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7話 お仕事
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『今回の仕事はこれだ』
こんな、ありきたりなセリフから、とてつもない依頼が飛んできた。
「この、GURA、って、有名人なの?」
「あんたそんなのも知らないの?」
仕事はきく様と一緒に行う。まあぼくしんじんだし。
「超が付く有名なハッカー。個人なのか集団なのかすら一切わからない、謎の人物」
「へー。ぴこぴこ関連はよくわからん」
「別にゲームの話じゃないし、なんならあんたはその”ぴこぴこ”で遊んでる側でしょ」
世代だけで言うのなら、俺の祖父ぐらいの代からゲームってあったはずだけど。なんならもっと前から。
でもまあ、どうしてもゲームをぴこぴこと呼ぶのは親で、ゲームをプレイしているのは子供、みたいなイメージが残っている。ギリギリ俺も、まだゲームをプレイしている側認定を受けるらしい。
「で、その謎の人物が、何故俺達に護衛なんてのを頼む訳?」
「知る訳ないでしょ。そもそも何人来るかもわからないんだから。理由なんて考えてる理由なんてないのよ」
「なるほど」
確かに、謎の人物は謎なだけあって、何人来るのかもわからないのか。
いや。え?
そもそも俺は護衛なんてされた事も無ければやった事もない。にも関わらず、いきなり複数人の護衛を任されるってなると、それはもう不可能なのでは?
「言いそびれたけど、そのGURAってハッカー、初めて活動が確認されたのが、確か50年ぐらい前なの。ネットじゃ老人だなんだとバカにされたりしてたけど、その腕前だけは確かだったからそれ以上の事はなかったんだけど。どうもつい最近、名前も無いようなハッカーに色々とバレてたみたい」
「ほぉ。つまり、今までしてきた悪事が善人によってバレて捕まるから匿えと?」
「ほぼ間違い」
「ふぇ?」
「秘密を知ったハッカーは善人なんかじゃなくて、老人より優れているって事を証明したかっただけらしい。あと匿うんじゃなくて、空港までの護衛」
「なるほどなぁ」
つまるところ、国外逃亡を手伝えって事だな。
てか理由ほぼ予想できてるし。予想できてるなら、それを教えてくれてもいいじゃないか。
ん?これって、犯罪者を匿う事と同義?
「そんな事して、俺達大丈夫なの?」
「さあ?」
「さあ?そんな感じじゃダメでしょ」
でもまあ、やれって言われたんだからやるしかないよな。俺達の事を保護してくれてる人達からの依頼だし。
「っと、待ち合わせ場所に到着っと」
……。
なんか。目がおかしくなっちゃったのかな?
……。
間違いじゃなかったね。
なんかこう、テーマパークに居てそうな、着ぐるみを着た人間(?)がいた。
「えーっと、GURA、さん?」
『その名前は使うな。』
「あ、すみません。じゃあなんとお呼びすれば」
『そうだな。ネズミとでも呼んでくれ。』
あ。まんまな名前を呼ばせるんだ。
確かに、GURAってそのまま呼ぶのはバカだったけど、だからって着ぐるみの見た目そのままで呼ばせるのは、それはそれで違うじゃん、感がある。まあ名前なんてどうでも良いんだけど。
「じゃ、行きましょう」
因みに、護衛対象との会話は基本的に、俺に任されてる。なんでも、『老人と話を合わせるのは無理だから』だとか。いや俺も老人とできる会話なんてないよ。せいぜい下ネタよ?
◇
挨拶の時は緊張していて気が付かなかったが、護衛対象は一人だけだった。おかげでスーツの似合うイケメンダンディから教えてもらった色々が役に立った。
「ねえあんた、なんでさっきからこんな細くて暗い道ばっかり行くの?想定してた道ってもうちょっと明るい道だったでしょ」
「いやだって護衛だろ?下手に人が多い場所より、こういう場所が丁度良いんだよ。あのイケメンにも許可は得てるってか、そうしても良いぞ~って言われたし」
『何を話しているんだ?』
「いえなんでも。この後どうするかを離してただけなので」
まあでも、確かに結構うすぐらい場所だったかもな。もうちょっと明るい場所に向かった方が良いかもな。
バンッ!!
