異世界をスキルブックと共に生きていく

大森 万丈

文字の大きさ
表紙へ
33 / 48
3巻

3-1

しおりを挟む



 戦争の終結と新たな火種



 俺、佐藤健吾さとうけんごがこの世界に転移してから数ヵ月。
 大森林に一人で放り出された俺は、そこで魔物と人が共存する拠点を築き上げたものの、もっと多くの人と関わるために人里に出ようと試みた。その道中、俺は『くろ外套がいとう』と呼ばれる野盗組織やとうそしき誘拐ゆうかいされかけていたエスネアート王国の第三王女――クリスティーナを救出したのだが、これがきっかけになって戦争に巻き込まれてしまう。
 うちの拠点で魔物との通訳を務めるエレナが、クリス王女の身柄みがらを要求し、それと引き換えにグラス帝国との戦争への助力を約束したのだ。いったいどうしてこうなった……
 ナミラ平原での戦争では、帝国が召喚した勇者が率いるアンデッド軍団の圧倒的な数に押されて王国は大苦戦。俺も敵方の主力であるS級冒険者のエッジ達のパーティーに苦しめられ、仲間の命を危険にさらしてしまった。これは大いに反省すべき点だ。
 それでも、最終的には虎型獣人の女の子、リンのユニークスキルで勇者のスキルを奪い取り、無事に勝利できた。王国はこれから戦後の復興にいそがしくなるだろう。
 らえた帝国の勇者――村上むらかみ君については、今回の戦で軍を率いたレルド王子立ち会いのもと、即座に尋問が行われた。意外にも、勇者は自分が中心となって今回の戦争を起こしたとすんなり自供した。目的は魔王の魔石と、レベル上げだそうだ。
 帝国や王国に多くの犠牲ぎせいを出したというのに、特にそれを気にした様子はなかった。しんがたいが、どこかゲーム感覚で戦争をやっているふしがある。他にも彼とおなどしの勇者が召喚されたらしいけど、そいつらが最低限の常識を持った人物であってほしいと切に願う。
 結局、勇者は一時的に俺が拠点で預かることになった。戦争の影響で王都は未だ混乱の渦中かちゅうにあり、勇者を受け入れる態勢が整っていなかったからだ。
 王国の部隊を魔道具の〝転移門〟で王都に送り届けた俺は、拠点に戻って久々にゆっくりした日々を送るのだった。


 ――戦争終結から一週間が経った。
 新たに配下になったエッジ達のパーティーだが、エッジと魔法使いのマーリンは情報収集なども兼ねて、一度帝国に戻らせた。あの二人は冒険者として名が通っているし、いずれ役に立ってくれるだろう。一方、『契約魔法』の使い手リアムと、彼女が持っていた魔石から召喚したメルドとムランは、しばらく拠点で生活してもらうことにした。
 さて、ここ数日、俺は今回の戦争で得た魔石や勇者から制御権を奪ったアンデッドを使って、拠点の拡張や仲間達の強化に精を出している。
 その一環で、拠点の戦力増強のために『エンチャント』というスキルを取得した。スキルポイントの必要値は300と高かったものの、非常に便利なスキルだ。『エンチャント』を使うと、魔石に自分が取得しているスキルを定着させられる。その魔石を組み込んで武器や防具、装飾品などを作れば装備した者も魔石に定着されたスキルを使えるようになるのだ。ただし、定着させられるスキルのレベルは『エンチャント』のレベルと魔石の等級に左右される。
 具体的に言えば『身体強化』LV5を魔石に定着する場合は、『エンチャント』LV5が必要。そして等級が五の魔石にはスキルはLV5までしか付与できないといった具合だ。
 ちなみに、等級は一から十まであって、数字が低いほど上位になる。
 まぁ、魔石についてはいずれ良い魔石が見つかった時に更新していけばいいか。
 さて、この『エンチャント』を俺の『スキルブック』と組み合わせると、非常に強力というか、便利になる。魔石に定着させるスキルを『スキルブック』で自由に選べるからだ。
 スキルがエンチャントされたアイテムを装着すれば、誰でもそのスキルが使えるので、俺みたいに多数のスキルを使いこなせる奴を量産できないかと思ったが、それは上手くいかなかった。
 どうやら色々と制限されているようで、エンチャントできないスキルも多数ある。『召喚』や『付与』等の必要値が高いスキルは軒並のきなみエンチャント不可だった。
 また、各部位に一つずつしか効果が発動しないため、たとえば腕輪や指輪を一度に大量に身につけたとしても、多数のスキルを使えるわけではない。
 とはいえ、これでみんなの装備を作れば、かなり拠点の戦力を強化できるはずだ。
 プレゼントしたらみんな喜んでくれるだろう。そう考えていくつか作ってみたのだが……決定的な要素が欠けていた。
 そう、俺のセンスだ。
 最初に試作した腕輪はゴツゴツしていて、どう考えても女性がつけるデザインではなかった。
 ゴブリンキングなるいかつい種族になったゴブ一朗いちろうであれば何も問題ないのだが、エレナ達年頃の女性にあげるには無骨ぶこつすぎる。
 本当はこう……女性がつけていて魅力みりょくが増すようなワンポイントの装飾品を作りたいのだけれど、俺が作るといかにも耐久性に優れたゴツいものになってしまう。何故だ……?
 オシャレな見本でもあると助かるのだが、この拠点にはそんなものはないし、何より、なるべくサプライズでプレゼントしたい。
 下手にいじると変なのができそうなので、女性用は金属を細く編み込み、魔石をワンポイントにするシンプルな腕輪で妥協だきょうすることにした。
 まぁ、装飾品作りはこれから練習していこう。


