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27話
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ジュンペイside
カメラの前に立つマヤトさんの流暢な司会によって番組は進行されていく。
今日、販売される化粧品の説明を終えたマヤトさんによって俺と坊っちゃんはカメラ前に呼ばれた。
M「それではこちらの新商品を使ってメイクをしてみましょう。」
俺は震える足で準備されているメイク道具の乗ったワゴンと坊っちゃんの座る椅子前に立つ。
坊っちゃんも俺に続いてカメラ前に立ち余裕の笑みを浮かべた。
M「今回発売の商品のコンセプトが誰でも使いやすく誰でも美しくというコンセプトですので本当にそうなるのか?視聴者の皆様も気になりますよね?なので、今回のモデルはあえて男性にさせて頂きました。男性の肌でも滑らかな肌に仕上がるのか?ムラなく発色されるのか…皆さま気になる所だと思います。そして、メイクアップアーティストの方も男性ですがこの方、メイク初心者です。昨日、初めてメイク道具に触れたばかりの方…そう言った方でもこの商品で綺麗に仕上げる事が出来るのか…是非注目して頂きたいところです。では、私が解説しながら早速、メイクを始めてみましょう。」
マヤトさんの司会によって俺のメイクの始まりの合図が掛かった。
軽く息を吐き出し自分自身を落ち着ける。
ゆっくりとワゴンに手を伸ばし化粧品に触れようとした手が微かに震えていた。
ヤバい…落ち着け…落ち着け…
その間もマヤトさんが時間を繋いでくれている。
俺がゆっくりと目を閉じると手に優しい感触に包まれた。
ゆっくりと視線を向けると俺の手は坊っちゃんに包まれていて、坊っちゃんは穏やかな顔をして俺を見つめ頷いた。
不思議とその顔を見ると俺は落ち着きを取り戻し、それに答えるように俺もゆっくりと頷きメイク道具を手に取った。
俺が筆を動かすたびにマヤトさんの言葉によってその行動は色を付けられ、まるでプロがしてるかのような演出となり…
目の前にいる坊っちゃん顔は俺の手によっていつもより妖艶で華やかに彩られていく。
その喜びが俺の中に立ち込めはじめると、俺の手は迷う事なく足りない色を坊っちゃんの顔の上に乗せていき、さらにその向こう側の魅力を引き出そうとした。
そして、坊っちゃんのメイクは完成に近づき…
俺は最後の仕上げにナチュラルなベージュピンクのリップを手に取りクルクルと回して引き出した。
坊っちゃんもそれに気づきゆっくりとあのぷっくりとした唇を半開きにする…
落ち着いていた俺の心臓はまた早く動き出すが…
それはさっきまでの緊張からくる心臓の動きとは違う…
熱い胸の動きだった。
坊っちゃんの顎にそっと触れるように手を添え、坊っちゃんの柔らかな唇にリップをのせると坊っちゃんとのキスを思い出した。
ドキッ…ドキッと胸を弾ませながら坊っちゃんの唇にリップを塗り終えると坊っちゃんはニヤッと笑い、上下の唇を重ね合わせパッと音を立てて馴染ませると俺にクロスを取るように目配せをする。
俺は道具を置き、坊っちゃんの後ろに立ってゆっくりとクロスを外すと、坊っちゃんには眩しいくらいのライトが当てられ俺は少し離れ坊っちゃんを見つめた。
J「綺麗…だな…」
俺の口からそう溢れてしまうほど、俺の手によって坊っちゃんは美しく綺麗に変身し、俺は思わずその姿に見惚れてしまった。
本番が終了すると坊っちゃんは立ち上がりスタッフ1人1人に挨拶をしていく。
俺はそんな坊っちゃんの背中について行きスタッフさんに頭を下げて挨拶をした。
T「ナツオくんどうだった?」
生放送でのネットショッピングデーターをナツオくんが自慢気に坊っちゃんに見せると、坊っちゃんは満足気に笑った。
T「ナツオくんの策略が当たったね。」
N「まぁ、トルハとジュンペイだったから今回は成功したのかもな?」
そのグラフは目標とされている線よりも大幅に上がり目標以上の売り上げとなっていて、思わず俺はホッとし緊張の糸が切れたのかその場でフラついた。
T「大丈夫?」
横にいた坊っちゃんが俺を支えてくれると不安そうな目で俺を見つめる。
J「すいません。緊張の糸が…」
N「2人ともお疲れさま。もう、今日はジュンペイもトルハも家に帰って休みな。昨日から会社泊まり込みでメイクの練習したから一睡もしてないだろ?」
T「でも俺…会議あるし…」
N「俺が代わりに出るよ。」
J「私は大丈夫ですので…」
N「ジュンペイは黙ってろ。な?トルハ…今日はゆっくり家で休め。」
T「分かった。ありがとうナツオくん。あとはよろしくね?」
N「あぁ。」
