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50話
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冷たい部屋で眠る父はとても穏やかな表情をして眠っていた。
大好きだった父は今、私の大好きな人を救ってくれようとしている。
「キミの事をキミよりも愛してくれる人に必ず出会うんだよ。」
そう言って私の頭を撫でていなくなった父は不思議な縁で私のことを私以上に愛してくれてる人に出会わせてくれた。
お父さん…本当はね?
もう一度あなたに抱きしめて欲しかったんだよ。
そう思うとまた、私の目には涙が溢れ出した。
すると、ユウアちゃんが後ろから私に何かを差し出した。
Y「ルリちゃんあのね?実は警察から預かった物の中にこんなのがあったんだけど…これってルリちゃんとトモキさんじゃない?」
それは古びて色褪せた写真。
これから父がいなくなるとも知らずに赤のワンピースに白詰草のネックレスをつけて笑っている私と、まだよちよち歩きのトモキが一緒に写ってる。
そうだ…お父さんがいなくなる前…最後に写真を撮った。
あの時の写真だこれ…
その写真の後ろには…
「愛しいルリと愛くるしいトモキ」
そう書かれていた。
そして、もう一枚重なるようにして写真があった。
それは…
*「これって…」
Y「オサくんとジユだよ…」
その写真はオサとジユが肩を組んでいる写真だった。
その写真の後ろには…
「可愛くて頼りになるオサと僕の宝物のジユ」
そう書かれていた。
ほらやっぱり…お父さんはちゃんとオサの事もジユの事も愛してたんだよ…
ジユに今すぐ教えてあげたい…
あなたもちゃんとお父さんに愛されてたんだよって。
私は首元にある白詰草のネックレスを触れた。
*「お父さん…」
Y「ルリちゃん…そろそろジユの手術終
わるから戻ろう。」
*「うん…」
私たちはジユの病室でジユが戻るのを待った。
しばらくするとオサに連れられてジユが病室に運ばれてきた。
*「オサ…移植手術はどうだったの…?」
私は恐る恐るオサに聞いた。
O「うん…カナリ難しい手術だったんだ…」
そう言ってオサは少し息を吐いた。
*「うん…。」
O「でも、大丈夫。親父がちゃんと守ってくれたよ。移植手術は成功した。」
そのオサの言葉を聞いて私は安心感から全身の力がぬけた。
O「ルリさん!?大丈夫!?」
*「よかった…」
Y「ほんとよかったね…ルリちゃん…」
そうやって言ってくれたユウアちゃんの目にも涙が滲んでいた。
O「まだ、ぼんやりしてるだろうけどもう、ジユ…目覚めてるよ?」
オサがそう言って私の腕を持ち立ち上がらせてジユのベッドへ連れて行ってくれた。
*「ジユ…」
J「ルリ…会いたかったよ…」
酸素マスク越しに聞こえるジユの声が愛おしくてたまらない…
J「…おいで。」
そう言ってジユは私を抱き寄せて自分の左胸に私の耳をあてた。
J「ルリ、聞こえる?俺の中で親父が生きてるよ…ルリがずっと抱きしめて欲しかった親父がここにいる。これからは…親父の分まで俺がルリを抱きしめて可愛いって言ってあげるからね…」
そう言って何度も私の頭を撫でた。
*「ジユ……」
O「ジユ、お疲れさま。今日はゆっくり休んで…ルリさんも今日は休んだ方いい。もし、家でひとりが不安ならトモキの個室に簡易ベッド用意するよ?俺も病院にいるしその方が安心じゃない?」
オサが私の肩に優しく手を置きながら言った。
*「うん…そうさせてもらう。」
O「じゃ、準備させるからね。」
そして、私は久しぶりにトモキと同じ部屋で眠る事になった。
つづく
大好きだった父は今、私の大好きな人を救ってくれようとしている。
「キミの事をキミよりも愛してくれる人に必ず出会うんだよ。」
そう言って私の頭を撫でていなくなった父は不思議な縁で私のことを私以上に愛してくれてる人に出会わせてくれた。
お父さん…本当はね?
もう一度あなたに抱きしめて欲しかったんだよ。
そう思うとまた、私の目には涙が溢れ出した。
すると、ユウアちゃんが後ろから私に何かを差し出した。
Y「ルリちゃんあのね?実は警察から預かった物の中にこんなのがあったんだけど…これってルリちゃんとトモキさんじゃない?」
それは古びて色褪せた写真。
これから父がいなくなるとも知らずに赤のワンピースに白詰草のネックレスをつけて笑っている私と、まだよちよち歩きのトモキが一緒に写ってる。
そうだ…お父さんがいなくなる前…最後に写真を撮った。
あの時の写真だこれ…
その写真の後ろには…
「愛しいルリと愛くるしいトモキ」
そう書かれていた。
そして、もう一枚重なるようにして写真があった。
それは…
*「これって…」
Y「オサくんとジユだよ…」
その写真はオサとジユが肩を組んでいる写真だった。
その写真の後ろには…
「可愛くて頼りになるオサと僕の宝物のジユ」
そう書かれていた。
ほらやっぱり…お父さんはちゃんとオサの事もジユの事も愛してたんだよ…
ジユに今すぐ教えてあげたい…
あなたもちゃんとお父さんに愛されてたんだよって。
私は首元にある白詰草のネックレスを触れた。
*「お父さん…」
Y「ルリちゃん…そろそろジユの手術終
わるから戻ろう。」
*「うん…」
私たちはジユの病室でジユが戻るのを待った。
しばらくするとオサに連れられてジユが病室に運ばれてきた。
*「オサ…移植手術はどうだったの…?」
私は恐る恐るオサに聞いた。
O「うん…カナリ難しい手術だったんだ…」
そう言ってオサは少し息を吐いた。
*「うん…。」
O「でも、大丈夫。親父がちゃんと守ってくれたよ。移植手術は成功した。」
そのオサの言葉を聞いて私は安心感から全身の力がぬけた。
O「ルリさん!?大丈夫!?」
*「よかった…」
Y「ほんとよかったね…ルリちゃん…」
そうやって言ってくれたユウアちゃんの目にも涙が滲んでいた。
O「まだ、ぼんやりしてるだろうけどもう、ジユ…目覚めてるよ?」
オサがそう言って私の腕を持ち立ち上がらせてジユのベッドへ連れて行ってくれた。
*「ジユ…」
J「ルリ…会いたかったよ…」
酸素マスク越しに聞こえるジユの声が愛おしくてたまらない…
J「…おいで。」
そう言ってジユは私を抱き寄せて自分の左胸に私の耳をあてた。
J「ルリ、聞こえる?俺の中で親父が生きてるよ…ルリがずっと抱きしめて欲しかった親父がここにいる。これからは…親父の分まで俺がルリを抱きしめて可愛いって言ってあげるからね…」
そう言って何度も私の頭を撫でた。
*「ジユ……」
O「ジユ、お疲れさま。今日はゆっくり休んで…ルリさんも今日は休んだ方いい。もし、家でひとりが不安ならトモキの個室に簡易ベッド用意するよ?俺も病院にいるしその方が安心じゃない?」
オサが私の肩に優しく手を置きながら言った。
*「うん…そうさせてもらう。」
O「じゃ、準備させるからね。」
そして、私は久しぶりにトモキと同じ部屋で眠る事になった。
つづく
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