15 / 31
15話
しおりを挟む
チアside
あの時
6年前のあの時…
私とジュンセは別れの危機を迎えていた。
歌手としてデビューしたジュンセは朝から次の日の朝まで働く事なんてザラで、寝る暇なく毎日を過ごしていた。
そんな毎日の中、少しの時間があればジュンセは家に練習生の私を呼び出し、時間を惜しむように体を重ねた。
時間が足りないが故のそんな関係が、まだ幼かった私にとってはまるで体だけの関係のように感じてしまい、いつの間にかジュンセの心が離れてしまったんじゃないかと寂しくて耐えられずにいた。
そんな時、デビューして間もないジュンセにスキャンダルが持ち上がった。
私とはゆっくりと会うことも話をすることもなくただ、身体を重ねるだけなのに。
その相手とは外で楽しそうに食事に行く時間があるんだ…と私はそんな風に思ってしまい、ジュンセを信じることが出来ずにいた。
そして、そんな風に思ってしまう自分に苛立ち耐えられない日々を送っているとき…私は妊娠に気づいた。
正直、最初は戸惑った。
小さな命を身篭った事をデビューしたばかりのジュンセに伝えるべきなのだろうか?
私以外の誰かと夜を過ごしてるかもしれないジュンセは私の妊娠をどう思うのだろうか?
と…
私はツワリが酷かったのにも関わらず周りに妊娠を隠して毎日、練習生としてダンスのレッスンをしていた。
そして、私はある決心をしジュンセに話があると伝え寝不足でクマを作るジュンセの家に行った。
C「ごめんね…忙しいのに…」
J「ううん…少しでもチアの顔が見れて嬉しいです…メールでも電話でも言ったけどあのスキャンダルは嘘ですからね!?」
C「うん…分かってるよ…」
J「なら良かった…」
ジュンセは優しく微笑み疲れ切った顔で私の手を握るが私はその手をそっと避けた。
C「別れよ…私たち。」
J「え?」
C「もう、うんざりなの…都合の良い時だけ抱かれるようなこんな関係…だから別れてほしい。」
J「ちょ…チアいきなり何?あの人との事やっぱり怒ってますよね?本当に違うあれはただ食事に誘われて二人っきりじゃないしあれはっ」
C「もう疲れた。いつ会えるか…いつ声が聞けるか…そうやって待つのに疲れたの。ごめんね…もう決めた事だから別れて。」
ジュンセの顔を見たら心が折れてしまいそうで、私はそのまま立ち上がりジュンセに背を向けるとジュンセは泣きながら私に縋り付いた。
J「やだよチア…別れたくないよ…お願い…俺の嫌なとこあるなら言ってよ直すから…俺はチアがいなきゃ生きていけないんだよ…」
泣きじゃくりそう言うジュンセに私の胸は張り裂けそうだった。
だけど…ここで私が折れるわけにはいかなかったんだ。
ジュンセの夢とこのお腹に宿る小さな命。
二つを守るためには…
私はお腹の子を1人で育てる覚悟をし、ジュンセに残酷な言葉を浴びせた。
C「そうやって私なしじゃ生きていけないなんて言うとこが…死ぬほど嫌い。もう…うんざりなの。」
私はそう吐き捨てるように言うと、私の腕をギュッと握りしめるジュンセの手を思いっきり振り払い、私は泣きじゃくるジュンセを一人残しその場を後にした。
C「ジュンセ…ごめん…ごめんね…好きだよ…大好き…」
私は逃げるようにジュンセが当時住んでいたアパートから出ると、1人しゃがみ込んで嗚咽混じりに泣いた。
そして、1人でお腹の子を生む覚悟を決めた私はお腹の子のためにヨダレ掛けや小さな手袋、可愛いベビー服に小さなオモチャなど色んな物を買い揃え両親に妊娠の事実を報告した。
初めは両親も驚き、今までにないくらい怒っていたが、私の決心が変わらないと分かったのかサポートすると言って私とお腹の子のことを受け入れてくれた。
そして数日後
私はお腹の子を育てる為にも事務所を辞め、就職活動をしないといけないと思い必死になって歩き回り就職先を探した。
しかし、妊婦を雇ってくれるような会社なんてなくて、無理した私はとある会社の面接中に酷い貧血を起こしてしまった。
なんとか面接をしてるいる社員さんにはバレないように平気なフリをして、面接が終わると壁を伝うようにして慌てて外に出ようとした私は酷い目まいに襲われ、足を踏みはずし階段から落ちた。
そして私は…
その衝撃でお腹に宿っていた小さな命を失った。
全部、愚かな自分のせい。
そう自分自身を責めて責めて責めても足りなくて毎日のように涙を流した。
