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16話
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ジュンセside
チアの部屋の中に入った俺は…
正直…戸惑いを隠せなかった…
部屋には可愛らしいベビー用品が揃えられていて…
何も知らずに生きてきた俺の胸を締め付けていく…
部屋に飾られた小さな1枚の写真…
俺に存在を知られる事なく天国に行ってしまった小さな天使…
その写真に手をかざし俺は心の中で何度も謝る…
ごめんな…俺があの時…
もっとしっかりしていれば…
そう繰り返しても意味のなくなってしまった言葉に俺はギュと下唇を噛んだ。
J「…この子が俺たちの赤ちゃん…?」
俺はチアに背中を向けるようにして写真を見つめそう問いかけた。
C「な…なんで…知ってるの……」
J「セイジさんから聞いた………」
俺がそう言うとチアは全てを悟ったのか小さく息を吸い込み言った。
C「…そうだよ…どうしても捨てれなかったの…この子のために揃えた物も…この子がお腹にいた思い出も…」
チアにかける言葉が見つからず、俺の涙は止めどなく溢れ出す。
そんな自分が情けなくて仕方なかった。
J「ごめんなさい…1番辛い時に俺は…そばにいてやれなかった…」
なんとか絞り出した声は微かに震え上ずる。
C「私が別れようって言ったんだよ…ジュンセに……」
J「それでも俺はチアの手を離すべきじゃなかった…こんなにも愛した…いや…愛してるのはチアだけなんだから…」
C「ジュンセ……」
J「父ちゃん…だよ……遅くなって…ごめんな…」
俺が写真を撫でながらそう呟くと、後ろでチアが声を殺して涙を流しているのがわかった。
俺はゆっくりと振り返り恐る恐る泣きじゃくるチアを抱きしめると…
チアは微かに震えながら俺の身体をギュッと震える手で抱きしめてくれた。
俺は抱きしめたままチアの顔を覗き込み、その頬に流れる涙を親指で脱ぐうと、そっとチアが俺の手を包み込んだ。
俺たちはいつの間にか引き寄せられるように一瞬…重なるだけのキスを交わした……
その瞬間…突然、チアのお母さんの叫び声が聞こえ、俺たちは我に返り慌てて離れると目を合わせリビングへと向かった。
しかし、気付けばチアの手と俺の手はあの頃のように繋ぎ合わせられていた。
急いでリビングの扉を開けるとチビは身体を激しくプルプルと震わせている。
J「チビ!!?」
当の本人は何も恐れる様子もなく大好きなチアの顔を見て笑って「ちゃあちゃんだ~」と言っているのにその身体はまるで別物のように震えていて、俺たちの方が恐怖を覚えた。
怯えるチアが恐る恐るチビに触れると不思議とそのチビの身体の震えは不思議なことにピタっと止まった。
C「い…今の何…?」
J「わ…わかんねぇ…」
俺たちは訳もわからずなんとも言えない恐怖を抱いていたままチビのことをただ、見つめた。
しばらくしてチアとおばさんが落ちつきを取り戻した頃…
俺はチビを抱き上げた。
J「そろそろ帰りますね。お邪魔しました。」
そういうとおばさんが驚いた顔をする。
「ジュンセくん1人でこの坊や見てるの?そんなの大変じゃない…チアの怪我も大したことないならあなたジュンセくんの部屋でこの子の面倒みてあげたらどう?そうすればジュンセくんだって助かるでしょ?」
J「いやでも……」
チアの過去を知った今、俺はこれまで一緒にチビの面倒をチアに見てもらうというなんと残酷な事をしてしまったんだろうと後悔していた。
だからチアが苦しむくらないなら俺1人でなんとかチビの面倒をみようそう思ってチアの実家に来た。
なのに…
C「帰ろう…ジュンセ…」
そう言ってチアは俺の手を繋ぎ直し、俺は驚き戸惑いながらもその手を繋いだままチアの実家を後にした。
J「…でも本当に大丈夫ですか?思い出しちゃうんじゃ……」
帰りのタクシーでチビを膝の上に乗せて遊んでいるチアにそう問いかけると、チアはチビを見つめたまま微かに笑い言った。
C「あの子のこと…忘れようと思うから苦しいんだよね。これからは忘れようとしない…私とジュンセが愛し合って出来た子だもん…ずっと私の大切な天使…だからチビも早くママが見つかるといいね?チビも誰かの大切な天使なんだから。」
そう言ったチアを見て俺は絶対にもうチアを泣かさないと心の中に決めた。
J「チアこれだけは言わせて…」
俺がそう言うとチアの視線はチビから俺に向かう。
C「ん?」
J「確かにチビは俺に似てるけど…俺…絶対にチアを裏切ったりしてないから…それだけは本気で…信じて欲しい…」
