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1章 怪異・不可思議
62「アメ細工」
しおりを挟む前話61「噛む」で話を伺ったテキ屋さんから。
別に本職ではなく、仕事は普段土木関連に従事しており、
テキ屋になるのは地元の縁日の時期だけらしい。
「他から流れてくる人がほとんどだ。
そういうのは組合があって、屋台とか
火を使わない道具とかは、各自治体が
管理・保管しているって聞いたな」
そうして各自治体から必要な時だけ、
場所や道具を借りるのだという。
「最初は、そういう流れの人たちの手伝いから
入ったんだよ」
だから別にテキ屋も、お面が専門というわけではない。
その時その時で、クジ・金魚すくい・鉄砲・食べ物系も
何でもやってきた。
「ある時、アメ細工の屋台を手伝っていた事が
あったけど」
その屋台の主が所用で離れてしまい、その間の店番を
頼まれた。
もう人通りもまばらになり、そろそろ終了という
時刻だったので忙しくは無かったが、そこへ
小さな客が現れた。
「兄と妹かな。
今時珍しく、2人とも浴衣姿でそれがよく
似合ってた。
10才と4、5才くらいに見えたが」
兄と思われる方が、「ちょうだい」と言ってきた。
「お金はあるのかい?」
それには黙って答えず、ただ一番上に飾ってある
アメ細工を指差した。
「それがよりによって一番高価いヤツでね。
まぁ高価いと言っても500円くらいだったから、
後で 立て替えてやってもいいとは思ったんだけど」
それ以前に、上の段のアメ細工は鶴や龍を
かたどったもので、目の前の兄妹が持つには
どうにも不釣合いに思えた。
「んー、こっちにしないか?」
イルカとウサギ型の安いアメ細工を渡すと、
兄の方は不機嫌そうな顔をしたが、対照的に
妹と思われる女の子の顔が笑顔になった。
「……今年は、これで」
当たり前のように受け取ると、その兄妹は
アメ細工をそれぞれ片手に去っていった。
“ここ(アメ細工)の知り合いかな?”
マズイ事をしたかな、そう思っていると
屋台の主が帰ってきた。
「あちゃー、弱ったな。
今回は俺の店に来たのか。
言う通り渡してくれりゃ良かったのに」
やっぱり知り合い? と聞くと、バツが悪そうな
顔をして、はっきりと答えない。
店をたたんで、打ち上げをして帰ろうかと言う時、
忠告された。
「帰りに気をつけてくれ。
多分、そんなに悪さはしないと思うが」
奇妙に思いながら家への帰り道を歩いていると、
何かが胸元に張り付いた。
「足長バチ。それが胸の袂から中に入ってきやがって」
パニックになって、腕を振り回したり胸元を叩いたり
したが、これといった痛みは無い。
観念して、とにかく家まで戻る事にした。
家につくと服を脱ぎ、上半身裸になった。
見ると、胸元に5ミリほどの羽虫が胸の素肌に
喰らいついたまま死んでいるのを発見。
何も感じなかったが、離す時に少しだけ
チクッとしたという。
「『一方が気に入ったからだろうな。
それだけで済んだのは』
そう後で言われたよ」
あれは何だ? と聞くと、
・こちらも良くわからないが、ぞんざいに扱っては
ならない決まり。前々からそう言われている。
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