キミの首元に揺れる悲しい白詰草

樺純

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43話

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オササイド

ユウアは白衣をなびかせて病室の中に入ってきた。

Y「オサ先生、ここは私が変わります。あとはジユさんの手術に集中してください。」

O「分かりました…ユウア先生…白衣…よく似合ってます。」

Y「こう見えて私も〇〇病院の跡取りですからね…オサ先生ここは私に任せて?」

そう…ユウアも隣町にある病院の一人娘の跡取り。

だから、婚約者の男を婿として迎え入れる事が決まっている。

それまで外での勉強も必要だと父親に言われたユウアは、親同士が知り合いのウチの病院で勤務する事が決まった。

まぁ、俺は補欠の跡取りだけどな…

そう、心中でつぶやきながらトモキをユウアに任せて廊下に出るとジユの病室の扉が少し開いていた。

ちゃんと閉めたはずなのに…おかしいな…

そう思いそっとジユの病室の中をみると…そこにはジユの姿がない。

あいつ…まさか!?

俺は慌ててスタッフステーションにまで走っていった。

O「ジユどこに行ったか知らないか!?」

看護師たちはそれぞれ目を見合わせて見た?見てない?見た?見てない?と繰り返してる。

「さっきまで病室にいましたよ?どうかされましたか?」

O「いない。いなくなった。」

あいつ…もしかして病院を抜け出してルリさんを探しに行ったのか!?

もうすぐ手術だって言うのに…!!

すると、ユウアがトモキの病室から出てきた。

Y「オサくん…一体どうしたのよそんな顔して!?」

俺の顔を見たユウアは驚いている。

O「ユウアこっち…」

俺は人目のつかない所にユウアを連れてきて事情を話した。

O「実はさっき警察がきてルリさんが行方不明だって言われたんだよ…俺たちの家にも実家にもいなくて鍵も開けっ放しでスマホが床に落ちたままだったって…」

Y「えぇ!?もしかして…ルリちゃん何かの事件に巻き込まれたの!?」

O「わからない…今、警察も捜査してくれてるんだけど…ジユには絶対にこの事バレないようにしなきゃって思ってたんだけど…あいつ俺と警察の話聞いてたみたいで…病室にいない。点滴も外してある…。」

Y「うそでしょ…なんでこんな事に….…?ぁ…まさか……!!」 

O「何か心当たりあるの!?」

すると、ユウアが何かを思い出したかのように話しはじめた。

Y「実は昨日、私シフトの事で病院に来てて帰る途中にルリちゃんを見かけたのよ。一緒に帰ろうと思って声をかけようとしたら、ルリちゃん色白の小柄な男の人に無理矢理、手を引っ張られて連れて行かれたの。心配になってあとをついて行ったら2人が揉めてて…ルリちゃんはその人の事をマナトって呼んでた。そのマナトって人はトモキってトモキくんの名前出してたからもしかしたら、トモキくんの知り合いかもしれない。」

俺はユウアの話を聞いてトモキの病室に向かった。

O「トモキ…トモキ!!」

目を閉じたトモキの肩を優しく叩くとトモキはゆっくり目を開けた。

O「トモキ…大変なことになったよ。目を覚ましたばかりで辛いかもしれないけどトモキのチカラが必要なんだ…ゆっくりでいいから話してくれる?」

俺の問い掛けにトモキはゆっくりと頷く。

O「実はルリさんがいなくなった。今、警察に捜査してもらってる。トモキはルリさんが行きそうなところに心当たりはある?」

俺の言葉をゆっくりと理解するようにしてトモキは考えて首を横に振る。

O「分かった。じゃ、もうひとつ聞くね?トモキはマナトって人…と知り合いなの?」

俺がマナトという名前を出した途端にトモキの目が大きく見開き、俺に何かを訴えかけようとしている。

O「トモキ分かった…ゆっくりでいいから…トモキの知ってること…話して?」

すると、トモキは首を大きく縦に振り唇をゆっくりと動かし始めた。

T「マナトは…危ない…姉ちゃんを…狙ってる…」

俺はトモキのその言葉を聞いてすぐに警察へ連絡をした。

俺たちが知っている限られた情報の中できっと警察も手がかりを見つけてくれるはず…

O「ユウア…あとは頼んだ。俺、ジユを探してくるよ。あいつもしも、あの体でルリさんを探し回ってたとしたら…ほんとに命が危ない…」

Y「わ…分かった…トモキさんのことは私に任せて。」

O「頼む…」

そして、俺が白衣を脱いで走り出そうとしたその瞬間…

「オサ先生大変です!!院長が!!」

その声で俺は病院に引き止められた。

つづく
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