈と、初めて貂に会った佳奈の差、なんだろうか。
「玉はご飯を作りましょう。たぬきちくん、モーちゃん行きますよ。」
「わふ」
「もう」
玉は畑に走って行った。
なんなのこれ?
あと今さっき、サラダや果物を食べてなかった?君たち?
「お嫁さん達は、随分と強くなりましたね。」
テンママを地面に下ろしたしずさんは、何をするかと思いきや、茶店の外壁に立て掛けてある釣竿を取り出した。
池に置いてある石をひっくり返すと、川虫を捕まえて針につけている。
この竿は佳奈が時々使っていたもの。
浅葱屋敷の釣竿は、温泉の暖簾掛けになって久しいのだけど、ここ聖域では彼女だけが釣りを楽しむ。
その殆どは、たぬきち達の餌になるのだけど、鰻とか鮎とかが釣れると僕のところに持って来て、大体僕らの晩御飯になる。
しずさんは、玉のご飯って言葉に吊られて(おっと、交通事故)おかずでも調達しようとしているらしい。
隣にはテンママがお座りして、尻尾を振っている。
なんだかなぁ。
僕が置いていかれっぱなしだぞ。
て言うか、僕の意思はすっかり無視されて、ここに900年居座ることに決定かよ。
だとしたら、僕は何しよう。
おい真神。
「ぶるる。」
「あ、馬の真似ならもう良いや。人間形態の方が助かる。」
適当にジーンズとカットソーっての?僕的にはトレーナーでお馴染みの上っぱりと、ビーチサンダルを押し付けた。
真神は社の中に消えて行く。
真神を見送ったあとで。
「殿、玉はお風呂に入りたいですよ。」
大根ととうもろこしと山葵を抱えた玉が帰って来た。
「お風呂って言ってもなぁ。水は豊富にあるから沸かすかなぁ。湯船になるもの、何かあるかな。」
「その水晶で、玉の家の温泉に行けませんか?」
浅葱屋敷には、土地神の許可と協力で作られた温泉がある。
効能は、打ち身・切り傷・疲労回復。
しずさんが畑仕事の汗を流したり、何故かずぶ濡れになりがちな佳奈が震えながら浸かっている、我が家の女性陣の憩いの場だ。
神様との話し合いで、排水まで考慮に入れたアルカリ泉だったりする。
「行けるは行けるけど、帰って来れないよ。」
僕的には、それで一向に構わないけどね。
「帰って来た時に見る聖域は、たぬきち達はいるけど、僕はいない聖域だよ。」
「やめましょう。ここでお風呂を炊きましょう。」
早いな。
「うぅん。浅葱の力を使えばお湯は出し放題、かなぁ。」
試してみよう。
さっきまで飲んでた湯呑みにホレっと。
…出たなぁ。
ここに17年間待機していた僕は気にしてなかったけど、戦場を駆け回った玉達は汗をかいて当然だな。
「湯船に使えるものか。僕が今まで手にした箱状の物って言ったら、しずさんの衣装ケースか、タライか。ふむ。」
「コンクリで作っちまえば良いんじゃねぇか?」
「型枠がないなぁ。」
「だったらさぁ。」
「あの殿?」
「なんですか?」
「そのおっぱいの大きな女の人、どなたですか?玉の敵ですね。」
「ん?馬。」
「うまぁ!」
「あらあら。」
あらあら母さん。
少し目を離したら、魚籠代わりの洗面器が山になってます。
………
「大口真神。」
「はぁ。」
手力男が時々手伝いに来てくれる事をさっき知った佳奈佳奈は、新しい神様の登場にも慌てる事はなかった。
「玉ちゃんは知ってたの?」
「お母さんが神馬様は神様って言ってたので。」
「ちょっと目を離したら女と縁を作って来る人ね。」
「浮気してやがるって事?」
いや、君たちね。
佳奈1人エキサイト気味だけど、玉と佳奈は平然としたもの。
「玉達に手をつけずに他の方に手を出しているなら浮気でしょうけど。」
「こいつは無意識で女を惹き寄せる危険人物なの!」
「そんな人と何故私は婚約したのよ。」
「私達も惹き寄せられたの!」
「です。」
「あらあら。」
君たちね。
