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148話
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ジョウキside
ユナとホテルに帰りメンバーを部屋に集めて全ての事情を話した。
J「アナは俺たちのMV撮影の時の事故で脳に小さな出血ができたらしい。その血液が固まって神経を圧迫してる。今、そのせいで記憶が曖昧になったり…記憶障害が起きてるらしい…」
俺の淡々とした説明を聞いたメンバーたちの顔色が変わり、驚いた顔を隠せないでいた。
H「だからか…アナさ俺と会った瞬間、俺の事覚えてなかったんだよ。俺はすぐに思い出したから冗談だと思ったんだけど…それがその影響ってことなんだね…」
ハヤセくんは微かに目に涙を滲ませながらそう言った。
J「おそらく…アナは手術をしないと命自体も危険になるんだ…だからお兄さんは手術させるつもりみたいなんだけど…」
M「その手術になにか問題があるの?」
思わず震える俺の代わりにユナが答えてくれた。
Y「その手術をすると命は助かる確率は高くなるけど神経の近くの手術だからもしかしたら…記憶がなくなったり身体に障害が残るかもしれないの…」
T「そんな…せっかく取り戻した記憶なのに…なんでこんな事に…。」
Y「ヒスイさんは様子を見てアナに伝えるつもりだったみたいでまだ、手術のことはアナには伝えてなかったみたい。」
H「そうだったんだ…じゃ、病気のことも本人は詳しく知らないってこと?」
J「そうです…でも、本人も薄々気づいてるだろうって。たぶん、アナは帰国するつもりだったと思うんですよ。でも、お兄さんは着々と手術の準備を進めててその大事なタイミングで…俺がアナと再会してしまった…」
Y「きっと…このままだとアナは手術をせずにジョウキのそばにいたいって言うと思うから…もうジョウキはアナとは会わず…このまま帰国してくれって…お兄さんが…」
H「お兄様の気持ちも分かるが…それじゃ…アナにとってもあんまりだ…」
誰も納得なんて出来ない…
それは俺が一番思ってる。
でもこのまま手術をせず放っておけばアナの命が危なくなり、手術をすれば記憶を失い今のように動けなくなるかもしれない。
こんな残酷な2択あるか…?
でも俺は…アナに会えなくてもアナが俺の事を忘れてしまっても、どこかで生きていてほしい。
手術が無事に終われば、俺の事を思い出すまでそばにいればいい。
俺がアナの手となり足となる。
だから俺が今、アナから離れて酷いことを言ったとしても、どうかアナは泣かないでほしい。
また、すぐアナのそば行くから…
だから俺はアナに絶対に生きてほしい…
ヒスイさんはそんな事を思う俺を許してくれるかな?
全員が無言の中…
俺は下唇を噛みながらそんな事を思っていた。
するとユナのスマホがなり要件を聞いているユナの顔が一瞬にして青ざめていく。
J「ユナ?」
Y「ア…アナが…いなくなった…」
え…うそだろ…
ユナの言葉を聞いた俺たちは固まる。
J「ユナ…一体、どいうことだよ。」
Y「リツさんからの連絡で薬で眠っているはずのアナが家からいなくなったって。スマホも持ってないからGPSで探せないって。だからそっちに行ってないかって…アナ…ヒスイさんに内緒で部屋を抜け出したいってリツさんにお願してたみたい…」
J「…マジかよ…」
H「おいっ!ジョウキどこ行くんだよ!」
J「どこ行くってアナを探しに行くに決まってんだろ!?」
今にも扉から飛びたして行きそうな勢いの俺をハヤセくんがとめた。
H「あてはあるのかよ!?この辺のこと分かっててお前は行くのかよ!?」
J「アテなんてねぇよ!この辺の事なんて分かるわけねぇだろ!でも…アナの事…放っておけねぇんだよ!」
俺はハヤセくんが悪いわけでもないのにこの不安とイライラを全てぶつける。
S「やめろ!そんな事言い合ってる場合じゃないだろ?とりあえず俺たちも分かる範囲内で探そう。ユナ、一応、念のためそのリツさんって人の連絡先を全員に送っておいて。ユナはアナがホテルに来るかもしれないからゴナと一緒にホテルで待ってろ。」
Y「わかりました…」
S「じゃ、行こう!」
そのショウくんの声で部屋を出ようとすると、隣の部屋で遊んでいたはずのゴナが扉の隙間から顔を覗かせていた。
J「ゴナ…聞いてたのか…?」
G「アナ…びょうきなの…?アナ…いなくなっちゃうの…?」
ゴナは目に涙をたくさん溜めながら泣くのを必死で堪えていた。
J「大丈夫…アナはいなくなったりなんかしない。だから、泣くな男だろう?」
そう言って俺がゴナの頭をなでると大粒の涙がこぼれ落ち、ゴナはその涙を袖で大きく拭いた。
G「ジョウキ…アナ…ないてる。おれ…わかるんだ…アナ…ひろい…こうえんで…ひとりでないてる…。」
ゴナは俺の足元に捕まり俺に必死な顔してそう訴えてくる。
もしかしたら…子供には大人には感じれない何かを感じるのかもしれないと俺は思った。
J「うん…分かった。アナのこと探してくる。ゴナはママと一緒に待ってて…な?」
G「うん…」
ゴナはそう返事をすると泣きじゃくるようにしてユナに抱きつき顔を隠した。
きっとゴナの言う通りアナはひとりで泣いている。
J「ユナ…じゃ、もしアナがここに来たらすぐ連絡して…!見つけた人はすぐリツさんとユナに連絡しましょう。じゃ、行きましょう!」
