キミの首元に揺れる悲しい白詰草

樺純

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64話

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そして、バタバタと大きな足音を立てて帰ってくる私の雇用主…ジユ。

*「どうだった?オサ、行くって?」

J「行くってさ。」

ジユは自慢気な顔をしてそう言って私の横に腰掛けた。

*「ふ~ん。ジユなんて言ったの?」

私の問いかけに彼はドヤ顔で言った。

J「別に~俺たちの事は心配ないから楽しんできて~って言っただけ~。」

ふ~ん。なんかその顔…怪しい。

でもそれで、オサが行くと言ったならそれでいいけど。

*「なんか、トモキも家にいるからこの家で3人で過ごすって新鮮だね?」

私がそう言うとジユは首を傾げた。

J「ルリ…トモキくんから聞いてないの?」

*「え?何が?」

J「トモキくんは昨日の夜からお泊りデートで明日まで帰って来ないよ?」

*「お泊り!?そんなの聞いてないけど!?なになになに!?あの子…彼女できたの!?」

そんなのお姉様は報告受けてませんけど~!?

J「まぁ、トモキくんもいい歳だし女の1人や2人いるでしょ?あのルックスだしね?」

そう言ってジユは私のほっぺをぷにぷにと突っついた。

それに私はまた、なぜかイラっとする…

ホント最近イライラしすぎだ私。

*「あ…ホテルに電話して人数が減るって連絡しなきゃ!!」

私はジユの手を払いスマホを手に取ろうとすると…

J「もうしたよ…さっきメールで。今みたら向こうからも返事きてた。」

*「あ…ありがとうございます。」

あらまぁ…なんと出来る彼なのでしょうか。

私と大違いだわ。

私は横になりしばらく浅い眠りに落ち、冷たい手がおでこに当たる感触で目が覚めた。

ゆっくり目を開けると…

O「ごめん…起こしちゃったね?微熱があるね?貧血もひどいし病院まで送るから1度診察してもらいなね?」

オサは私の脈をみながら言った。

*「うん。実は少し前から体調わるくて…微熱もずっと続いてるの…少しムカムカしたりイライラもするしジユにもキツく当たっちゃうの…私若年性更年期なのかな?生理も不順だし…」

私の言葉にオサはピクっと眉毛を動かして優しく微笑んだ。

O「じゃ、尚更1度診察してもらおうね?本当はユウアが婦人科に移動になったから、ユウアに任せたいけど、今日は他の先生で我慢してね?病院には俺から連絡しておくから。車で待ってるから準備できたらジユとおいで。」

*「うん…オサありがとう。いつもオサに頼ってばっかりだね…私。」

O「気にしなくていいから身体冷やさないように温かい格好してくるんだよ?」

オサは私の頭をポンポンと撫でて部屋から出て行った。

そして、私はゆっくりと重い体を起こして着替えてリビングにいたジユと一緒にオサの待つ車へと向かった。

J「オサくんおまたせ。」

*「オサごめんね?よろしくお願いします。」

O「とんでもない。可愛い弟のお姫様は俺にとっても大切な人だからね?」

車に乗るとオサは手を伸ばして後ろに座る私の足元にブランケットをかけた。

O「身体…冷やすとよくないから使って?」

そう言ってオサはバンドルを持ちゆっくりと車を走らせた。

え…オサってまさか…王子様?

ジユの隣に座ってもそんな事、1度もしてくれた事なんだけど。

胸キュンが止まらないんだけど…っと思っていたらそれが顔に出ていたのかジユがあからさまに嫌そうな顔をしている。

J「ってかさ?俺がいない間、俺の浮気よりツバキの方が色々と心配なんだけど?」

今までならそんなヤキモチの言葉も聞き流していたけど、今の私の精神状態では聞き流せない…

更に私が体調悪いと知っていてそんな風に言うジユに正直…かなりイラっとした。

O「ジユそんな言い方やめなよ~?」

車を運転しながらバックミラーで私の顔が見えたのか、オサが間に入ってジユをなだめる。

オサにはホント癒される…ジユと違って。

そんな思いが顔に出てしまっていたのだろうか?ジユからとんでもないことを言われた。

J「俺がいない間、寂しいからってオサくんとだけはやめてよね?」

はぁ?なにそれ…最低…

その言葉を聞いた瞬間、私の中でなにかがプツッとキレた。

O「ジユやめろって。」

悲しい?悔しい?辛い?残念?どの言葉が正解なのか分からないが、私の中にモヤモヤと立ち込めている感情が耐えきれなくなってしまった。

*「オサ、車止めて。」

O「え?ルリさんまでどうしたんだよ?」

オサは私の言葉に不思議そうに車を止めて振り返る。

私は車が止まったと同時に扉をあけて車から降りた。

O「ルリさん!?」

降りた私を追いかけたのはジユではなくオサだった。

*「ここからだともう、歩いて行けるから大丈夫だよ。オサ、ありがとうね?旅行楽しんできて。ユウアちゃんにごめんって伝えといて…じゃね?」

O「ちょっ…ルリさん…」

私はオサが呼び止めるのを無視してそのまま歩いて病院へ向かった。

正直…ジユが後を追って来てくれるんじゃないかと心のどこかで期待していた。

でも、その期待も虚しく…ジユは追いかけて来てくれることはなく私はひとりで病院へ向かった。


つづく
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