馬丁の僕が敵国将軍のお嫁さんになって幸せになった話する?

宮沢ましゅまろ

文字の大きさ
13 / 44
●本編(受視点)

いつのまにか外堀を埋められたけれど、ちょっと可愛いところがあるから心も絆されてしまいました②

「待ってほしい。テオドシウス。その子たちを無理矢理押しのけて屋敷に入ったのは私だ。彼らには罪はない。罰を与えるなら、お前の留守を狙って押し入った私にだろう。」

「何をぬけぬけと……!」

「待て待て、本当に私が悪かった! ……それに、ココくんも怖がっているようだからやめないか?」

降参だと両手を上げながら、アシュリー様が言う。
テオドシウス様に対しても臆することなく話す様は、さすがの双将軍の貫録だ。

その言葉にテオドシウス様ははっとした様子で振り返り、僕に優しく微笑んでくれた。
しかし、先ほどの雰囲気が脳内から離れなくて、僕の笑顔はやや引きつってしまう。

「……ココ」

僕が怯えているのを見て、テオドシウス様は傷ついたように顔を歪ませてしまう。

「すまなかった……」

「あ、いえ僕も……っ、あ」

悲しんでいる姿を見たくなくて僕が慌てて近寄ると、何とアシュリー様が居るにも関わらず、そのままそっと抱きこまれてしまった。

「大丈夫ですか? テオドシウス様」

「……ああ、こうしていれば、じきに落ち着く」

僕が出来る限り優しい口調で言うと、テオドシウス様どこかほっとした様子で僕を胸元に更に強く抱きこむ。

人前で抱きしめられるのはまだ少し抵抗はあったけれど、ここはテオドシウス様のお屋敷なのだから、彼の望みは出来る限り受け入れたいと思っていた。

アシュリー様はテオドシウス様とかなり仲が良いと聞いていたから、少しくらいの無礼は大丈夫な筈だ。

(それに、情緒不安定な時はこうすると、テオドシウス様も落ち着くというのはここ一カ月の間でよく分かっていたし、これくらいは僕でもしてあげられるから、やってあげたいんだよなぁ)

実は、一緒に過ごす内に、僕はテオドシウス様が大好きになっていたので、離れてしまうのがちょっと嫌なんだ。

お仕事に出かけていくだけでも寂しく感じるのは重症だとは思うんだけどね。

(僕の兄は、僕に冷たかったけれど、こんなお兄さんがいたらよかったのになぁ)

本当に心からそう感じた。

出来ればこのまま使用人として雇ってもらえないかなあと思っているくらいなんだけど、いつ言い出そうかと悩んでいる。

「……両想いでは、あるの、か? いや、だがさっきは……」

そんな僕たちの視界の端で、僕たちの姿を見ていたアシュリー様が考えるような仕草で黙り込んだ後、何かぶつぶつと言っているのが見えて、僕はテオドシウス様の腕の中で首を傾げた。

小さな呟きは何を言っているのか分からなかったけれど、その日は結局、アシュリー様はテオドシウス様と共に屋敷の外に出かけて行き、朝方になってからテオドシウス様だけでお屋敷に戻ってこられたようだ。

翌朝の朝食の際に「昨日は楽しかったですか?」と僕は聞いたのだが、テオドシウス様の表情は冴えなかった。

ちなみに結婚はしていないそうだ。
感想 7

あなたにおすすめの小説

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って? いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

僕に双子の義兄が出来まして

サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。 そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。 ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。 …仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。 え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科 空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する 高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体 それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった 至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する 意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク” 消える教師 山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。