C「うん……」
そうして俺たちは手を繋いで家へと帰った。
つづく
チアの部屋の中に入った俺は…
正直…戸惑いを隠せなかった…
部屋には可愛らしいベビー用品が揃えられていて…
何も知らずに生きてきた俺の胸を締め付けていく…
部屋に飾られた小さな1枚の写真…
俺に存在を知られる事なく天国に行ってしまった小さな天使…
その写真に手をかざし俺は心の中で何度も謝る…
ごめんな…俺があの時…
もっとしっかりしていれば…
そう繰り返しても意味のなくなってしまった言葉に俺はギュと下唇を噛んだ。
J「…この子が俺たちの赤ちゃん…?」
俺はチアに背中を向けるようにして写真を見つめそう問いかけた。
C「な…なんで…知ってるの……」
J「セイジさんから聞いた………」
俺がそう言うとチアは全てを悟ったのか小さく息を吸い込み言った。
C「…そうだよ…どうしても捨てれなかったの…この子のために揃えた物も…この子がお腹にいた思い出も…」
チアにかける言葉が見つからず、俺の涙は止めどなく溢れ出す。
そんな自分が情けなくて仕方なかった。
J「ごめんなさい…1番辛い時に俺は…そばにいてやれなかった…」
なんとか絞り出した声は微かに震え上ずる。
C「私が別れようって言ったんだよ…ジュンセに……」
J「それでも俺はチアの手を離すべきじゃなかった…こんなにも愛した…いや…愛してるのはチアだけなんだから…」
C「ジュンセ……」
J「父ちゃん…だよ……遅くなって…ごめんな…」
俺が写真を撫でながらそう呟くと、後ろでチアが声を殺して涙を流しているのがわかった。
俺はゆっくりと振り返り恐る恐る泣きじゃくるチアを抱きしめると…
チアは微かに震えながら俺の身体をギュッと震える手で抱きしめてくれた。
俺は抱きしめたままチアの顔を覗き込み、その頬に流れる涙を親指で脱ぐうと、そっとチアが俺の手を包み込んだ。
俺たちはいつの間にか引き寄せられるように一瞬…重なるだけのキスを交わした……
その瞬間…突然、チアのお母さんの叫び声が聞こえ、俺たちは我に返り慌てて離れると目を合わせリビングへと向かった。
しかし、気付けばチアの手と俺の手はあの頃のように繋ぎ合わせられていた。
急いでリビングの扉を開けるとチビは身体を激しくプルプルと震わせている。
J「チビ!!?」
当の本人は何も恐れる様子もなく大好きなチアの顔を見て笑って「ちゃあちゃんだ~」と言っているのにその身体はまるで別物のように震えていて、俺たちの方が恐怖を覚えた。
怯えるチアが恐る恐るチビに触れると不思議とそのチビの身体の震えは不思議なことにピタっと止まった。
C「い…今の何…?」
J「わ…わかんねぇ…」
俺たちは訳もわからずなんとも言えない恐怖を抱いていたままチビのことをただ、見つめた。
しばらくしてチアとおばさんが落ちつきを取り戻した頃…
俺はチビを抱き上げた。
J「そろそろ帰りますね。お邪魔しました。」
そういうとおばさんが驚いた顔をする。
「ジュンセくん1人でこの坊や見てるの?そんなの大変じゃない…チアの怪我も大したことないならあなたジュンセくんの部屋でこの子の面倒みてあげたらどう?そうすればジュンセくんだって助かるでしょ?」
J「いやでも……」
チアの過去を知った今、俺はこれまで一緒にチビの面倒をチアに見てもらうというなんと残酷な事をしてしまったんだろうと後悔していた。
だからチアが苦しむくらないなら俺1人でなんとかチビの面倒をみようそう思ってチアの実家に来た。
なのに…
C「帰ろう…ジュンセ…」
そう言ってチアは俺の手を繋ぎ直し、俺は驚き戸惑いながらもその手を繋いだままチアの実家を後にした。
J「…でも本当に大丈夫ですか?思い出しちゃうんじゃ……」
帰りのタクシーでチビを膝の上に乗せて遊んでいるチアにそう問いかけると、チアはチビを見つめたまま微かに笑い言った。
C「あの子のこと…忘れようと思うから苦しいんだよね。これからは忘れようとしない…私とジュンセが愛し合って出来た子だもん…ずっと私の大切な天使…だからチビも早くママが見つかるといいね?チビも誰かの大切な天使なんだから。」
そう言ったチアを見て俺は絶対にもうチアを泣かさないと心の中に決めた。
J「チアこれだけは言わせて…」
俺がそう言うとチアの視線はチビから俺に向かう。
C「ん?」
J「確かにチビは俺に似てるけど…俺…絶対にチアを裏切ったりしてないから…それだけは本気で…信じて欲しい…」
C「うん……」
そうして俺たちは手を繋いで家へと帰った。
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