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●本編(受視点)
はじまりの日①
僕の名前はココ。
苗字は無い。
正確に言えば、元々は貴族だったから苗字はあったけれど、家から追い出された時に名乗ることを禁止されてしまってからは平民として暮らしている。
なお、見た目はどこにでもいる19歳の男だ。
しいて言うなら特徴は、浅黒い肌と高い身長位だと思う。
背はすくすく伸びて、なんと184センチ。
僕の育ったソシエ地方という所は、他の土地より大分小柄な体格をしていて、平均身長が他の所より10センチくらい低くて大体170センチくらいが平均なので、僕はかなりの大柄な方だ。
ただ、それはあくまでソシエ地方の中であって、外界に出たら僕は平均くらいでしかないという事に気づいたんだけどね。
クロス王国の成人男子は、180センチは優に超えているんだ。
僕の現在の仕事はクロス王国の王城内の馬丁だ。
この仕事はたまたま僕が財布をすられて泣いていたところを二人組の男性に助けられて、その一人がクロス王国の王様だった事から「可哀想」だという理由でお情けで貰ったものだったけれど、今ではとても誇りに思っている。
(ちなみに王様ともう一人の人はお忍びの友人同士らしい。王様は僕と同じくらいか少し大きい位の身長だったけれど、もう一人は僕が見上げるくらい大きい人だった。多分二メートル近いんじゃないだろうか)
僕は、貴族に生まれたものの、はっきりいって全くと言って良い程何もできない駄目な奴だった。
剣術も魔法もてんで才能がなくていつも落ちこぼれだったし、勉強は普通くらいには出来たけれど、文官になれるほどではない中途半端な成績しか取れなかったしね。
唯一の特技は動物に好かれやすい事だったけれど、何の役にも立たないと兄弟には笑われてしまった。
でも、両親はそれでも僕を可愛がってくれていた。
「動物に好かれるなんてココは優しい子だなぁ」と父様は頭を撫でてくれたし、母様も「ちょっとくらい不出来な方が可愛いのよ」と仕方なさそうに笑ってくれたんだ。
母様は口では不出来だと僕を言ってはいたけれど、僕が作った歪な木彫りの指輪を大切そうにしてくれていたのを知ってる。
けれどそんな二人も、僕が15歳の時に馬車の事故で死んでしまった事で僕の平穏な生活は終わりを告げた。
今まで兄弟は両親が居るからこそ僕を屋敷に置いていてくれたけれど、両親が死んでしまった以上、僕を追い出すことに反対する人はいなかった。
正確には本当は僕の味方も居たけれど、彼は使用人であり兄様たちには逆らえなかった。
それでも勇気を振り絞ろうとしてくれた人は居たけれど、僕は断った。
あまり裕福ではないソシエ地方の平民の人の働き口は少なくて、万が一仕事を辞めさせられてしまえば、次の働き口が見つかるという保証もないのだから。
そしてしばらくしてから「お前を養っても何の利益にもならない」と兄様たちから責められて、僕は屋敷を追い出されてしまった。
僅かな荷物と食料だけで放り出された僕は彷徨い歩き、冒頭の流れになって王様に拾われたわけだ。
正直、僕は運が悪い様でいて良い方なんだと思う。
だって、その後僕の人生は比較的穏やかで幸福だったのだから。
それでもやっぱりダサいとかでちょっとはいじめられてしまったけれど、クロス王国の王様の馬が少し気難しい馬で、今までは王様以外の言う事は聞かなかったのに、僕にだけは心を許してくれているのを見られてからはいじめもすっかりと落ち着いた。
ちなみにクロス国の王様はジュリアス様と言って、40代だけどとても若々しくて気さくな人だ。
僕はジュリアス様をとても尊敬している。
僕の事もたくさん気にかけてくれて、どんなに忙しくても七日に一度は僕の所に声をかけに遊びに来てくれていた。
そう、僕はこの城での生活がとても大切で、大好きだったんだ。
――でも、既にこの時、幸せが壊れる音はすぐそこまでやって来ていた。