「お前、普段何してんの?」
「僕の刀に棲みついているなら、わかるだろう。」
「この17年は日がな一日、狸と遊んで、野菜育てて、飯作って、疲れたら寝てたな。あぁでも、たしかにお前の交友関係って女しかしないな。あと5人か。」
「5人?」
「俺とキクヱと隣の娘と動物園の娘と妹。」
「うち3人は身内と人外じゃないか。」
「人を人外言うな!」
「んじゃお前人間か?」
「違うけど。一応神族の端くれだけど。」
「おい、端くれ。」
「端くれ言うな!」
「殿のあの様子見たらわかります。お隣さんとおんなじ反応です。」
「お隣ってグビ姐さんの事?」
「何そのあだ名?」
君たちね。
「温泉を掘るとか、駄目かね。」
「ここは荼枳尼天様の世界だろ。俺みたいな端くれじゃ会ってもくれないよ。ご主人の方が会えるだろ?」
「それがなぁ、御狐様は時々出てきて、僕が作るデザートを食べてたけど、この17年本人(本神)は出て来ないんだ。何か考えはあるんだろうけど。」
「だったら、俺がなにか探して来るよ。風呂桶になる物がありゃ良いんだろ。」
「おや、珍しく協力的だな。」
「俺も風呂入りたいから。」
「そうですか。」
そういえば、浅葱の温泉に入ってんだっけか。この神様。
………
「殿?」
「なんですか?」
真神が、じゃあねぇとどこかに消えて行く姿を手を振って見送っていると、玉がとことこやって来た。
「あの方は、どちらの神様なんですか?」
「一言主の社の狛犬。」
「はぁ、あの白い狼ですか…。」
「狼は農作物を荒らす猪や鹿を狩ってくれるから、農家は助かったんだよ。山岳信仰の対象にもなったんだな。これが流れに流れて武甕槌の食客になっていたところをキクヱさんに押し付けられた。」
「はぁ。」
「浅葱の庭でひっくり返って遊んでいる神馬は彼女だ。」
「はぁ。」
玉さんの処理能力が超えたらしく、はぁしか言わなくなったので、騒ぎを無視して釣りをしていた、しずさんの洗面器を眺めた。
「鰻は蒲焼に、鮎は塩焼きで行きましょうか。」
「婿殿、川海老はどうしますかねぇ。」
ありゃ、いつの間にか増えたなぁ。
「みんな食べてないの?」
「わふ」
『噛まれると痛いし』
荼枳尼天の眷属が何言ってんの。
川海老のハサミなんか大丈夫でしょ。
「くぅ」
『怖いものは怖いので』
テンママさんさぁ、貂は本来なら凶暴な肉食獣だよ。
「くぅ」
『そんな事よりご飯を食べようよ』
だから、眷属は別にご飯を食べなくてもね……まぁ良いや。
「鰻を捌いているから、玉はご飯を炊いて下さい。」
「わかりました。…あの、お米とお櫃は?」
「あぁ、ちょっと待ちなさい。」
僕は茶店の裏側、佳奈が閉じ籠められて、いつぞやお金がじゃらじゃら溜まっていた隠し空間につけた扉を開けた。
「こんなとこに扉開いてましたっけ?」
「17年も暇だったから、倉庫に改装してみました。」
「…中にお金が詰まってませんでした?」
「政秀さんとこに投げて来た。」
お金はあって損はないでしょうし。
中から米櫃とお釜を取り出して来ると、玉は茶店の中の流しに運んで行った。
冷蔵庫もあるから、まぁ大体のものは揃うかな。
玉の大好きな手作りふりかけは無いけど。
「あ、私も作るね。ねぇ、お味噌ある?」
「市販品なら冷蔵庫に入ってるよ。」
「おし。17年ぶりの佳奈ちゃんお味噌汁をお見舞するからね。」
元気なお嫁さんだ。
「ねぇアニキ。」
「なんですか?」
「今の私は、あの私と違ってお料理は下手くそなので、手は出しません。」
賢明な判断ですね。
「ところで、この建物の壁紙と天井はなんとかなりませんか?目がチカチカするので、900年ここで過ごすならもうちょっと落ち着いた色にしたいのです。」
あれはなぁ。
本当に最初の頃、玉を驚かす為だけにやったからなぁ。