そう言って俺たちは部屋を飛び出し見知らぬ土地へアナを探しに走り回った。
つづく
ユナとホテルに帰りメンバーを部屋に集めて全ての事情を話した。
J「アナは俺たちのMV撮影の時の事故で脳に小さな出血ができたらしい。その血液が固まって神経を圧迫してる。今、そのせいで記憶が曖昧になったり…記憶障害が起きてるらしい…」
俺の淡々とした説明を聞いたメンバーたちの顔色が変わり、驚いた顔を隠せないでいた。
H「だからか…アナさ俺と会った瞬間、俺の事覚えてなかったんだよ。俺はすぐに思い出したから冗談だと思ったんだけど…それがその影響ってことなんだね…」
ハヤセくんは微かに目に涙を滲ませながらそう言った。
J「おそらく…アナは手術をしないと命自体も危険になるんだ…だからお兄さんは手術させるつもりみたいなんだけど…」
M「その手術になにか問題があるの?」
思わず震える俺の代わりにユナが答えてくれた。
Y「その手術をすると命は助かる確率は高くなるけど神経の近くの手術だからもしかしたら…記憶がなくなったり身体に障害が残るかもしれないの…」
T「そんな…せっかく取り戻した記憶なのに…なんでこんな事に…。」
Y「ヒスイさんは様子を見てアナに伝えるつもりだったみたいでまだ、手術のことはアナには伝えてなかったみたい。」
H「そうだったんだ…じゃ、病気のことも本人は詳しく知らないってこと?」
J「そうです…でも、本人も薄々気づいてるだろうって。たぶん、アナは帰国するつもりだったと思うんですよ。でも、お兄さんは着々と手術の準備を進めててその大事なタイミングで…俺がアナと再会してしまった…」
Y「きっと…このままだとアナは手術をせずにジョウキのそばにいたいって言うと思うから…もうジョウキはアナとは会わず…このまま帰国してくれって…お兄さんが…」
H「お兄様の気持ちも分かるが…それじゃ…アナにとってもあんまりだ…」
誰も納得なんて出来ない…
それは俺が一番思ってる。
でもこのまま手術をせず放っておけばアナの命が危なくなり、手術をすれば記憶を失い今のように動けなくなるかもしれない。
こんな残酷な2択あるか…?
でも俺は…アナに会えなくてもアナが俺の事を忘れてしまっても、どこかで生きていてほしい。
手術が無事に終われば、俺の事を思い出すまでそばにいればいい。
俺がアナの手となり足となる。
だから俺が今、アナから離れて酷いことを言ったとしても、どうかアナは泣かないでほしい。
また、すぐアナのそば行くから…
だから俺はアナに絶対に生きてほしい…
ヒスイさんはそんな事を思う俺を許してくれるかな?
全員が無言の中…
俺は下唇を噛みながらそんな事を思っていた。
するとユナのスマホがなり要件を聞いているユナの顔が一瞬にして青ざめていく。
J「ユナ?」
Y「ア…アナが…いなくなった…」
え…うそだろ…
ユナの言葉を聞いた俺たちは固まる。
J「ユナ…一体、どいうことだよ。」
Y「リツさんからの連絡で薬で眠っているはずのアナが家からいなくなったって。スマホも持ってないからGPSで探せないって。だからそっちに行ってないかって…アナ…ヒスイさんに内緒で部屋を抜け出したいってリツさんにお願してたみたい…」
J「…マジかよ…」
H「おいっ!ジョウキどこ行くんだよ!」
J「どこ行くってアナを探しに行くに決まってんだろ!?」
今にも扉から飛びたして行きそうな勢いの俺をハヤセくんがとめた。
H「あてはあるのかよ!?この辺のこと分かっててお前は行くのかよ!?」
J「アテなんてねぇよ!この辺の事なんて分かるわけねぇだろ!でも…アナの事…放っておけねぇんだよ!」
俺はハヤセくんが悪いわけでもないのにこの不安とイライラを全てぶつける。
S「やめろ!そんな事言い合ってる場合じゃないだろ?とりあえず俺たちも分かる範囲内で探そう。ユナ、一応、念のためそのリツさんって人の連絡先を全員に送っておいて。ユナはアナがホテルに来るかもしれないからゴナと一緒にホテルで待ってろ。」
Y「わかりました…」
S「じゃ、行こう!」
そのショウくんの声で部屋を出ようとすると、隣の部屋で遊んでいたはずのゴナが扉の隙間から顔を覗かせていた。
J「ゴナ…聞いてたのか…?」
G「アナ…びょうきなの…?アナ…いなくなっちゃうの…?」
ゴナは目に涙をたくさん溜めながら泣くのを必死で堪えていた。
J「大丈夫…アナはいなくなったりなんかしない。だから、泣くな男だろう?」
そう言って俺がゴナの頭をなでると大粒の涙がこぼれ落ち、ゴナはその涙を袖で大きく拭いた。
G「ジョウキ…アナ…ないてる。おれ…わかるんだ…アナ…ひろい…こうえんで…ひとりでないてる…。」
ゴナは俺の足元に捕まり俺に必死な顔してそう訴えてくる。
もしかしたら…子供には大人には感じれない何かを感じるのかもしれないと俺は思った。
J「うん…分かった。アナのこと探してくる。ゴナはママと一緒に待ってて…な?」
G「うん…」
ゴナはそう返事をすると泣きじゃくるようにしてユナに抱きつき顔を隠した。
きっとゴナの言う通りアナはひとりで泣いている。
J「ユナ…じゃ、もしアナがここに来たらすぐ連絡して…!見つけた人はすぐリツさんとユナに連絡しましょう。じゃ、行きましょう!」
そう言って俺たちは部屋を飛び出し見知らぬ土地へアナを探しに走り回った。
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