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4話 月とすっぽんぽん

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 スーツのよく似合うイケメンダンディが退出したのだが、隣からずっとガンを飛ばしてくる美少女がいるのだが。俺は一体どうすればいいのだろうか。

「……(人を殺せそうなレベルの圧)」

 本当にどうすればいいの!?

「あー。お嬢さんは自己紹介は無しですか?」
「あ?」

 ひぃ。怖いよ。恐いもの知らずの俺だけど、びっくりするぐらい怖いよ。
 でも、やっぱり必要なコミュニケーションってのがあると思うんだよ。それこそ自己紹介とかは必要だと思うんだよ。

「はぁ。斎藤きく。よろしく」
「ほほぉ。きくちゃんね」
「……(人を殺せそうなレベルの圧)」
「いやごめんなさいきく様でも随分可愛らしく良い名前だなと思っただけでそもそも俺の名前なんてりらだぞりら漢字もやたら難しいしどう考えたって女子に付ける名前だし女子だったとしてもだいぶキラキラだしで普通の名前なのに可愛いのは素晴らしいなと」

 まあでも名前が嫌いかと言えば、別に嫌いではない。勿論好きでもないが。まあそれは別にどうでも良いが。

「キモ」
「わぁお、辛辣だな。まあ事実だけど。とにかくよろしく」
「馴れ合うつもりはないから」
「そーですか」

 どうせなら美人さんと仲良くなりたかったけど、俺なんかとはつり合うはずもないから良いけど。あ、つり合わないってのは、俺がすっぽんで彼女が月ね。いや俺はもはやすっぽんの糞で彼女は太陽だけど。

「それで、俺はどこで寝れば良いの?」

 なんだかんだでもう夜だ。色々あったせいで時間の感覚がぶっ飛んでたけど、もう夜だ。
 外の暗さを見れば真っ暗でびっくりしたぐ、ら。……。

「ちょ、すげぇ!ナニコレナニコレ!ビルめっちゃ小さく見えるんだけど!結構遠いはずのなんちゃら橋が見えてるしここどんんだけ良い場所なんだよおい!」
「はぁ」

 呆れられた。

「あ、で、俺はどこで寝ればいいの?」
「ソファで寝れば?」

 マジか。
 ソファで寝るのか。マジか。

「ちょ、あまりの感動で涙が」
「え、ちょ、え」

 今までどんなに豪華でもパイプ椅子を3つ並べた特製ベッドで寝てたから、ソファで寝るだなんて。最高じゃないか。

「それじゃあおやすみなさい!」
「あ、うん、おやすみ」

 いやー。テンション上がるなぁ~。テーマパークに行く前日の子供みたいなテンションだよ。ちゃんと寝れるかな。
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