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[2]ようこそ寝かしつけクラスへ
①
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二限目は『獣操クラス』『医療クラス』『栄養管理クラス』『寝かしつけクラス』の四つに別れて授業を行う。いわゆるクラス別授業だ。
「栄養管理クラスは今から二階の調理室に集合だよ。アンナは?」
廊下を歩きながら、ライラは私にそう聞いた。
「寝かしつけクラスは外の温室だって。」
「あー、あのお庭みたいなとこかぁ。何するんだろうね。」
「最初の授業だから、先生や先輩たちとの顔合わせってとこじゃない?」
「じゃあまた自己紹介するのかな~。」
「もう自己紹介はこりごりだよね!」
そう言ってライラと顔を見合わせながら笑って、階段の前で別れた。ライラとはすっかり親友になった。
そして一人になった私は、カーディガンを羽織って校舎の外に出た。
透明な壁に囲まれた温室は、校舎のすぐ隣にある。
「ここかぁ……。」
ドキドキする。私の胸は期待と不安が半分ずつ。
まず一度深呼吸してから、温室の重い扉を開けて中に入った。
建物の中は、独特な葉っぱの匂いが充満してる。
中央に大きな木。そして壁側一面に花や草がびっしり生えていて、室内なのにまるで外にいるみたいだ。
屋根は丸いドーム状で、ガラスのような透明な素材でできている。そこから太陽の光が降りそそいで、部屋の中はポカポカと温かい。
「あっ、アンナさんだ!」
中央の木のそばに置かれた四つの白いベンチ。そこに座っていた人たちが、私を見てそう言った。
男の子が二人と女の子が三人。
歳は私よりも少し上か一緒ぐらいに見える。みんな制服がピカピカだからきっと同級生だろう。
その子たちのところに駆け寄ると、目のくりっとした小柄な女の子が真っ先に声をかけてくれた。
「これで『寝かしつけクラス』の一年生は全員揃ったね。先輩たちと担当の先生はなんだか準備があるとかで……どこかへ行っちゃったの。」
「アンナさんも座って一緒に待ちましょう。」
言われるがまま、その子たちの隣に腰掛けた。
えっと……。
「一年生って六人だけなの?」
さすがに聞かずにはいられない。
「うん、そうだよ。ほら、名簿表がここにあるよ。」
そう言われて食い入るように名簿表を見た。ほんとだ。六人だけだ……。
少なっ!
「でもさ、一年生って九十六人いるよね。それを四クラスに分けたなら、ひとクラス二十人ぐらいはいるはずだよね? だって(96÷4=24)でしょ! ……それが六人って少なすぎると思うんだけど。」
確かに自己紹介で『寝かしつけ』のスピーチしてる人がものすごく少ないなって思ってたけど、ここまでとは思わなかった。
すると別のベンチで読書をしていた瓶底眼鏡の男の子がボソっと話し始めた。
「いわゆる定員割れってやつだね。『寝かしつけ』クラスは不人気だから。」
「えっ、ええ……。」
そんなに不人気なの? 私は呆気にとられて開いた口が塞がらなかった。
「栄養管理クラスは今から二階の調理室に集合だよ。アンナは?」
廊下を歩きながら、ライラは私にそう聞いた。
「寝かしつけクラスは外の温室だって。」
「あー、あのお庭みたいなとこかぁ。何するんだろうね。」
「最初の授業だから、先生や先輩たちとの顔合わせってとこじゃない?」
「じゃあまた自己紹介するのかな~。」
「もう自己紹介はこりごりだよね!」
そう言ってライラと顔を見合わせながら笑って、階段の前で別れた。ライラとはすっかり親友になった。
そして一人になった私は、カーディガンを羽織って校舎の外に出た。
透明な壁に囲まれた温室は、校舎のすぐ隣にある。
「ここかぁ……。」
ドキドキする。私の胸は期待と不安が半分ずつ。
まず一度深呼吸してから、温室の重い扉を開けて中に入った。
建物の中は、独特な葉っぱの匂いが充満してる。
中央に大きな木。そして壁側一面に花や草がびっしり生えていて、室内なのにまるで外にいるみたいだ。
屋根は丸いドーム状で、ガラスのような透明な素材でできている。そこから太陽の光が降りそそいで、部屋の中はポカポカと温かい。
「あっ、アンナさんだ!」
中央の木のそばに置かれた四つの白いベンチ。そこに座っていた人たちが、私を見てそう言った。
男の子が二人と女の子が三人。
歳は私よりも少し上か一緒ぐらいに見える。みんな制服がピカピカだからきっと同級生だろう。
その子たちのところに駆け寄ると、目のくりっとした小柄な女の子が真っ先に声をかけてくれた。
「これで『寝かしつけクラス』の一年生は全員揃ったね。先輩たちと担当の先生はなんだか準備があるとかで……どこかへ行っちゃったの。」
「アンナさんも座って一緒に待ちましょう。」
言われるがまま、その子たちの隣に腰掛けた。
えっと……。
「一年生って六人だけなの?」
さすがに聞かずにはいられない。
「うん、そうだよ。ほら、名簿表がここにあるよ。」
そう言われて食い入るように名簿表を見た。ほんとだ。六人だけだ……。
少なっ!
「でもさ、一年生って九十六人いるよね。それを四クラスに分けたなら、ひとクラス二十人ぐらいはいるはずだよね? だって(96÷4=24)でしょ! ……それが六人って少なすぎると思うんだけど。」
確かに自己紹介で『寝かしつけ』のスピーチしてる人がものすごく少ないなって思ってたけど、ここまでとは思わなかった。
すると別のベンチで読書をしていた瓶底眼鏡の男の子がボソっと話し始めた。
「いわゆる定員割れってやつだね。『寝かしつけ』クラスは不人気だから。」
「えっ、ええ……。」
そんなに不人気なの? 私は呆気にとられて開いた口が塞がらなかった。
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