当の玉は、あまり驚いてなかったけど。
「向こうの佳奈はイラストを描いていて、その筆記用具は融通がつくので、デザイン画を描いて下さい。」
「こっちの私、そんな事してるの?」
「玉が児童文学を書いているから、その挿絵を描いているんだよ。」
「ほえぇ。」
なんだかんだで、結局あっという間にいつもの僕らの生活に戻りましたよ。
僕らは何処にいても、結局狸達動物を可愛がって、野菜や果物を育てて、美味しいご飯を作る毎日を繰り返していくんでしょう。
魚釣りが終わったしずさんは、モーちゃんの為に牧草を植えているし。
「婿殿にも、毎日のお勤めを手伝ってもらいますからね。うふふ。」
「この神官服は、御狐様に無理矢理着させられただけなんですけどね。」
因みに、それまで来ていた服は、果樹の間に張られたロープに干しっぱなしだ。
洗濯してくれたのは、たぬきちとテンママ。
なんだかなぁ。
………
「ところで玉?」
「なんですか?殿。」
「なんで僕が殿なんだい?」
「うふふふふ。秘密です。」
死ぬまでには教えて欲しいなぁ。
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はたして、日本に無事戻れるのか?
<第1章の主な内容>
王立魔法学園南校で授業を受けていたら、クラスまるごと徴兵されてしまった。
魔王軍が、王都まで迫ったからだ。
同じクラスは、女生徒ばかり。
毒薔薇姫、毒蛇姫、サソリ姫など、毒はあるけど魔法はからっきしの美少女ばかり。
ベテラン騎士も兵士たちも、あっという間にアース・ドラゴンに喰われてしまった。
しかたがない。ぼくが戦うか。
<第2章の主な内容>
救援要請が来た。南城壁を守る氷姫から。彼女は、王立魔法学園北校が誇る三大魔法剣姫の一人。氷結魔法剣を持つ魔法姫騎士だ。
さっそく救援に行くと、氷姫たち守備隊は、アース・ドラゴンの大軍に包囲され、絶体絶命の窮地だった。
どう救出する?
<第3章の主な内容>
南城壁第十六砦の屋上では、三大魔法剣姫が、そろい踏みをしていた。氷結魔法剣の使い手、氷姫。火炎魔法剣の炎姫。それに、雷鳴魔法剣の雷姫だ。
そこへ、魔王の娘にして、王都侵攻魔王軍の総司令官、炎龍王女がやって来た。三名の女魔族を率いて。交渉のためだ。だが、炎龍王女の要求内容は、常軌を逸していた。
交渉は、すぐに決裂。三大魔法剣姫と魔王の娘との激しいバトルが勃発する。
驚異的な再生能力を誇る女魔族たちに、三大魔法剣姫は苦戦するが……
<第4章の主な内容>
リリーシア王女が、魔王軍に拉致された。
明日の夜明けまでに王女を奪還しなければ、王都平民区の十万人の命が失われる。
なぜなら、兵力の減少に苦しむ王国騎士団は、王都外壁の放棄と、内壁への撤退を主張していた。それを拒否し、外壁での徹底抗戦を主張していたのが、臨時副司令官のリリーシア王女だったからだ。
三大魔法剣姫とトッキロたちは、王女を救出するため、深夜、魔王軍の野営陣地に侵入するが……
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さらに、たどり着いた場所にも獣耳を生やした別の二人の幼女がいて、誰かの助けを必要としていた。朔太郎は迷わず、大人としての責任を果たすと決意する――それをキッカケに、日本と異世界を行き来する不思議な生活がスタートする。
最初に出会った三人の獣耳幼女たちとのお世話生活を中心に、異世界貿易を足掛かりに富を築く。様々な出会いと経験を重ねた朔太郎たちは、いつしか両世界で一目置かれる存在へと成り上がっていくのだった。
※まったり進行です。
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