キミの首元に揺れる悲しい白詰草

樺純

文字の大きさ
72 / 85

72話

しおりを挟む
オササイド

病院にルリさんとジユを送り、今度は俺の愛しい人を迎えに行く。

もうすぐ婚約パーティーを開くことがきまったとユウアに報告された時…

分かってはいたものの苦しくて胸が張り裂けそうだった。
いっそこのまま全てを放り出してユウアを連れ去ってしまおうか?

なんて、そんなドラマみたいな事を考えながら運転していると迎えを待っているユウアの姿が見えた。

O「ユウアお待たせ。」

Y「ううん。ルリちゃん大丈夫だった?」

O「うん。たぶん大丈夫。今、念のためうちの病院で診察してもらってるよ。」

Y「そっか。」

O「ん…今日はとりあえず違う先生にお願いしたんだけど、ルリさんの主治医はユウアにお願いしてもいいかな?」

Y「え?私…ってうん…分かった!任せといて。」

ユウアは俺が全て話す前に全てを理解したのか、微笑みながらルリさんの主治医を引き受けてくれた。

そして、俺たちは目的地であるパンジーの丘に着いた。

元々はルリさんが行きたいと言っていた場所…

本当はみんなでワイワイと来るはずだったのに今、ユウアと2人で歩いているのがとても不思議な感じがした。

Y「パンジー…綺麗だね?」

O「うん。ルリさん…来たかっただろうな…」

Y「ほんと…」

丘から見下ろすパンジーはまるでカラフルな絨毯のようでとても綺麗だった。

Y「私ね…自分の事がどうしようもなく嫌いになる時があるの。」

ユウアはボーッとパンジーの絨毯を見つめながら話し始めた。

O「ユウア?」

Y「いつも、人の顔色伺って…嫌われないように無理して合わせて…自分の思いを押さえ込んで…そんな自分が嫌いになる時がある…その話をね?ルリちゃんに話したら、ルリちゃんがパンジーみたいに素直になればいいのよって笑って言ってくれたの。」

O「ユウア…婚約者となんかあった?」

Y「ううん。そんなじゃないの…オサくんさ?パンジーの花言葉…知ってる?」

O「いや…知らないな…」

Y「私も知らなくてルリちゃんがユウアちゃんにぴったりの花言葉なんだよって教えてくれて…ここにみんなで行こうって言ってくれたんだよ?」

O「ユウアにぴったり…?その、花言葉って…なんなの?」

Y「う…ん?それは秘密!」

ユウアはそう言って儚くとても綺麗な笑顔を浮かべながらパンジーの絨毯をスマホのカメラにおさめていた。

ランチはジユが予約していた海の見えるカフェに行った。

俺たちが店に入り席に着くとすぐ、スタッフが俺を呼んだ。

「お客様、こちらに少しよろしいでしょうか?」

O「え?あ…はい。ユウアちょっと待っててね?」

Y「うん…」

俺はスタッフに着いて行くとスタッフに小さな声で言われた。

※「実は本日は当店貸切となっております。」

O「え!?」

※「予約の際にジユ様からそうご予約いただきまして。なので、本日はお客様のお好きな音楽をデザートの際におかけすることが出来るのですが…なにかご希望はございますか?」

O「あぁ…じゃ…………emptyをお願いします。」

※「かしこまりました。あと、デザートは予めルリ様からのご希望で特別なものをご用意させて頂きましたのでどうぞ、お楽しみください。」

ん?ルリさんが?

O「はい…ありがとうございます。」

そして俺は席に戻り、ユウアとたわいもない話をしながら食事をした。

海を見ながら美味しいご飯を食べる。

好きな人と2人で…

それは大した事ではないのかもしれないが、俺にしたらとても贅沢な事で不思議と心が満たされた。

そして、俺たちの前にはフルーツとパンジーの花びらがのったケーキが運ばれてきた。

Y「綺麗…」

するとスタッフがおもむろに口を開く。

※「こちらのデザートはルリ様からのご希望で特別にご用意させて頂きました。どうか、素敵な旅になりますように…」

そう言ってスタッフは消えて行った。

パンジーの花言葉が…ユウアにぴったりと言ったルリさん。

そして、このデザートにもパンジーの花びらが飾られてある。

これは一体、どういう意味なんだろ…?

Y「ルリちゃんこんなのまで用意してくれてたんだね?一緒に来たかったな…」

O「うん…ねぇ?このパンジーの花言葉ってユウアにぴったりだってルリさんが言ったんだろ?花言葉はどういう意味なの?」

すると、ユウアは少し小さなため息をついて俺に言った。

Y「そのままの意味なんだけどな…調べちゃダメだよ?私がちゃんと教えてあげるから…まぁ、先に食べよう?」

そう言ってユウアはケーキを食べ始めた。


つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

王女殿下のモラトリアム

あとさん♪
恋愛
「君は彼の気持ちを弄んで、どういうつもりなんだ?!この悪女が!」 突然、怒鳴られたの。 見知らぬ男子生徒から。 それが余りにも突然で反応できなかったの。 この方、まさかと思うけど、わたくしに言ってるの? わたくし、アンネローゼ・フォン・ローリンゲン。花も恥じらう16歳。この国の王女よ。 先日、学園内で突然無礼者に絡まれたの。 お義姉様が仰るに、学園には色んな人が来るから、何が起こるか分からないんですって! 婚約者も居ない、この先どうなるのか未定の王女などつまらないと思っていたけれど、それ以来、俄然楽しみが増したわ♪ お義姉様が仰るにはピンクブロンドのライバルが現れるそうなのだけど。 え? 違うの? ライバルって縦ロールなの? 世間というものは、なかなか複雑で一筋縄ではいかない物なのですね。 わたくしの婚約者も学園で捕まえる事が出来るかしら? この話は、自分は平凡な人間だと思っている王女が、自分のしたい事や好きな人を見つける迄のお話。 ※設定はゆるんゆるん ※ざまぁは無いけど、水戸○門的なモノはある。 ※明るいラブコメが書きたくて。 ※シャティエル王国シリーズ3作目! ※過去拙作『相互理解は難しい(略)』の12年後、 『王宮勤めにも色々ありまして』の10年後の話になります。 上記未読でも話は分かるとは思いますが、お読みいただくともっと面白いかも。 ※ちょいちょい修正が入ると思います。誤字撲滅! ※小説家になろうにも投稿しました。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

有名俳優の妻

うちこ
恋愛
誰もが羨む結婚と遺伝子が欲しかった そこに愛はいらない

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...