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【奇妙な予告状】③
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思わず遠い目をしてしまった新一の耳に、麗子の何処か不機嫌な甲高い声が響く。
『もう!何よ、その反応は。新ちゃんのこと心配して掛けたってのに』
「そう思うんだったら、時間を考えてくれよ。今何時だと思ってるんだ?夜中の零時はとっくに過ぎてるんだぞ」
『あら、ごめんなさい。でも、新ちゃん次の日が休みの時はいつも本読んでるでしょ?しかも、大抵は徹夜で。なら、この時間だったら起きてると思って』
「………」
思わず無言になる新一。普段の行動を的確に読んでいる発言だった。確かに、何事もなく家にいれば、確実に起きている時間だったのだから。
無言になった息子のことなど露知らず、麗子は元気に話を続ける。
『あ、そうそう。聞いてよ新ちゃん。信作ったらね、この前…』
「はいはい」
麗子の電話は長くなると直感的に思った新一は、電話の子機を持ったまま風呂場へ移動し、取り敢えず濡れた衣服をその場に脱ぎ捨ててそこに置いてあった適当な服を羽織ると、その足でリビングのソファーに座り込んだ。
『もう、その時は驚いちゃって!…ちょっと、聞いてる?新ちゃん』
「聞いてるって。それで、父さんはなんて?」
『そう。それでね、信作ったら「それぐらい解っていたさ。ただ、君の悲しい顔を見たくなくてね」ですって!もう、私嬉しくて嬉しくて………』
「…相変わらず、気障な台詞だな。本当、父さんらしい」
九條信作。新一の父にして、今売れっ子の小説家兼探偵をしている。本業は探偵なのだが、面白半分に出した小説が空前の大ヒットを記録した所為で、出版社に追われ仕方なく執筆した作品がまた売れての繰り返しで、今やどちらが本業なのかという感じだ。
勿論、本業である探偵もしっかりこなしているのだから、ある意味凄いと思う。
そんな彼に影響され、新一も物心つく頃から探偵としての知識や技術を色々教わり、今じゃ立派な推理オタクになっていた。
尊敬する人は誰か問われれば、まず『父だ』と答えるだろう。
そんな彼だが、妻である麗子を溺愛しており、麗子に対して事ある毎に小説で使うような気障な台詞を吐いて、その度に感激した麗子が新一に惚気話を電話でしてくるという傍迷惑な所があった。
その為、今回も深夜零時を過ぎているというのに(半ば無理矢理)延々と信作に対する愚痴というか惚気話を聞かされる新一だった。
『もう!何よ、その反応は。新ちゃんのこと心配して掛けたってのに』
「そう思うんだったら、時間を考えてくれよ。今何時だと思ってるんだ?夜中の零時はとっくに過ぎてるんだぞ」
『あら、ごめんなさい。でも、新ちゃん次の日が休みの時はいつも本読んでるでしょ?しかも、大抵は徹夜で。なら、この時間だったら起きてると思って』
「………」
思わず無言になる新一。普段の行動を的確に読んでいる発言だった。確かに、何事もなく家にいれば、確実に起きている時間だったのだから。
無言になった息子のことなど露知らず、麗子は元気に話を続ける。
『あ、そうそう。聞いてよ新ちゃん。信作ったらね、この前…』
「はいはい」
麗子の電話は長くなると直感的に思った新一は、電話の子機を持ったまま風呂場へ移動し、取り敢えず濡れた衣服をその場に脱ぎ捨ててそこに置いてあった適当な服を羽織ると、その足でリビングのソファーに座り込んだ。
『もう、その時は驚いちゃって!…ちょっと、聞いてる?新ちゃん』
「聞いてるって。それで、父さんはなんて?」
『そう。それでね、信作ったら「それぐらい解っていたさ。ただ、君の悲しい顔を見たくなくてね」ですって!もう、私嬉しくて嬉しくて………』
「…相変わらず、気障な台詞だな。本当、父さんらしい」
九條信作。新一の父にして、今売れっ子の小説家兼探偵をしている。本業は探偵なのだが、面白半分に出した小説が空前の大ヒットを記録した所為で、出版社に追われ仕方なく執筆した作品がまた売れての繰り返しで、今やどちらが本業なのかという感じだ。
勿論、本業である探偵もしっかりこなしているのだから、ある意味凄いと思う。
そんな彼に影響され、新一も物心つく頃から探偵としての知識や技術を色々教わり、今じゃ立派な推理オタクになっていた。
尊敬する人は誰か問われれば、まず『父だ』と答えるだろう。
そんな彼だが、妻である麗子を溺愛しており、麗子に対して事ある毎に小説で使うような気障な台詞を吐いて、その度に感激した麗子が新一に惚気話を電話でしてくるという傍迷惑な所があった。
その為、今回も深夜零時を過ぎているというのに(半ば無理矢理)延々と信作に対する愚痴というか惚気話を聞かされる新一だった。
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