キミの首元に揺れる悲しい白詰草

樺純

文字の大きさ
58 / 85

58話

しおりを挟む
私は頭を下げる会長を止めた。

*「いえ…お話してくださって本当にありがとうございます。血縁関係のない私たち姉弟を面倒見てくださってた事は事実です心より感謝しています。私にとっての父は…お父さんだけですので…どんな事情があったとしても私に注がれた愛を本物だと信じてます。
母には…どんな境遇だったとしても弟をあんな目に遭わせた罪をしっかり償ってもらってもらうつもりです。でも、トモキが事故の後すぐ…父はまた、トモキを自分の籍に入れようとしてると聞いたのですが…?」


会「トモキがウチの病院に運ばれたあと…あいつはルリを心配して君たちの家を訪れた。そこにはもう、ルリはいなくて荒れ放題になっていた家をみて…あいつはトモキの目が覚めてもあの家にはもう、帰せないそう思いせめて、大学院を卒業するまではウチの家で生活させるために準備していたんだよ。」

*「そうだったんですね…」

会「ルリのことも探していたみたいだけどなかなかキミを見つける事ができなかった。まさか、自分の息子の元にいるとはあいつも思いもしなかっただろうね…?…ルリ…うちの孫ジユのこと…よろしく頼んだよ?」

そう言って会長は申し訳なさそうな顔をして立ち上がり、私に優しく微笑んで中へと戻って行った。

私は立ち上がり会長にお辞儀をして…しばらく空を眺めた。

私が中に戻るとジユが慌てた様子で私の元へと近づいてきた。

J「ルリ、どこ行ってたの?探したよ?大丈夫?」

ジユは私の涙の跡を親指でなぞりながら言った。

*「うん…会長と話ししてた。お父さんさ…私はともかく…トモキと血の繋がりがない事も全部、知ってたんだって…なのにあんなに大切に大事に愛してくれた…やっぱり私…そんなお父さんが大好きだよ……」

また、溢れ出す涙にジユは優しく微笑み私をぎゅっと抱きしめる。

J「うん。そうだね。親父もちゃんと側にいるってさ。ほら、ここにちゃんと親父いるから…大丈夫…大丈夫だよ…。」

そう言って自分の左胸に私の耳を当てて私の髪を撫でるジユ。

その話し方が本当にお父さんみたいで心が温かくなり、私はまた、白詰草のネックレスに触れた。

*「ジユはきっと、優しくて温かいパパになるだろうね?」

私が涙を拭きながら言うとジユは私の顔を覗き込む。


J「じゃ、ルリは慌てん坊で泣き虫なママになってるね?」

ジユはそう言って私の頬に流れる涙を親指で拭う。

*「…え?」

J「…ん?」

ジユはイタズラに笑うと、私たちは思わず目を合わせて…お互い笑い合った。


つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

有名俳優の妻

うちこ
恋愛
誰もが羨む結婚と遺伝子が欲しかった そこに愛はいらない

王女殿下のモラトリアム

あとさん♪
恋愛
「君は彼の気持ちを弄んで、どういうつもりなんだ?!この悪女が!」 突然、怒鳴られたの。 見知らぬ男子生徒から。 それが余りにも突然で反応できなかったの。 この方、まさかと思うけど、わたくしに言ってるの? わたくし、アンネローゼ・フォン・ローリンゲン。花も恥じらう16歳。この国の王女よ。 先日、学園内で突然無礼者に絡まれたの。 お義姉様が仰るに、学園には色んな人が来るから、何が起こるか分からないんですって! 婚約者も居ない、この先どうなるのか未定の王女などつまらないと思っていたけれど、それ以来、俄然楽しみが増したわ♪ お義姉様が仰るにはピンクブロンドのライバルが現れるそうなのだけど。 え? 違うの? ライバルって縦ロールなの? 世間というものは、なかなか複雑で一筋縄ではいかない物なのですね。 わたくしの婚約者も学園で捕まえる事が出来るかしら? この話は、自分は平凡な人間だと思っている王女が、自分のしたい事や好きな人を見つける迄のお話。 ※設定はゆるんゆるん ※ざまぁは無いけど、水戸○門的なモノはある。 ※明るいラブコメが書きたくて。 ※シャティエル王国シリーズ3作目! ※過去拙作『相互理解は難しい(略)』の12年後、 『王宮勤めにも色々ありまして』の10年後の話になります。 上記未読でも話は分かるとは思いますが、お読みいただくともっと面白いかも。 ※ちょいちょい修正が入ると思います。誤字撲滅! ※小説家になろうにも投稿しました。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

処理中です...