私が妊娠していたことを知っているのは私の家族とお世話になっていた事務所のセイジさんだけだった。
あの時、私のお腹に宿っていたあの子が生まれていればきっとチビちゃんと同じくらいの年齢だろう…
しかし、ジュンセと別れたあの時期…
ジュンセは私なしでは生きていけないと言いながら、私ではない誰かと関係を持ちチビちゃんを授かっていた…
もしかしたらチビちゃんの母親はあの当時、噂になったあの女なのかもしれない。
私には手に入れる事が出来なかった宝物をその人は意図も簡単に手に入れていると思っただけで昔の傷が抉れ痛みだす。
私は目の前にあるベビーベッドに置いてある小さな黄色い手袋を手に取る。
C「ごめんね…産んであげられなくて…ごめん……」
またあの子を思い出しポロポロと涙を流し、小さな手に着けてあげることの出来なかった手袋を握りしめる。
すると、後ろからふわっと大好きな匂いに包まれた。
「俺がごめん…ほんとに…ごめん……」
震えた声でそう言ったのは私があの日、震えながら捨てたはずのジュンセ。
なぜだろう…?
私の肩にはジュンセの涙がポタポタと落ちて微かに服を濡らしていた。
つづく
あの時
6年前のあの時…
私とジュンセは別れの危機を迎えていた。
歌手としてデビューしたジュンセは朝から次の日の朝まで働く事なんてザラで、寝る暇なく毎日を過ごしていた。
そんな毎日の中、少しの時間があればジュンセは家に練習生の私を呼び出し、時間を惜しむように体を重ねた。
時間が足りないが故のそんな関係が、まだ幼かった私にとってはまるで体だけの関係のように感じてしまい、いつの間にかジュンセの心が離れてしまったんじゃないかと寂しくて耐えられずにいた。
そんな時、デビューして間もないジュンセにスキャンダルが持ち上がった。
私とはゆっくりと会うことも話をすることもなくただ、身体を重ねるだけなのに。
その相手とは外で楽しそうに食事に行く時間があるんだ…と私はそんな風に思ってしまい、ジュンセを信じることが出来ずにいた。
そして、そんな風に思ってしまう自分に苛立ち耐えられない日々を送っているとき…私は妊娠に気づいた。
正直、最初は戸惑った。
小さな命を身篭った事をデビューしたばかりのジュンセに伝えるべきなのだろうか?
私以外の誰かと夜を過ごしてるかもしれないジュンセは私の妊娠をどう思うのだろうか?
と…
私はツワリが酷かったのにも関わらず周りに妊娠を隠して毎日、練習生としてダンスのレッスンをしていた。
そして、私はある決心をしジュンセに話があると伝え寝不足でクマを作るジュンセの家に行った。
C「ごめんね…忙しいのに…」
J「ううん…少しでもチアの顔が見れて嬉しいです…メールでも電話でも言ったけどあのスキャンダルは嘘ですからね!?」
C「うん…分かってるよ…」
J「なら良かった…」
ジュンセは優しく微笑み疲れ切った顔で私の手を握るが私はその手をそっと避けた。
C「別れよ…私たち。」
J「え?」
C「もう、うんざりなの…都合の良い時だけ抱かれるようなこんな関係…だから別れてほしい。」
J「ちょ…チアいきなり何?あの人との事やっぱり怒ってますよね?本当に違うあれはただ食事に誘われて二人っきりじゃないしあれはっ」
C「もう疲れた。いつ会えるか…いつ声が聞けるか…そうやって待つのに疲れたの。ごめんね…もう決めた事だから別れて。」
ジュンセの顔を見たら心が折れてしまいそうで、私はそのまま立ち上がりジュンセに背を向けるとジュンセは泣きながら私に縋り付いた。
J「やだよチア…別れたくないよ…お願い…俺の嫌なとこあるなら言ってよ直すから…俺はチアがいなきゃ生きていけないんだよ…」
泣きじゃくりそう言うジュンセに私の胸は張り裂けそうだった。
だけど…ここで私が折れるわけにはいかなかったんだ。
ジュンセの夢とこのお腹に宿る小さな命。
二つを守るためには…
私はお腹の子を1人で育てる覚悟をし、ジュンセに残酷な言葉を浴びせた。
C「そうやって私なしじゃ生きていけないなんて言うとこが…死ぬほど嫌い。もう…うんざりなの。」
私はそう吐き捨てるように言うと、私の腕をギュッと握りしめるジュンセの手を思いっきり振り払い、私は泣きじゃくるジュンセを一人残しその場を後にした。
C「ジュンセ…ごめん…ごめんね…好きだよ…大好き…」
私は逃げるようにジュンセが当時住んでいたアパートから出ると、1人しゃがみ込んで嗚咽混じりに泣いた。