「なっ。銃声!?」
「嘘でしょ?こんな入り組んでる場所で発砲とかするの?どこから狙えるっていうの?」
「この辺りは基本廃墟で野蛮人が住み着いているはずだから、すれ違う人に注意を払ってたらいいと思った俺がバカだったかこりゃ」
しかもこの辺りの廃墟は、大惨事ベビーブーム時代のマンションだから、メッチャ低いマンションでも10階建てとかあったはず。
それが路地裏程度の道幅しか残さずに、所狭しと建てられてる。
『ちゃんと守れるんだよな?』
「無理でも守る。それが仕事なんで」
一応、銃が使われる可能性も聞いてたし、なんなら”ゴミ捨て場”に居た時は定期的に銃声は聞こえてきたけども。まさか実際に使ってくるとは思っても無かった。
というかだ。思っていなかったというよりも、自分がそんな物騒な世界に居るってのが信じられない。まあ信じられなくてもそれが事実なんだから、これからどうするかを考えるべきだが。
『このケースも守れるんだろうな?』
「ネズミさんの命が第一です」
『なら守れ。これは命より重い。いや、違うな。これはボクの命そのものだ。』
「わかりました」
俺にはよくわからないが、本人にとっては命よりも大事なものなんだろう。ならばしっかりと守るべきだな。
「とにかく。向こうがこっちの位置をしっかりと把握しているなら、さっきの一発で仕留めれられたはず。だからこれは脅しか、こっちとは全く関係ない問題の可能性があります。でもそんなあやふやな理由で無視するのはできないから、とりあえずもうちょっと人がいる場所に行きましょう。そうすれば人混みに紛れられ、る。ごめんやっぱりこのまま路地裏を行く。でもできる限り急ぐぞ。うん」
人混みの中に入るのは自分にしては良い考えだなと思ったけど、人混みの中にネズミの着ぐるみが居たら普通以上に目立つもん。どう考えてもこの考えはクソだった。
バンッ!!
二発目が来た。
しかも恐ろしい事に、着弾した場所が、俺の前方にあるごみ箱に当たった。完全に場所がバレていて、こっちを狙っている。
ただ、朗報と言えるのは、場所がバレているにも関わらず、人を狙ってこなかった。単に外しただけの可能性もあるが、そんな事あるか?スナイパーとかじゃないから何とも言えないけども、いくら狙いから外れたからと言って、掠るどころかホームランクラスのミスはしないんじゃない?
とまあとにかく。狙っているにしても、ネズミの近くにすら着弾していない事を考えると、向こうは誰が対象かまだ判断できていない可能性もある。
ただ、裏を返せば、誰彼構わず撃ってくるって事だ。ならば急がないと。俺が撃たれるのは別に構わないけども、そうすれば誰が護衛するんだって話だ。そう、きくがいるが。結局俺が死ねば、護衛成功の確率は下がる。何て言ったって、囮が一人減る訳だから。
だからこそ、早く護衛を終わらせる必要がある。
「急ぎましょう」
こんな、ありきたりなセリフから、とてつもない依頼が飛んできた。
「この、GURA、って、有名人なの?」
「あんたそんなのも知らないの?」
仕事はきく様と一緒に行う。まあぼくしんじんだし。
「超が付く有名なハッカー。個人なのか集団なのかすら一切わからない、謎の人物」
「へー。ぴこぴこ関連はよくわからん」
「別にゲームの話じゃないし、なんならあんたはその”ぴこぴこ”で遊んでる側でしょ」
世代だけで言うのなら、俺の祖父ぐらいの代からゲームってあったはずだけど。なんならもっと前から。
でもまあ、どうしてもゲームをぴこぴこと呼ぶのは親で、ゲームをプレイしているのは子供、みたいなイメージが残っている。ギリギリ俺も、まだゲームをプレイしている側認定を受けるらしい。
「で、その謎の人物が、何故俺達に護衛なんてのを頼む訳?」
「知る訳ないでしょ。そもそも何人来るかもわからないんだから。理由なんて考えてる理由なんてないのよ」
「なるほど」
確かに、謎の人物は謎なだけあって、何人来るのかもわからないのか。
いや。え?
そもそも俺は護衛なんてされた事も無ければやった事もない。にも関わらず、いきなり複数人の護衛を任されるってなると、それはもう不可能なのでは?
「言いそびれたけど、そのGURAってハッカー、初めて活動が確認されたのが、確か50年ぐらい前なの。ネットじゃ老人だなんだとバカにされたりしてたけど、その腕前だけは確かだったからそれ以上の事はなかったんだけど。どうもつい最近、名前も無いようなハッカーに色々とバレてたみたい」
「ほぉ。つまり、今までしてきた悪事が善人によってバレて捕まるから匿えと?」
「ほぼ間違い」
「ふぇ?」
「秘密を知ったハッカーは善人なんかじゃなくて、老人より優れているって事を証明したかっただけらしい。あと匿うんじゃなくて、空港までの護衛」
「なるほどなぁ」
つまるところ、国外逃亡を手伝えって事だな。
てか理由ほぼ予想できてるし。予想できてるなら、それを教えてくれてもいいじゃないか。
ん?これって、犯罪者を匿う事と同義?
