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●本編(受視点)
はじまりの日②
『国王陛下が崩御されました』
その訃報が届いたのは、晴れの日が多いクロス王国には珍しい曇天の日。
王城内に集められた使用人たちに告げられたのは、優しくも凛々しい僕たちの王様が自害されたという知らせだった。
僕はその知らせを信じられない思いで聞いていた。
(だって、そんな事ありえない……)
「国王陛下は多忙を極めた結果、精神を病み、自害された」のだと説明を受けても僕にはとてもではないが納得はできなかった。
ジュリアス様が自殺なんてするとは思えない。
あの人は、とても強い人だ。
忙しかったのは事実だけれど、そんな事くらいで精神を病むような人では無いし、七日に一度はかならず会っている僕が、ジュリアス様の精神状態を見逃すわけがない。
まだ4年くらいしか知り合ってから経っていないけれど、ジュリアス様の事については、正直言ってお后様や王太子殿下等よりも理解していると自負している。
それに、何よりジュリアス様は昨日僕の所にやって来たばかりなのだ。
「お前に会いたがっている奴が居るから、今度私と城を抜け出そうか」
楽しそうに言ったジュリアス様の表情は、翌日に自殺をするような人には見えなかった。
でも、この城の人たちはその話を信じた。
いや、信じるしかなかったんだ。
王太子様やお后様が、ジュリアス様の事を疎ましく思っていたのを誰もが知っていたからだ。
王太子様はジュリアス様が十五歳の時に生まれた子供で、お后様は十歳も年上だった。
お后様は正直に言って高慢な人で、平民を見下しているような嫌な女性だったけれど、どうしても立場上ジュリアス様は婚姻を断れず彼女は正妃となった。
今思えば政治的な意味で彼女は王妃に選ばれたんだろうが、王妃様は若くて美しいジュリアス様に夢中だったらしい。
しかし、ジュリアス様はお后様を本当の意味では愛さなかった。
勿論、王妃としては扱ったけれど、女性としては見ていなかったのだ。
そうして王妃様はジュリアス様を恨むようになり、自身の子供にもジュリアス様の事を悪く言い続け、気づいたころには王城内で対立するようになった。
だからこの自殺は、もしかすると王妃様たちの手によるものではないかと僕は思っていた。
その訃報が届いたのは、晴れの日が多いクロス王国には珍しい曇天の日。
王城内に集められた使用人たちに告げられたのは、優しくも凛々しい僕たちの王様が自害されたという知らせだった。
僕はその知らせを信じられない思いで聞いていた。
(だって、そんな事ありえない……)
「国王陛下は多忙を極めた結果、精神を病み、自害された」のだと説明を受けても僕にはとてもではないが納得はできなかった。
ジュリアス様が自殺なんてするとは思えない。
あの人は、とても強い人だ。
忙しかったのは事実だけれど、そんな事くらいで精神を病むような人では無いし、七日に一度はかならず会っている僕が、ジュリアス様の精神状態を見逃すわけがない。
まだ4年くらいしか知り合ってから経っていないけれど、ジュリアス様の事については、正直言ってお后様や王太子殿下等よりも理解していると自負している。
それに、何よりジュリアス様は昨日僕の所にやって来たばかりなのだ。
「お前に会いたがっている奴が居るから、今度私と城を抜け出そうか」
楽しそうに言ったジュリアス様の表情は、翌日に自殺をするような人には見えなかった。
でも、この城の人たちはその話を信じた。
いや、信じるしかなかったんだ。
王太子様やお后様が、ジュリアス様の事を疎ましく思っていたのを誰もが知っていたからだ。
王太子様はジュリアス様が十五歳の時に生まれた子供で、お后様は十歳も年上だった。
お后様は正直に言って高慢な人で、平民を見下しているような嫌な女性だったけれど、どうしても立場上ジュリアス様は婚姻を断れず彼女は正妃となった。
今思えば政治的な意味で彼女は王妃に選ばれたんだろうが、王妃様は若くて美しいジュリアス様に夢中だったらしい。
しかし、ジュリアス様はお后様を本当の意味では愛さなかった。
勿論、王妃としては扱ったけれど、女性としては見ていなかったのだ。
そうして王妃様はジュリアス様を恨むようになり、自身の子供にもジュリアス様の事を悪く言い続け、気づいたころには王城内で対立するようになった。
だからこの自殺は、もしかすると王妃様たちの手によるものではないかと僕は思っていた。
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