苗字は無い。
正確に言えば、元々は貴族だったから苗字はあったけれど、家から追い出された時に名乗ることを禁止されてしまってからは平民として暮らしている。
なお、見た目はどこにでもいる19歳の男だ。
しいて言うなら特徴は、浅黒い肌と高い身長位だと思う。
背はすくすく伸びて、なんと184センチ。
僕の育ったソシエ地方という所は、他の土地より大分小柄な体格をしていて、平均身長が他の所より10センチくらい低くて大体170センチくらいが平均なので、僕はかなりの大柄な方だ。
ただ、それはあくまでソシエ地方の中であって、外界に出たら僕は平均くらいでしかないという事に気づいたんだけどね。
クロス王国の成人男子は、180センチは優に超えているんだ。
僕の現在の仕事はクロス王国の王城内の馬丁だ。
この仕事はたまたま僕が財布をすられて泣いていたところを二人組の男性に助けられて、その一人がクロス王国の王様だった事から「可哀想」だという理由でお情けで貰ったものだったけれど、今ではとても誇りに思っている。
(ちなみに王様ともう一人の人はお忍びの友人同士らしい。王様は僕と同じくらいか少し大きい位の身長だったけれど、もう一人は僕が見上げるくらい大きい人だった。多分二メートル近いんじゃないだろうか)
僕は、貴族に生まれたものの、はっきりいって全くと言って良い程何もできない駄目な奴だった。
剣術も魔法もてんで才能がなくていつも落ちこぼれだったし、勉強は普通くらいには出来たけれど、文官になれるほどではない中途半端な成績しか取れなかったしね。
唯一の特技は動物に好かれやすい事だったけれど、何の役にも立たないと兄弟には笑われてしまった。
でも、両親はそれでも僕を可愛がってくれていた。
「動物に好かれるなんてココは優しい子だなぁ」と父様は頭を撫でてくれたし、母様も「ちょっとくらい不出来な方が可愛いのよ」と仕方なさそうに笑ってくれたんだ。
母様は口では不出来だと僕を言ってはいたけれど、僕が作った歪な木彫りの指輪を大切そうにしてくれていたのを知ってる。
けれどそんな二人も、僕が15歳の時に馬車の事故で死んでしまった事で僕の平穏な生活は終わりを告げた。
今まで兄弟は両親が居るからこそ僕を屋敷に置いていてくれたけれど、両親が死んでしまった以上、僕を追い出すことに反対する人はいなかった。
正確には本当は僕の味方も居たけれど、彼は使用人であり兄様たちには逆らえなかった。
それでも勇気を振り絞ろうとしてくれた人は居たけれど、僕は断った。
あまり裕福ではないソシエ地方の平民の人の働き口は少なくて、万が一仕事を辞めさせられてしまえば、次の働き口が見つかるという保証もないのだから。
そしてしばらくしてから「お前を養っても何の利益にもならない」と兄様たちから責められて、僕は屋敷を追い出されてしまった。
僅かな荷物と食料だけで放り出された僕は彷徨い歩き、冒頭の流れになって王様に拾われたわけだ。
正直、僕は運が悪い様でいて良い方なんだと思う。
だって、その後僕の人生は比較的穏やかで幸福だったのだから。
それでもやっぱりダサいとかでちょっとはいじめられてしまったけれど、クロス王国の王様の馬が少し気難しい馬で、今までは王様以外の言う事は聞かなかったのに、僕にだけは心を許してくれているのを見られてからはいじめもすっかりと落ち着いた。
ちなみにクロス国の王様はジュリアス様と言って、40代だけどとても若々しくて気さくな人だ。
僕はジュリアス様をとても尊敬している。
僕の事もたくさん気にかけてくれて、どんなに忙しくても七日に一度は僕の所に声をかけに遊びに来てくれていた。
そう、僕はこの城での生活がとても大切で、大好きだったんだ。
――でも、既にこの時、幸せが壊れる音はすぐそこまでやって来ていた。
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