 そんなわけで、俺は早速拠点のメンバーを呼んでプレゼントした。
 微妙な出来に声が出ないのか、みんな腕輪にじっと見入っている。
 何度か作り直したからそんなに見映みばえは悪くないはずなんだけどな……
 狼獣人のマリアと虎獣人のリンには『索敵さくてき』と『身体強化』を。王都でお店の運営を頑張っている奴隷どれいのランカ達は『鑑定』や『錬金』など、商売に役立ちそうなスキルを宿した物を用意した。
 もちろん、エレナにもプレゼントする。彼女は我が拠点で最初の人間だし、いつも俺の側で頑張ってくれている。記念の意味も含めて、簡素なネックレスをあげた。
 エンチャントしたスキルは『魔力増大』だ。

「これを本当に頂いても良いのですか?」

 エレナはかなり驚いている。

「ああ、そのために作った物だからな。これからもよろしく頼む」
「ありがとうございます。一生大事にします」
「そんなに手の込んだ物じゃないし、気に入らなかったらつけなくてもいいんだぞ? いずれすご彫金ちょうきんをしたやつを作る予定だから期待しておいてくれ」
「いえ、これがいいんです……」

 エレナが受け取ると、何故なぜか周囲から歓声がいたが、みんなどうしたんだ?
 試作品とはいえ好評だったようで、エレナ達はそれぞれ受け取った装飾品を大事そうに身につけて、お互いに見せ合って盛り上がった。


 ****


 そんな落ち着いた日々も束の間、俺の心を乱す出来事が発生した。
 戦争勝利の功労者として、王都に招待されることになったのだ。
 レルド王子直々じきじきの招待だから断るわけにはいかない。
 王様との面会と、その後で戦勝祝いのうたげがあるらしいが……できれば祝いの席は目立ちたくないから、こぢんまりとしたのを希望したい。恐らく無理だろうけど。

「なぁエレナ、本当にこの服じゃないと駄目だめなのか?」

 王都に向かう馬車に揺られながら、俺は改めて自分の服装を確認する。

「はい、これくらいの装飾がある服がちょうど良いと思います。大丈夫です、似合っていますよ」

 今俺が身につけている礼服は、現在拠点でれる最高の素材から出来た糸で作られている。
 いつもの服とは違って生地きじの肌触りはなめらかで、とても高級感があるのだが、無駄に装飾が多くて動きづらい。そして〝着せられている感〟が物凄いのも難点だ。
 エレナは似合っていると言うけど、いつも言動が極端なので信用できない。誰か俺を客観的に評価してくれる人間はこの拠点にはいないのだろうか?
 あまりの恥ずかしさから、道中誰とも出会わないことを願い、俺は馬車の中で大きな溜め息を吐いた。

