キミの首元に揺れる悲しい白詰草

樺純

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61話

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リビングではオサ、ユウアちゃん、トモキの3人が手招きするように待ち構えていた。

T「もう、早く早く乾杯しよう!!」

O「ジユ、退院おめでとう!そして、トモキ我が家へようこそ!乾杯~!」

皆「乾杯~!!」

そして、私たちは美味しいご飯を食べながら話しに花を咲かせた。

O「あ、そうそう!そういえばさっき、速達でジユ宛になんか手紙来てたよ?」

オサがジユに白い封筒を手渡した。

J「ん?なんだろ?」

ジユはそれを受け取り、そのまま雑に封筒を破って開けた。

そして、それに目を通して…しばらく固まっている。

*「ねぇ、どうしたの?なにそれ?」

私の問いかけにジユはカチコチに固まった首で私の方へ振り返った。

J「な…なんでもない。」

明らかになんでもない事ない様子のジユさん。

そんな分かりやすい事ってありますか?

*「見せて?なんなの?」

私が手を出すとすぐにその手紙を自分の後ろへと隠す。

J「いや、本当になんでもないって!!」

*「なんでもないなら見せなさいよ!!」

J「はぁ!?付き合ってたとしてもプライバシーはあるだろ!?」

*「なにそれ意味わかんないんだけど!?」

O「まぁまぁ、落ち着いて…」

オサが立ち上がり、私とジユを止めるように間に立つ。

T「マルタへ3ヶ月間の現地フォトグラファーとして決定しました?だってさ。」

いつの間にかジユの手から手紙を覗き見したトモキがそう言った。

*「え…どういうこと…」

J「あぁ~もうトモキくん!!これは…病気の再発がわかる前にこの仕事に応募してたんだよ…3ヶ月の短期で現地にフォトグラファーとしての参加募集に…」

*「その体で…まさか行ったりしないよね…?」

私の声に部屋中が静まり返る。

J「でも、ルリはこれから俺にやりたい事やってほしいって言ったじゃん。マルタはあの写真を撮った所だから機会があったらまた、行きたいってずっと思ってた…それが仕事でなら尚更…」

ジユは壁に掛けてある写真を見ながら真剣な顔して話す…

その眼差しから私にも強く意思が伝わってきて自然と彼を理解しようとしてしまう。

*「行くってこと?」

J「…行きたい…。」

O「ちょっと待て!お前は退院したばかりだぞ?さすがにそれは俺が許さない。」

J「出発は4ヶ月後なんだ…4ヶ月後の出発なら大丈夫だろ?」

O「4ヶ月後なら…そうだけど…」

J「ルリ…?たった3ヶ月間だけだよ?そんなのすぐじゃん…?ねぇ…」

*「……うん………そうだね。ジユがやりたい事…すればいいよ。」

J「本当に…?ルリ…マジでありがとう!」

私は初めてジユにウソをついた…

本当は行って欲しくないのに…

この場の空気が悪くなるのが嫌で、ジユに嫌われるのが嫌で、昔のトラウマをかき消すかのようにウソをついた。

T「ほんとバカ姉だわ~。」

トモキは私の本音に気づき横を向いてボソっとそう言った。

トモキ…それは私自身がよく分かってるから…

そんな目でみないで。


つづく
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