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[16]ピピの寝かしつけ
④
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「はあ……やっぱりこうなるか……。」
ルカはピピが途中で飛行を中断したことを嘆いている。
「やっぱり、ってことはいつもこうなの?」
「ああ、昼間の飛行訓練もスピードをあげようとするといつも失速するんだ。」
「そうなんだ。なんだかピピは眠そうに見えたよ。」
私がそう呟くと、ドーマス副主任はうんうんと大きく頷いた。
先ほどの獣操は途中までは上手くいってた。
だけどルカが体を密着させたとたん、ピピは急に眠たそうになってしまった。
もしかしてピピって……。
「ピピは人のぬくもりで眠くなるのかもしれないな。」
副主任は丸眼鏡を光らせてそう言った。
ぬくもり……。
そうだ。ピピは親離れしたばかりのまだ子どものビーピルだ。
今まで自分の掘った穴で眠っていたのは、単に土の中が心地いいってわけじゃなくて、お母さんの温もりに似たジャストフィットな穴だったから。
そして今さっき新たに分かったこと……それは飛行訓練中に体を密着されると、ピピは眠くなってしまうということ。
つまり……ピピが眠くなるぬくもりを感じるのは、あの穴だけじゃなかったってこと。
ドーマス副主任は、人のぬくもりがあの穴の代わりになって、ピピを寝かせることができるかもしれないって考えたみたい。
「よし、じゃあ作戦変更! 今からピピの『ハグっと作戦』を決行しよう!」
「おー!!」
ドーマス副主任のかけ声に、私は元気よく拳を突き上げた。
これはいけるかもしれない。
ピピは今夜やっとぐっすり眠れるかも……!
私たちの勢いに圧倒されたルカは一瞬だけポカンとしていたけれど、副主任に言われるがまま『ハグっと作戦』に参加することになった。
ドーマス副主任考案の『ハグっと作戦』とは……。
まず副主任がピピの背中に乗り、ハグ。
そして私とルカが左右両サイドから、ハグ。
そして他の魔獣士さんたちが頭側とお尻側からも、ハグ。
五人の人間にぎゅーっと抱きしめられた状態のピピに、残った一人が獣楽器の音色を聞かせる……これが『ハグっと作戦』だ。
一見、皆でピピをハグしてるだけのシュールな光景のようだけど、これはれっきとした『寝かしつけ』だ。
私はピピに全身を密着させて、深く息を吐いた。
するといつのまにか落ち着きのなかったピピが、静かになっている。
すう、すう、すう、すぴー、すう、すう……。
ピピの規則的な寝息が聞こえる。
そして重く閉じられた瞼が完全に動かなくなった。
これはついに……! ついに……!
ピピが眠りについた!
作戦は大成功だ。
ピピを無事に眠らせた後、寝かしつけ舎の中はお祝いムード一色だった。
何をしても眠らなかったピピが、今夜はいつもよりうんと早く眠ったのだから喜ばないわけがない。
もちろんルカも晴々とした表情になっていた。
その後、私はいつもより早い時間に研修生寮へ戻ることになった。
私の夏のインターンシップはこれでおしまいだ。
少し寂しいけど……今夜は私もぐっすり眠れそうだ。
ルカはピピが途中で飛行を中断したことを嘆いている。
「やっぱり、ってことはいつもこうなの?」
「ああ、昼間の飛行訓練もスピードをあげようとするといつも失速するんだ。」
「そうなんだ。なんだかピピは眠そうに見えたよ。」
私がそう呟くと、ドーマス副主任はうんうんと大きく頷いた。
先ほどの獣操は途中までは上手くいってた。
だけどルカが体を密着させたとたん、ピピは急に眠たそうになってしまった。
もしかしてピピって……。
「ピピは人のぬくもりで眠くなるのかもしれないな。」
副主任は丸眼鏡を光らせてそう言った。
ぬくもり……。
そうだ。ピピは親離れしたばかりのまだ子どものビーピルだ。
今まで自分の掘った穴で眠っていたのは、単に土の中が心地いいってわけじゃなくて、お母さんの温もりに似たジャストフィットな穴だったから。
そして今さっき新たに分かったこと……それは飛行訓練中に体を密着されると、ピピは眠くなってしまうということ。
つまり……ピピが眠くなるぬくもりを感じるのは、あの穴だけじゃなかったってこと。
ドーマス副主任は、人のぬくもりがあの穴の代わりになって、ピピを寝かせることができるかもしれないって考えたみたい。
「よし、じゃあ作戦変更! 今からピピの『ハグっと作戦』を決行しよう!」
「おー!!」
ドーマス副主任のかけ声に、私は元気よく拳を突き上げた。
これはいけるかもしれない。
ピピは今夜やっとぐっすり眠れるかも……!
私たちの勢いに圧倒されたルカは一瞬だけポカンとしていたけれど、副主任に言われるがまま『ハグっと作戦』に参加することになった。
ドーマス副主任考案の『ハグっと作戦』とは……。
まず副主任がピピの背中に乗り、ハグ。
そして私とルカが左右両サイドから、ハグ。
そして他の魔獣士さんたちが頭側とお尻側からも、ハグ。
五人の人間にぎゅーっと抱きしめられた状態のピピに、残った一人が獣楽器の音色を聞かせる……これが『ハグっと作戦』だ。
一見、皆でピピをハグしてるだけのシュールな光景のようだけど、これはれっきとした『寝かしつけ』だ。
私はピピに全身を密着させて、深く息を吐いた。
するといつのまにか落ち着きのなかったピピが、静かになっている。
すう、すう、すう、すぴー、すう、すう……。
ピピの規則的な寝息が聞こえる。
そして重く閉じられた瞼が完全に動かなくなった。
これはついに……! ついに……!
ピピが眠りについた!
作戦は大成功だ。
ピピを無事に眠らせた後、寝かしつけ舎の中はお祝いムード一色だった。
何をしても眠らなかったピピが、今夜はいつもよりうんと早く眠ったのだから喜ばないわけがない。
もちろんルカも晴々とした表情になっていた。
その後、私はいつもより早い時間に研修生寮へ戻ることになった。
私の夏のインターンシップはこれでおしまいだ。
少し寂しいけど……今夜は私もぐっすり眠れそうだ。
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