「しかし、俺に比べてエレナはドレスが本当に良く似合っているな」
「ありがとうございます」

 憂鬱ゆううつな気持ちを誤魔化ごまかすようにめると、エレナはほおを若干赤く染めながら頭を下げた。
 目の前に座るエレナは、燃えるような赤を基調とした細身のドレスに身を包んでいる。
 その横に座るマリアとリンも、それぞれの髪の色に合った青系と黄色系のドレスを身にまとっていて、こちらもとても可愛らしい。
 祝いの席で何人か連れてきてもいいとのことなので、三人とも今日は護衛ではなくパーティーのお供として俺に同行している。
 ぶっちゃけ、目立ちたくない俺のかくみのとして綺麗所きれいどころを連れてきた。
 しかし、改めて見ると、エレナは本当に美人だな。召喚した当初はまだ幼さが残っていたが、レベルが上がり、強化するたびにどんどん美しくなっている気がする。このまま強化の上限までいったらどこまで綺麗になるのだろうか? 楽しみだな。
 しばらく新たに作った装飾品のチェックなどをして時間をつぶしていると、エレナに声を掛けられた。

「ケンゴ様、あともう少しで王都に到着します」
「ああ、それじゃあ、降りる準備をしておくか」

 俺は装飾品以外を仕舞いながら遠くに見える王都に視線を向けた。


 ****


 一度馬車を降りた俺達は、王都に入るための検問けんもんの列に並んでいた。
 以前来た時は誰もいなかったのが信じられないほどの人の列ができている。

「凄い人だかりだな」

 思わずつぶやいた俺に、エレナが応える。

「はい。周囲に王国が帝国を退しりぞけたという情報が広まりつつあるらしく、多くの人が戦勝国である王国に集まっているようです。これから数日、戦没者の追悼ついとうと戦勝祝いの祭りが行われるそうなので、今後さらに増えると思われます」

 ほうほう、そういうことか。

「それにしても、なんでお前達の礼服はそんなにスタイリッシュなんだ?」

 俺は振り返って王都に連れてきたメンバーの顔を見る。
 今回はエレナにマリアとリン、それに元黒の外套の幹部で何かと対応力が高いジャックを連れてきた。さらに、先の戦争で俺達と戦ったSランク冒険者パーティーの一員であるリアムが一度王都を見てみたいと言い出したので、護衛のメルドをともなって一緒に来ている。
 いつも目立ちたくない俺に代わって、隠れ蓑として脚光きゃっこうを浴びてもらっている元山賊の冒険者――モーテン達のパーティーとは王都の中で合流する手筈てはずだ。
 それから忘れちゃいけないのが、あのアホ勇者。王国に引き渡すために連れてきているが、すきあらば何かしようとするので、逃げ出さないように『土魔法』で作った手枷てかせで拘束してある。
 改めてみんなの格好を見ると、俺の服だけが装飾過多な気がしてならない。女性陣のドレスはともかく、ジャックはスラリとシンプルな礼服でうらやましい。
『隠密』スキルのおかげで周囲の目は全てエレナやジャック達に向いているから別にいいのだが、似合わないとわかっている服を着るのはかなりずかしい。

「なあ、何故俺だけこんな目立つ服装なんだ? もう少しどうにかなっただろ」
「主人であるケンゴ様が一番良い服装をするのは当然のことです。もしケンゴ様が通常通りの服装で出席されるのであれば、部下である私達はそれ以下の格好で参列しなければなりません。それに、服装はそれを着ている人の第一印象を決める大事な要素です。ケンゴ様は周囲には認められていませんが、既に私達の国のあるじなのです。相手に見下されぬよう、対等以上の服装で臨まねばなりません」

 エレナがたんたんと理由を語った。
 うーむ、そういうものなのだろうか?