そして、1人でお腹の子を生む覚悟を決めた私はお腹の子のためにヨダレ掛けや小さな手袋、可愛いベビー服に小さなオモチャなど色んな物を買い揃え両親に妊娠の事実を報告した。
初めは両親も驚き、今までにないくらい怒っていたが、私の決心が変わらないと分かったのかサポートすると言って私とお腹の子のことを受け入れてくれた。
そして数日後
私はお腹の子を育てる為にも事務所を辞め、就職活動をしないといけないと思い必死になって歩き回り就職先を探した。
しかし、妊婦を雇ってくれるような会社なんてなくて、無理した私はとある会社の面接中に酷い貧血を起こしてしまった。
なんとか面接をしてるいる社員さんにはバレないように平気なフリをして、面接が終わると壁を伝うようにして慌てて外に出ようとした私は酷い目まいに襲われ、足を踏みはずし階段から落ちた。
そして私は…
その衝撃でお腹に宿っていた小さな命を失った。
全部、愚かな自分のせい。
そう自分自身を責めて責めて責めても足りなくて毎日のように涙を流した。
私が妊娠していたことを知っているのは私の家族とお世話になっていた事務所のセイジさんだけだった。
あの時、私のお腹に宿っていたあの子が生まれていればきっとチビちゃんと同じくらいの年齢だろう…
しかし、ジュンセと別れたあの時期…
ジュンセは私なしでは生きていけないと言いながら、私ではない誰かと関係を持ちチビちゃんを授かっていた…
もしかしたらチビちゃんの母親はあの当時、噂になったあの女なのかもしれない。
私には手に入れる事が出来なかった宝物をその人は意図も簡単に手に入れていると思っただけで昔の傷が抉れ痛みだす。
私は目の前にあるベビーベッドに置いてある小さな黄色い手袋を手に取る。
C「ごめんね…産んであげられなくて…ごめん……」
またあの子を思い出しポロポロと涙を流し、小さな手に着けてあげることの出来なかった手袋を握りしめる。
すると、後ろからふわっと大好きな匂いに包まれた。
「俺がごめん…ほんとに…ごめん……」
震えた声でそう言ったのは私があの日、震えながら捨てたはずのジュンセ。
なぜだろう…?
私の肩にはジュンセの涙がポタポタと落ちて微かに服を濡らしていた。
つづく
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
皇宮女官小蘭(シャオラン)は溺愛され過ぎて頭を抱えているようです!?
akechi
恋愛
建国して三百年の歴史がある陽蘭(ヤンラン)国。
今年16歳になる小蘭(シャオラン)はとある目的の為、皇宮の女官になる事を決めた。
家族に置き手紙を残して、いざ魑魅魍魎の世界へ足を踏み入れた。
だが、この小蘭という少女には信じられない秘密が隠されていた!?
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~
伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華
結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空
幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。
割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。
思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。
二人の結婚生活は一体どうなる?
時間を止めて ~忘れられない元カレは完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な人でした 【完結】
remo
恋愛
どんなに好きになっても、彼は絶対に私を愛さない。
佐倉ここ。
玩具メーカーで働く24歳のOL。
鬼上司・高野雅(がく)に叱責されながら仕事に奔走する中、忘れられない元カレ・常盤千晃(ちあき)に再会。
完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な彼には、悲しい秘密があった。
【完結】ありがとうございました‼
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる