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●本編(受視点)
いつのまにか外堀を埋められたけれど、ちょっと可愛いところがあるから心も絆されてしまいました①
最初に「奥様」と呼ばれたのは、テオドシウス様と同格である、双将軍のアシュリー様が屋敷に遊びに来た日の事だった。
彼の言い方は正確には「奥方」だったけれど、お祝いの品を持ってお屋敷へとやって来たのだ。
今日、テオドシウス様は城へ呼び出されており、帰りは夕方になると聞いていると一応は説明したのだけれど、アシュリー様はにっこりと笑いながら「テオドシウス様には内緒で来た」とお茶目な感じで言った。
間近で見たアシュリー様は、テオドシウス様とはまた違った美形の男性だなと言うのが最初の印象だった。
鮮やかな銀色の髪に青い瞳をしたアシュリー様は、テオドシウス様がどちらかと言えば目つきの鋭い強面の美丈夫なのに対して、柔らかく柔和な雰囲気のまるで御伽噺に出てくる王子様の様な外見をしている。
とは言っても、背は僕よりも十センチ以上は高くしっかりとした体格をしているし、クロス王国に轟いていた異名から印象通りの優男ではない事は当然ではあったが……。
「……奥方、ですか。テオドシウス様は結婚されていたんですか? 僕知らなかったです」
最初聞いた時は、「え、あの人結婚してたんだ!?」という驚きだった。
屋敷にやって来て既に一カ月経過しているのに、一度もお会いしていない。
屋敷にお世話になっているのに、奥様に挨拶も出来ていないなんてとんでもないと焦る僕に、アシュリー様はぎょっとした表情を浮かべて、僕を凝視していた。
「……アシュリー様?」
不思議そうに首を傾げた僕に、しばらく沈黙したアシュリー様は、片手で顔を覆い天井を見上げると大きなため息を吐いた。
「ああ、なるほど……。おかしいと思ったんだ。だから、私に会わせないはずだ。ああ、もうあの男は本当に……!」
「だ、大丈夫ですか?」
動揺している様子のアシュリー様に、僕は慌てた。
客人が体調を崩されたのであれば、大変である。
心配してかけよろうとした僕だったけれど、その行動を阻むように、そこに割って入った大きな声があった。
「アシュリー、貴様っ!!」
「……っ? テオドシウス様っ」
声のした方を見れば、入り口の扉を壊しそうな勢いで開けたテオドシウス様が、怒りの表情でこちらを睨みつけていた。
(え、まだお戻りになる時間じゃ無い筈なのに……!)
帰りは夕方だと言っていたが、まだ昼の時間である。
鬼の様な怖い形相に、僕は驚いて動きを止めてしまっていたけれど、ズカズカと僕の近くに寄ってきたテオドシウス様は僕を庇うような形でアシュリー様との間に入った。
「アシュリー、私はお前に勝手にこの屋敷に入る許可は出してはいないはずだが……? お前たちも何故こいつを入れた!」
怒鳴ったテオドシウス様は、冷たい目で使用人を睨みつけたけれど、それを見たアシュリー様が「落ち着いてくれ」と宥めるように言った。
彼の言い方は正確には「奥方」だったけれど、お祝いの品を持ってお屋敷へとやって来たのだ。
今日、テオドシウス様は城へ呼び出されており、帰りは夕方になると聞いていると一応は説明したのだけれど、アシュリー様はにっこりと笑いながら「テオドシウス様には内緒で来た」とお茶目な感じで言った。
間近で見たアシュリー様は、テオドシウス様とはまた違った美形の男性だなと言うのが最初の印象だった。
鮮やかな銀色の髪に青い瞳をしたアシュリー様は、テオドシウス様がどちらかと言えば目つきの鋭い強面の美丈夫なのに対して、柔らかく柔和な雰囲気のまるで御伽噺に出てくる王子様の様な外見をしている。
とは言っても、背は僕よりも十センチ以上は高くしっかりとした体格をしているし、クロス王国に轟いていた異名から印象通りの優男ではない事は当然ではあったが……。
「……奥方、ですか。テオドシウス様は結婚されていたんですか? 僕知らなかったです」
最初聞いた時は、「え、あの人結婚してたんだ!?」という驚きだった。
屋敷にやって来て既に一カ月経過しているのに、一度もお会いしていない。
屋敷にお世話になっているのに、奥様に挨拶も出来ていないなんてとんでもないと焦る僕に、アシュリー様はぎょっとした表情を浮かべて、僕を凝視していた。
「……アシュリー様?」
不思議そうに首を傾げた僕に、しばらく沈黙したアシュリー様は、片手で顔を覆い天井を見上げると大きなため息を吐いた。
「ああ、なるほど……。おかしいと思ったんだ。だから、私に会わせないはずだ。ああ、もうあの男は本当に……!」
「だ、大丈夫ですか?」
動揺している様子のアシュリー様に、僕は慌てた。
客人が体調を崩されたのであれば、大変である。
心配してかけよろうとした僕だったけれど、その行動を阻むように、そこに割って入った大きな声があった。
「アシュリー、貴様っ!!」
「……っ? テオドシウス様っ」
声のした方を見れば、入り口の扉を壊しそうな勢いで開けたテオドシウス様が、怒りの表情でこちらを睨みつけていた。
(え、まだお戻りになる時間じゃ無い筈なのに……!)
帰りは夕方だと言っていたが、まだ昼の時間である。
鬼の様な怖い形相に、僕は驚いて動きを止めてしまっていたけれど、ズカズカと僕の近くに寄ってきたテオドシウス様は僕を庇うような形でアシュリー様との間に入った。
「アシュリー、私はお前に勝手にこの屋敷に入る許可は出してはいないはずだが……? お前たちも何故こいつを入れた!」
怒鳴ったテオドシウス様は、冷たい目で使用人を睨みつけたけれど、それを見たアシュリー様が「落ち着いてくれ」と宥めるように言った。
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