 国の代表者として振る舞ったことなんてないから、どうしたらいいか全然わからない。
 拠点の外交関係をになう人物の採用を急いだ方がいいな。

「ご主人様、そろそろ替えの馬車に乗っていただけませんか? ドレスアップした女性陣を衆目しゅうもくに晒し続けるのはあまり好ましくありません」

 横からジャックに注意された。

「ジャックよ、俺にこれに乗れと言うのか?」

 俺はすぐ後ろに停まっている馬車を振り返る。
 そこには、さっきまで乗っていた普通の馬車ではなく、どこぞの貴族様のものかという雰囲気ふんいきのド派手な馬車があった。
 見た目が豪勢な上に車体は大きく、何故か少し輝いて見える。馬も俺が召喚したものなのか奴隷紋どれいもんが入っており、レベルが上がっているらしく、妙に猛々たけだけしい。
 拠点でひっそり暮らしたい俺からすれば、遠慮したい乗り物ナンバーワンである。

「なぁ、もう少し目立たない馬車はなかったのか? 幌馬車ほろばしゃで十分なんだが……」
「駄目です。ご主人様はこの国の王に賓客ひんきゃくとして招待されています。周囲の目もありますし、王城に入るのにもそれなりの用意は必要です。さぁ、ご主人様が乗らないとエレナさん達も乗れませんよ。それとも、ご主人様は彼女達を王城まで歩かせるおつもりですか?」
「ぐっ……そう言われると乗らないわけにはいかないか……」

 この世界のルールを知らない俺からしてみれば、ジャック達の言葉を尊重しなければならないとわかっているのだが、どうも目立つようなことは気が引ける。
 最初はただ人間と話がしたくて王国を目指していたはずなのに、なんで王様と話す羽目はめになるんだ。
 ブツブツ文句を言いながらも、俺はジャックが用意した馬車に乗り込んだ
 馬車が目立つおかげか、守衛にも怪しまれず、すんなり王都に入れた。
 あとはモーテンを拾って王城に向かうだけなんだが、先ほどから馬車の中の空気が重い。
 その理由は……

「なぁ、俺はいつまでこんな扱いを受けるんだ? 勇者だぞ? そこら辺のモブと勘違いしてないか?」

 王都の街並みを見た途端とたんに不平を漏らしはじめた勇者に、エレナが冷たく言い放つ。

「いい加減、だまっていてもらえませんか?」
「ならさっさとこの手枷を外せよ。これ異様に重てぇから疲れるんだよ。なぁ、あんたからも言ってくれないか?」

 勇者はエレナが取り合ってくれないとわかると、となりに座るジャックに話しかける。
 こいつ、自分の状況を理解しているのか? 最初と態度が全然変わらない。

「それは無理です。一応あなたは捕虜という立場ですからね。これから王国に引き渡すので、そこで待遇改善を要求してください」

 まぁ、無理だとは思うが。

「ちっ、面倒めんどくせぇな」

 勇者は舌打ちすると、今度は俺に矛先ほこさきを向けてきた。

「そういえば、他の勇者についてあれこれ聞いてきたが、あんたはこれからどうするんだ? 日本に帰るのか? あんたが魔王なら、あんた自身が死なない限り日本に帰るのは無理だろ」

 勇者はどういうわけか、俺を魔王だと認識している。

「以前話した通り、私は日本で死んでいるので戻れませんよ。それに、私が死なないと戻れないとはどういう意味ですか?」
「そういえば前にそんなこと言ってたな。てか、どういう意味も何も、ラスボスを倒さないとクリアして元の世界に戻れないのは常識だろうが。皇帝もそう言ってたし、間違いねぇよ」

 俺は勇者召喚については詳しく知らないが、誰かを殺したら元に戻るとか、ゲームではないのだから、その皇帝の勘違いじゃないのか?
 とはいえ、一度元の世界に帰ったあと、再びこの世界に戻ってきた奴なんていないだろうし、実際どうなのか確認するすべはない。
 エレナ達も初めて聞く内容らしく、みんな驚いた顔をしている。

「ケンゴ様は一度死んだことがあるのですか?」

 しばし馬車に揺られていると、突然エレナがそんなことを聞いてきた。

「ん? ああ、話していなかったかもしれないけど、俺はこの世界に来る前に一度死んでいる。それがどうかしたのか?」

 まさか、さっきみんなが驚いていたのは、勇者の話じゃなくてそっちなのか?