そう言うと坊っちゃんは俺の腕に手を回して俺を支えるようにして自分の部屋へと戻って行った。
つづく
カメラの前に立つマヤトさんの流暢な司会によって番組は進行されていく。
今日、販売される化粧品の説明を終えたマヤトさんによって俺と坊っちゃんはカメラ前に呼ばれた。
M「それではこちらの新商品を使ってメイクをしてみましょう。」
俺は震える足で準備されているメイク道具の乗ったワゴンと坊っちゃんの座る椅子前に立つ。
坊っちゃんも俺に続いてカメラ前に立ち余裕の笑みを浮かべた。
M「今回発売の商品のコンセプトが誰でも使いやすく誰でも美しくというコンセプトですので本当にそうなるのか?視聴者の皆様も気になりますよね?なので、今回のモデルはあえて男性にさせて頂きました。男性の肌でも滑らかな肌に仕上がるのか?ムラなく発色されるのか…皆さま気になる所だと思います。そして、メイクアップアーティストの方も男性ですがこの方、メイク初心者です。昨日、初めてメイク道具に触れたばかりの方…そう言った方でもこの商品で綺麗に仕上げる事が出来るのか…是非注目して頂きたいところです。では、私が解説しながら早速、メイクを始めてみましょう。」
マヤトさんの司会によって俺のメイクの始まりの合図が掛かった。
軽く息を吐き出し自分自身を落ち着ける。
ゆっくりとワゴンに手を伸ばし化粧品に触れようとした手が微かに震えていた。
ヤバい…落ち着け…落ち着け…
その間もマヤトさんが時間を繋いでくれている。
俺がゆっくりと目を閉じると手に優しい感触に包まれた。
ゆっくりと視線を向けると俺の手は坊っちゃんに包まれていて、坊っちゃんは穏やかな顔をして俺を見つめ頷いた。
不思議とその顔を見ると俺は落ち着きを取り戻し、それに答えるように俺もゆっくりと頷きメイク道具を手に取った。
俺が筆を動かすたびにマヤトさんの言葉によってその行動は色を付けられ、まるでプロがしてるかのような演出となり…
目の前にいる坊っちゃん顔は俺の手によっていつもより妖艶で華やかに彩られていく。
その喜びが俺の中に立ち込めはじめると、俺の手は迷う事なく足りない色を坊っちゃんの顔の上に乗せていき、さらにその向こう側の魅力を引き出そうとした。
そして、坊っちゃんのメイクは完成に近づき…
俺は最後の仕上げにナチュラルなベージュピンクのリップを手に取りクルクルと回して引き出した。
坊っちゃんもそれに気づきゆっくりとあのぷっくりとした唇を半開きにする…
落ち着いていた俺の心臓はまた早く動き出すが…
それはさっきまでの緊張からくる心臓の動きとは違う…
熱い胸の動きだった。
坊っちゃんの顎にそっと触れるように手を添え、坊っちゃんの柔らかな唇にリップをのせると坊っちゃんとのキスを思い出した。
ドキッ…ドキッと胸を弾ませながら坊っちゃんの唇にリップを塗り終えると坊っちゃんはニヤッと笑い、上下の唇を重ね合わせパッと音を立てて馴染ませると俺にクロスを取るように目配せをする。
俺は道具を置き、坊っちゃんの後ろに立ってゆっくりとクロスを外すと、坊っちゃんには眩しいくらいのライトが当てられ俺は少し離れ坊っちゃんを見つめた。
J「綺麗…だな…」
俺の口からそう溢れてしまうほど、俺の手によって坊っちゃんは美しく綺麗に変身し、俺は思わずその姿に見惚れてしまった。
本番が終了すると坊っちゃんは立ち上がりスタッフ1人1人に挨拶をしていく。
俺はそんな坊っちゃんの背中について行きスタッフさんに頭を下げて挨拶をした。
T「ナツオくんどうだった?」
生放送でのネットショッピングデーターをナツオくんが自慢気に坊っちゃんに見せると、坊っちゃんは満足気に笑った。
T「ナツオくんの策略が当たったね。」
N「まぁ、トルハとジュンペイだったから今回は成功したのかもな?」
そのグラフは目標とされている線よりも大幅に上がり目標以上の売り上げとなっていて、思わず俺はホッとし緊張の糸が切れたのかその場でフラついた。
T「大丈夫?」
横にいた坊っちゃんが俺を支えてくれると不安そうな目で俺を見つめる。
J「すいません。緊張の糸が…」
N「2人ともお疲れさま。もう、今日はジュンペイもトルハも家に帰って休みな。昨日から会社泊まり込みでメイクの練習したから一睡もしてないだろ?」
T「でも俺…会議あるし…」
N「俺が代わりに出るよ。」
J「私は大丈夫ですので…」
N「ジュンペイは黙ってろ。な?トルハ…今日はゆっくり家で休め。」
T「分かった。ありがとうナツオくん。あとはよろしくね?」
N「あぁ。」
そう言うと坊っちゃんは俺の腕に手を回して俺を支えるようにして自分の部屋へと戻って行った。
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