Doll Master

亜黒

文字の大きさ
6 / 41

【奇妙な予告状】③

しおりを挟む
思わず遠い目をしてしまった新一の耳に、麗子の何処か不機嫌な甲高い声が響く。

『もう!何よ、その反応は。新ちゃんのこと心配して掛けたってのに』

「そう思うんだったら、時間を考えてくれよ。今何時だと思ってるんだ?夜中の零時はとっくに過ぎてるんだぞ」

『あら、ごめんなさい。でも、新ちゃん次の日が休みの時はいつも本読んでるでしょ?しかも、大抵は徹夜で。なら、この時間だったら起きてると思って』

「………」

思わず無言になる新一。普段の行動を的確に読んでいる発言だった。確かに、何事もなく家にいれば、確実に起きている時間だったのだから。

無言になった息子のことなど露知らず、麗子は元気に話を続ける。

『あ、そうそう。聞いてよ新ちゃん。信作ったらね、この前…』
 
「はいはい」

麗子の電話は長くなると直感的に思った新一は、電話の子機を持ったまま風呂場へ移動し、取り敢えず濡れた衣服をその場に脱ぎ捨ててそこに置いてあった適当な服を羽織ると、その足でリビングのソファーに座り込んだ。

『もう、その時は驚いちゃって!…ちょっと、聞いてる?新ちゃん』

「聞いてるって。それで、父さんはなんて?」

『そう。それでね、信作ったら「それぐらい解っていたさ。ただ、君の悲しい顔を見たくなくてね」ですって!もう、私嬉しくて嬉しくて………』

「…相変わらず、気障な台詞だな。本当、父さんらしい」

九條信作。新一の父にして、今売れっ子の小説家兼探偵をしている。本業は探偵なのだが、面白半分に出した小説が空前の大ヒットを記録した所為で、出版社に追われ仕方なく執筆した作品がまた売れての繰り返しで、今やどちらが本業なのかという感じだ。

勿論、本業である探偵もしっかりこなしているのだから、ある意味凄いと思う。

そんな彼に影響され、新一も物心つく頃から探偵としての知識や技術を色々教わり、今じゃ立派な推理オタクになっていた。

尊敬する人は誰か問われれば、まず『父だ』と答えるだろう。

そんな彼だが、妻である麗子を溺愛しており、麗子に対して事ある毎に小説で使うような気障な台詞を吐いて、その度に感激した麗子が新一に惚気話を電話でしてくるという傍迷惑な所があった。

その為、今回も深夜零時を過ぎているというのに(半ば無理矢理)延々と信作に対する愚痴というか惚気話を聞かされる新一だった。
 


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

罪悪と愛情

暦海
恋愛
 地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。  だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...