おまけの神子は帰ることができない~平凡な筈の俺が美形たちに囲い込まれる話〜

宮沢ましゅまろ

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◆第2章 おまけの神子とにゃんこ(?)とワイルドエロ傭兵

閑話④-2~シュナ視点~

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「お前の場合は比較対象がいないから、恋愛感情なのかどうか判断がつかないんだろうとオレは思う。お前今まで他人に興味すら持つこと殆どなかっただろ?」

「あー……確かに」
 
 そう言われてみれば、僕が今まで誰かに対して感情を大きく動かされたことはほぼない。

 ジークとは比較的親しいけれど、行動をずっと共にしたいとか大好き!みたいな感情があるかと言われると話は別だ。一緒に居るのは苦じゃないし、旅を続けている以上は相棒ではあるけれど……。

 友情……はあるとは思う。でも、慣れ合うような関係ではないのは確かだ。そもそも僕は自分の言動を誰かに合わせるのが嫌いなのだ。

 今、ジークと上手くやれているのは、長い付き合いを経てジークが信用に足る相手だったと分かったからだし、出会った当初は互いに距離を取っていたなと思いだす。

「今回、僕が率先して興味を持ったってのが珍しいよねぇ」

 僕がしみじみとそう呟くと、ジークは苦い笑みを浮かべた。

「だな。でもまぁ、無理に今自分の感情を急いで見極めなくてもいいだろうさ。ラインハルトとその異世界人は別に恋人ってわけじゃないんだろ?」

「うん。仲は良いけれど、ラインハルト卿の片思いかなぁ。色々な話とトオルの話を照合すると」

 念のため王城内で手に入れた情報の類をすべて話すと、最初はヘラヘラと軽い気持ちで聞いていただろうジークが神妙な顔つきで唸った。神子の言動を、さすがに何もせずにこのまま放置するのは良くないと思ったんだろう。

 ラインハルト卿は確かに優秀だし、トオルを守ってはいる。けど、思ったよりも神子のラインハルト卿へのこだわりが強すぎるのだ。

 いや、殆どラインハルトにだけといってもいい。

 他の美形たちには、そこまで強い執着心は持っていないように僕には見えた。皆無ではないけれど……。

 例のリカという侍従の恋人に関しても、権力を使ってまで足止めをしようとはしていないことも、ここ数日で分かっている。多少の文句は言っているみたいだが、子供の可愛い我儘程度の文句みたいなんだよね。
 あのリカって子には同情するけど、別にリカと別れてほしいみたいなことは相手には言わないらしいし。

 美形が好きなのは嘘じゃないんだろうけど……。

 前に王城内でアンヘルという神子のお気に入りの騎士がトオルに話してきたことがあった。

 その時、僕は神子が絶対怒ると思ったんだけど……別段騒動にはならなかった。トオルに対してはやや剣呑な目を向けてはいたけれど、それだけ。

 いざとなったら獣化を解いてでも出て行くつもりだったから、ちょっと戸惑ったんだよねぇ。

 他の守護者たちや、貴族との時も同じだ。無理矢理、トオルと周りを引き離そうという感じではなかったし、神子の目にあったのは気に入らないな~程度の感情で、トオルを傷つけようとするほどの強い感情は感じられなかった。

 ラインハルトが相手の時だけ神子が異常に執着を見せトオルへと憎悪の感情を向けるのは、ラインハルトが本命の相手だからかな?と最初は思ったけれど、そういう単純な話ではないのかもしれないと僕は今思い直していた。

 それに――。

 今日トオルたちと別れた後、しばらく王城内を歩き回っていた時に僕は見てしまったのだ。

『ラインハルト様、あの人だけは絶対に駄目です。他の人ならともかく、貴方だけは絶対にあの人と結ばれては駄目なんです』

 そう、ラインハルトに縋るように言っているのを。

 その時の神子の目は、嫉妬にかられているだけにしては、。一見媚びているように見えて、あまり熱が感じられないの気になるし……。

 僕は、神子は恋愛絡み以外に何か明確な理由があってラインハルト卿に執着し、トオルを恨んでいるのではないかと思っている。

 ジークにもその事を話すと、どうやら同じ意見を持ったようだ。
 いくらなんでも、トオルに対して殺意にも近い感情を抱くというのはちょっと異常だ。

 トオルが神子に対して悪意を持って何かしたというのなら話は分かるが、トオルは基本的に神子に対しても穏やかに接している。

 苦手意識はあっても、子供だということもあって大抵の我儘も暴言も許してしまうし、実際そこまで悪く言われることに関してはトオルは気にしていない。自身に危険が迫っていると知って警戒はするようにはなったが、じゃあ神子を攻撃したいかといえば絶対にないとトオルなら言うだろう。

 穿った目で見てしまっていた僕だけれど、じっくりと観察をしていると色々と見えてくる事があり、今ではこう考えていた。

 私情だけでの争いではなく、何か他の要因が神子とトオルの間にあるのではないか――と。

「僕の恋愛相談どころじゃなくなった感じ、だよねぇ」

 最初ジークは、ラインハルト卿とトオルが恋人ではないのだからゆっくり考えれば良いという話に持っていくつもりだったんだろうけど、そんな話をしている場合じゃなさそうだ。

 さすがに僕も、この世界のことより自分のことを優先させるほど馬鹿ではない。フィン帝のこともあるのだ。出来る限り懸念事項は早い内に解決してしまいたい。
 
 どうやら、僕とジークの自由な宿生活はこのまま終了するしかないらしい。正直、あの王城内で暮すのは嫌だし少し気持ちが落ち込んだが、トオルの近くに居られると考えるなら悪くはないと何とか思い直すことにした。

(ジークもトオルと上手くやれたら良いんだけど……ジークはともかく、トオルはもしかしたらジークのことは苦手かもなぁ)

 目の前の友人が、トオルの味方になってくれると良いなと、僕はそう願った。

――その数日後、僕とジークは予定を変更して王城内に用意されている部屋へと移り住んだ。
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