「そんな事して、俺達大丈夫なの?」
「さあ?」
「さあ?そんな感じじゃダメでしょ」
でもまあ、やれって言われたんだからやるしかないよな。俺達の事を保護してくれてる人達からの依頼だし。
「っと、待ち合わせ場所に到着っと」
……。
なんか。目がおかしくなっちゃったのかな?
……。
間違いじゃなかったね。
なんかこう、テーマパークに居てそうな、着ぐるみを着た人間(?)がいた。
「えーっと、GURA、さん?」
『その名前は使うな。』
「あ、すみません。じゃあなんとお呼びすれば」
『そうだな。ネズミとでも呼んでくれ。』
あ。まんまな名前を呼ばせるんだ。
確かに、GURAってそのまま呼ぶのはバカだったけど、だからって着ぐるみの見た目そのままで呼ばせるのは、それはそれで違うじゃん、感がある。まあ名前なんてどうでも良いんだけど。
「じゃ、行きましょう」
因みに、護衛対象との会話は基本的に、俺に任されてる。なんでも、『老人と話を合わせるのは無理だから』だとか。いや俺も老人とできる会話なんてないよ。せいぜい下ネタよ?
◇
挨拶の時は緊張していて気が付かなかったが、護衛対象は一人だけだった。おかげでスーツの似合うイケメンダンディから教えてもらった色々が役に立った。
「ねえあんた、なんでさっきからこんな細くて暗い道ばっかり行くの?想定してた道ってもうちょっと明るい道だったでしょ」
「いやだって護衛だろ?下手に人が多い場所より、こういう場所が丁度良いんだよ。あのイケメンにも許可は得てるってか、そうしても良いぞ~って言われたし」
『何を話しているんだ?』
「いえなんでも。この後どうするかを離してただけなので」
まあでも、確かに結構うすぐらい場所だったかもな。もうちょっと明るい場所に向かった方が良いかもな。
バンッ!!
「なっ。銃声!?」
「嘘でしょ?こんな入り組んでる場所で発砲とかするの?どこから狙えるっていうの?」
「この辺りは基本廃墟で野蛮人が住み着いているはずだから、すれ違う人に注意を払ってたらいいと思った俺がバカだったかこりゃ」
しかもこの辺りの廃墟は、大惨事ベビーブーム時代のマンションだから、メッチャ低いマンションでも10階建てとかあったはず。
それが路地裏程度の道幅しか残さずに、所狭しと建てられてる。
『ちゃんと守れるんだよな?』
「無理でも守る。それが仕事なんで」
一応、銃が使われる可能性も聞いてたし、なんなら”ゴミ捨て場”に居た時は定期的に銃声は聞こえてきたけども。まさか実際に使ってくるとは思っても無かった。
というかだ。思っていなかったというよりも、自分がそんな物騒な世界に居るってのが信じられない。まあ信じられなくてもそれが事実なんだから、これからどうするかを考えるべきだが。
『このケースも守れるんだろうな?』
「ネズミさんの命が第一です」
『なら守れ。これは命より重い。いや、違うな。これはボクの命そのものだ。』
「わかりました」
俺にはよくわからないが、本人にとっては命よりも大事なものなんだろう。ならばしっかりと守るべきだな。
「とにかく。向こうがこっちの位置をしっかりと把握しているなら、さっきの一発で仕留めれられたはず。だからこれは脅しか、こっちとは全く関係ない問題の可能性があります。でもそんなあやふやな理由で無視するのはできないから、とりあえずもうちょっと人がいる場所に行きましょう。そうすれば人混みに紛れられ、る。ごめんやっぱりこのまま路地裏を行く。でもできる限り急ぐぞ。うん」
人混みの中に入るのは自分にしては良い考えだなと思ったけど、人混みの中にネズミの着ぐるみが居たら普通以上に目立つもん。どう考えてもこの考えはクソだった。
バンッ!!
二発目が来た。
しかも恐ろしい事に、着弾した場所が、俺の前方にあるごみ箱に当たった。完全に場所がバレていて、こっちを狙っている。
ただ、朗報と言えるのは、場所がバレているにも関わらず、人を狙ってこなかった。単に外しただけの可能性もあるが、そんな事あるか?スナイパーとかじゃないから何とも言えないけども、いくら狙いから外れたからと言って、掠るどころかホームランクラスのミスはしないんじゃない?
とまあとにかく。狙っているにしても、ネズミの近くにすら着弾していない事を考えると、向こうは誰が対象かまだ判断できていない可能性もある。
ただ、裏を返せば、誰彼構わず撃ってくるって事だ。ならば急がないと。俺が撃たれるのは別に構わないけども、そうすれば誰が護衛するんだって話だ。そう、きくがいるが。結局俺が死ねば、護衛成功の確率は下がる。何て言ったって、囮が一人減る訳だから。
だからこそ、早く護衛を終わらせる必要がある。
「急ぎましょう」
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