【完結】見習い魔獣士アンナの寝かしつけ

うれし乃まさみ

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[16]ピピの寝かしつけ

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「あの、ルカ……。」
 副主任がピピにいつものマッサージをし、魔獣士さんたちが獣楽器をセッティングしている間、私はルカに話しかけた。
「……来てくれてよかった。寝かしつけ科の魔獣士さんたちはみんないい人ばかりだし、頼りになるから。……あ、私はもう鬱陶しいこと言ったりしないから安心して……じゃ、向こうで調律してくるね。」
 最後の方は早口で聞き取れないんじゃないかってぐらいモゴモゴしてしまったけれど、もういい。

 今からは皆でピピを一分でも長く眠らせるんだ。
 ルカとピピが明日の最終課題で精一杯の力が出せるように……。
 そう思いながらその場から離れようとした時、ルカがやっと口を開いた。

「……昨日のことだけどさ。」

 昨日のこと、と言われて体がこわばった。ルカが何を考えてるのか分からないから、もちろんこれから何を言われるのかも予想できない。

「俺、『インターンなんて何日かかってもいい』って言ったじゃん。でもやっぱりそれって、ピピには負担がかかるだろ。」
「……? え、ああ……そうだよね。」
 そりゃそうだ。ルカが家に帰らなくていいからって課題を何日もやっていたら、それに付き合わされるピピはその分疲れるだろう。
 でも、なんで今更この話?
 ルカが何を言いたいのか分からなくて、頭にハテナが浮かんだ。
「だから……まあ、その……昨日アンタに言われて、視点を変えてみようと思ったんだ。最終課題を早く終わらせてやればピピも早く休めるし、俺もアカデミーの寮に帰って宿題もできる。……なによりあの主任に一泡吹かせられる。」
 確かにそうだ。
 だけどそれができれば苦労しないよね。獣操クラス一優秀なルカが悩むほど難しい課題なんだもの。
 いつのまにか私はルカと話し込んでいた。

「このままじゃだめだって思ったんだ。ピピのことをもっと知らないといけないって。だけど、それは一人じゃ無理だって気付いた。」
「そっか……。」
「昨日アンタが言ってただろ。魔獣士はチームだって。」

 ……え、もしかして私がそう言ったおかげで考えが変わったってこと?
 すーごく分かりずらいけど、もしかして私今、ルカに感謝されてる……?
 困惑しながらルカを見上げると、気まずそうに目をそらされた。
 な、なんなの? ええ?

「だから……その、昨日は言い過ぎた。あと、家のことはアンタに関係ないのに八つ当たりした。……悪かった。」
「……いや、あれは私が無神経だったからルカは悪くないよ。」
「……まあ、そうだな。」
「って、そこは納得するんかい!」
 思わずツッコミをいれると、ルカがニヤリと笑った。
 つられて私も吹き出した。
「ふふ、それじゃ……やりますか!」
 私は気合を入れるため、ルカに向けて親指をあげて、とびっきりのグゥサインを見せてやった。
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