「いえ、ケンゴ様が一度でも死んだというのが信じられなくて……」

 おいおい、俺をなんだと思っているんだ。

「俺もみんなと変わらないからな、人間死ぬ時は死ぬさ。それで村上君、その日本に戻れるという話には何か根拠があるんですか?」
「いや、そんなもんはねぇよ。俺達はとりあえずその話を信じるしか選択肢がないから帝国にいるだけだ」

 ふむ、やはり根拠は何もないみたいだな。

「では、他に日本に戻れる選択肢があれば、勇者の皆さんは帝国から離れる可能性があるというのですか?」
「その選択肢とやらが帝国を離れないといけないものならな。俺達は今、帝国では歓迎されてるし、余程のデメリットがない限り、離れないだろ」

 まぁ、そうだよな。とりあえず、俺達に実害がないなら、勇者やら魔王やらは国同士の話し合いでなんとかしてもらおう。
 いずれ帝国に足を運ぶ機会があったら、他の勇者に会ってみるのもいいかもしれない。

「それで、俺はこれからどうなるんだ?」
「先ほども言いましたが、王国に引き渡します。後は王国との交渉次第ですね。ですが、あなたがしたことを考えると、あまり穏便おんびんには済まないと思った方がいいですよ」

 勇者は事態の深刻さをまるでわかっていないらしく、不機嫌そうに毒づく。

「ちっ、かったるいイベントだな。なぁ、聞こうと思っていたんだが、あんた俺に何かしただろ?」
「何かとは?」
「俺のステータスからスキルが消えてるんだよ。アンデッドも俺の言うことを聞かねぇし、まさかあんたのスキルは強奪系か?」
「いえ、違いますよ。そこの虎型の獣人の子のスキルです。村上君は自分のステータスがわかるんですか?」

 この世界の住人は魔道具を介さないとステータスがわからない。しかもレベルの表示がない不完全な情報しか得られない。
 しかし、俺を含めてどうやら転移者は自分のステータスが確認できるようだ。

「わかるも何も、俺達は自分のステータスはいつでも確認できるぞ。あんたは違うのか?」
「いえいえ、私も自分のステータスに関しては見ることができますよ」
「そこら辺は俺達と一緒か。だけど俺達と違って、なんであんたはそんなに強いんだ? 転移した時期はほとんど同じなんだよな? 魔王は初期からステータスが良いのか?」

 だから、誰が魔王だ。俺が魔王だという前提で話をするのはやめてほしい。

「私も初めはかなり弱かったですよ。魔物を一匹倒すのにもずいぶん苦労しました」
「なら、その急成長が魔王の特性か。『経験値倍化』か『熟達』系の恩恵があるんだろ。ちっ、このチートが」
「いや、そんなものは持っていませんよ」

『スキルブック』のおかげで、スキルポイントさえあればどんなスキルでも最大レベルまで一瞬で取得できるけど。とはいえ、地道に魔石を稼ぐ必要はあるから、万能ってわけじゃない。

「ご主人様、もうすぐモーテンとの合流場所に着きます」

 しばらく勇者の相手をしていると、ジャックが声を掛けてきた。
 モーテン達のパーティーには王女救出の手柄てがらを肩代わりしてもらったり、王都復興のために冒険者ギルドが出した依頼の対応をしてもらったり、このところかなり負担を掛けている。怒っていないか少し不安だ。彼らは俺の隠れ蓑としてよく働いてくれているし、いずれ何かしらのお礼をしないといけないな。
 俺がモーテンの待遇について考えている間に目的地に着いたのか、馬車が停止した。
 だが何か外の様子がおかしい。
 馬車の窓から覗き込んで確認すると……外には人があふれかえっていた。
 戦争で疎開そかいしていた人が王都に戻ってきて活気が出てきているのは知っていたが、目の前の光景はそれどころじゃなかった。
 モーテン達と待ち合わせている広場は、集まった人で身動きがほとんど取れないくらいだ。


しおりを挟む
表紙へ
感想 372

あなたにおすすめの小説

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~

名無し
ファンタジー
 突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。