小さな天使〜遺言〜

樺純

文字の大きさ
3 / 31

3話

しおりを挟む
ジュンセside

震えて真っ青な顔のチアをベッドに寝かせゆっくりと布団をかぶせた。

チビは扉の所から顔だけ覗かせて、俺たちを不安そうな目で見ている。

J「大丈夫だよ。」

そうチビに言えばチビは小さく頷いた。

すると、チアが眉間にシワを寄せてうわ言を呟いてうなされている。

俺はそっとチアの口元に耳を寄せそのうわ言に耳を傾ける。

C「ごめん……ごめんね…ちゃあちゃんのせいで…ごめん…」

ちゃあちゃん…?

そう言えばさっきこのチビもチアのことを見てちぁあちゃんと言っていて、チアに飛びついたような気がする…

もしかして、チビとチアは知り合いなのか?

J「チア…チア…」

あまりにも苦しそうにうなされているのでチアの名前を呼ぶと、チアはバチッといきなり目を開けて飛び起きた。

C「はぁ…はぁ…はぁ……」

J「大丈夫ですか?悪い夢でも……」

C「キミは一体…誰なの?」

チアは扉から覗くチビをじーっとみつめて言った。

「ぼくは……とうちゃんとちゃあちゃんの"宝物"って…ちゃあちゃんが言ったのに…」

チビがそう言えばチアは震えて涙をポロポロと流す。

チアがじっとチビを見たまま涙を流していると、チビはトタトタと走ってきてピョンとベッドに飛び乗った。

「ちゃあちゃん…ぼくのこと…わすれちゃった?」

チビがチアの顔を覗き込むその顔は俺自身が見ても…俺の子供の頃にそっくりで…ドキッとした。

C「忘れ…た…?」

「ずっといっしょにいたかったんだ…とうちゃんとちゃあちゃんとずーっといっしょ!!」

そして、チビは口を尖らせると拗ねてそのままベッドに寝転がった。

チアの知り合いの子かと思ったけど…違ったのか…?

そろそろ、本気でコイツをどうするか考えないとな…。

警察に連れていくか…?

俺はチビを見つめながらそう考える。

C「坊や…ごめんね。ちょっとだけジュンセとお話しがあるから…部屋の外で待っててくれるかな?」

「うん!!わかったぁ!!」

チビはとてもいいお返事をしてまた、トタトタと走って部屋から出て行った。

チアはチビが出て行ったのを見計らい話し始めた。

C「あの子…本当にジュンセの子?」

J「ま…まさか!俺も誰だか分かりませんけど…とりあえず警察に連絡してあいつを保護してもら…」

C「ダメ!!そんな事したら絶対ダメ!!」

チアは俺が手にしたスマホを取り上げた。

J「なに言ってるんですか?警察に連絡しなきゃもし、あいつが迷子だったらどうすんですか?もしかしたら、悪質なイタズラかもしれないし!それともチアがあいつの面倒みるとでも言うんですか?俺はごめんですね。誰の子かも分からない子供の面倒みるのは絶対無理!!」

C「そんな事言ったって!あの子を警察に連れて行けばあの子はジュンセを父ちゃんだって言うんだよ?そんな事になったら色々調べられててジュンセの過去まで世の中にバレてしまうかもしれないのよ!?」

J「俺の過去ってなんだよ…そんなに俺と付き合ってた事世間にバレるのが嫌かよ?そりゃ、そうだよな?一流俳優のソウヤさんとの結婚が決まったばっかでソウヤさんと同じ業界にいる俺なんかとの過去がメディアにバレたら面倒だもんな!?」

C「そういことじゃなくてぇ!!」

ガチャン!!!!

俺たちの激しい口論は玄関の扉が閉まる大きな音で止まった。

え…まさか…

俺が慌ててベッドルームを出ると、リビングにいたはずのチビがいなくなっていて、そこにはチビの荷物だけがポツンと置いてあった。

C「え…あの子は…」

J「出て行ったかも…」

C「え……」

俺が玄関に行くとチアも俺の後ろをついてきて靴を確認する…

すると、そこにあるはずのチビの靴がなかった。

C「…は…早く追いかけなきゃ!」

チアが俺を追い越すようにして慌てて靴をはく。

J「もう…いいんじゃないですか。」

俺は焦るチアの背中にそう呟いた。

C「え?」

J「きっと家に帰ったんですよ。」

俺がそう言うとチアは今まで見たことのないような怖い顔をして思いっきり俺の頬を叩いた。

C「あんな小さい子1人で帰れるわけないでしょ!?ジュンセは自分のことを父ちゃんって呼ぶあの子のこと放っておけるの!?もしもの事があっても…ジュンセは平気なの!?………アンタと別れて…正解だったよ…!!」

チアはそう言って部屋を飛び出して行った。

じゃ、俺にどうしろって言うんだよ…

俺は頭を抱えてその場にしゃがみ込む。

あの日もそうだった。

チアは一方的に俺と別れると言って俺を1人、冷たい玄関に置いて消えて行った。

あの時はまだ、隙間風がすごいボロアパートだったのに、気づけば大理石の冷たさが身に染みる高級マンションになっていた。

周りは変わっていくのに俺だけがあの時から何も変わらない。

いや、チアと別れてから俺の中で時が止まってしまったんだ。

俺はずっと過去に囚われこのままこうやって生きていくのだろうか……?

J「はぁ……もうなんだよマジで…!!!!」

俺は立ち上がりキャップを目深にかぶり直しチアの背中を追うように玄関を飛び出した。

つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

皇宮女官小蘭(シャオラン)は溺愛され過ぎて頭を抱えているようです!?

akechi
恋愛
建国して三百年の歴史がある陽蘭(ヤンラン)国。 今年16歳になる小蘭(シャオラン)はとある目的の為、皇宮の女官になる事を決めた。 家族に置き手紙を残して、いざ魑魅魍魎の世界へ足を踏み入れた。 だが、この小蘭という少女には信じられない秘密が隠されていた!?

踏み台(王女)にも事情はある

mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。 聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。 王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~

伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華 結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空 幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。 割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。 思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。 二人の結婚生活は一体どうなる?

時間を止めて ~忘れられない元カレは完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な人でした 【完結】

remo
恋愛
どんなに好きになっても、彼は絶対に私を愛さない。 佐倉ここ。 玩具メーカーで働く24歳のOL。 鬼上司・高野雅(がく)に叱責されながら仕事に奔走する中、忘れられない元カレ・常盤千晃(ちあき)に再会。 完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な彼には、悲しい秘密があった。 【完結】ありがとうございました‼

処理中です...