Blue〜歪んだ愛と本当の愛〜

樺純

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33話

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ハウside

私は隠れ家を追い出されてもその場を離れることが出来なかった。

それは私にとってもう…行くあてなんてないから。

壁にもたれてしゃがみ込むとムネオリさんが出てきてくれることを願いながら、私は真っ青な空を見上げた。

すると、私の前にフルフェイスを被ったバイクが勢いよく止まり視線をそちらに向けた。

H「?」

止まったバイクに跨った男がフルフェイスのカバーを開けるとそこにいたのは…

H「ジニさん……なんでここに……」

J「お前こそ…なんでここにいる…お前は覇道組若頭であるムネオリの…女かなんかなんだろ?」

H「ふっ…だったはずなんですけどね…もう私は要らないらしいです…テラが手に入ったから……」

私がそう言うとジニさんはバイクから降りて私の腕を掴むと無理やり立ち上がらせた。

J「ならケイトを助けろ。」

H「はぁ!?あいつは私が撃ったのよ!?」

J「いいから黙ってケイトを助けろって言ってんだよ!!?お前は!!ムネオリに捨てられたんだよ!!いい加減目を覚ませよ!!」

H「確かに私は捨てられた……だからなんだって言うのよ…私はアンタたちの仲間なんかじゃないのよ…アンタたちを騙して…」

J「仲間だよ…少なくとも!!ケイトはお前のこと仲間だって思ってるよ!!だから!撃てるはずのお前を…あいつは撃てなかったんだろうが!!」

ジニさんはそう言って私の頬を叩き私は地面に倒れ込んだ。

口の中にジワッと鉄の味が広がりそれと同時に私の目から涙が溢れだす。

するとジニさんは私の腕を掴んで引きずるように立たせると、無理矢理頭にヘルメットをかぶせ、私がそれを振り払おうとするとジニさんはある所を見て目つきが変わった。

J「いいから早くしろ!!お前マジで…殺されるぞ!?」

ジニさんの視線を辿るとそこには拳銃を持ったムネオリさんがいて思わず私は目を疑う。

まさか…ムネオリさんの持ってるその銃口は…

私に向けられるの……?

J「乗れ!!早く乗れ!!!!」

私は戸惑いながらジニさんの後ろに跨がると、ジニさんは私の両手を引き寄せ自分の腰にグイッと巻き付けた。

J「飛ばすからしっかり捕まってろ…今お前が死んだら…ウチの組がヤバいんだよ。」

ジニさんはそう言ってアクセルを勢いよく回すと、そのまま猛スピードで屋敷へとバイクを走らせた。


つづく
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