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1章 怪異・不可思議
70「廃屋」
しおりを挟む「山はね、いろんなものを見ますよ」
そう語りだしたのは、あるゼネコンの
下請け会社に勤め、つい数年前に定年退職した
男性だった。
彼は、主に測量を担当していたという。
工事が決まると、規模や揃える人員を決めるために、
仲間と一緒にそこへ向かう。
ある時、依頼を受けてかなりの山奥まで入った事が
あった。
道といえば獣道としか言えないような道しかなく、
明らかにもう十年以上は人が出入りしていない
場所だったという。
目的の地点まであと少しという時、視界に
入ってきたものがあった。
それは、漆喰の壁が一枚、ポツンと木々が開けた
場所に立っていた。
「朽ちた廃屋とかは珍しくないんだけど、
ああいうのは初めて見ましたね」
近付いて見ると、壁の近くに腐って根元から
折れた柱や、家の基礎となる土台やらが確認
出来た。
ここに人が住んでいた建物があったのは
確かな事だったが―――
「でもね、普通建物っていうのは何でもそうだけど、
たいてい柱以外から崩れるんです。
柱が無くなれば、他は建っていられません。
いわば骨が無くなったという事ですから」
だから、柱が朽ちているにも関わらず、
壁が残っているのを、仲間と一緒に不思議そうに
見ていたという。
仕事もあるので、足早にそこを立ち去り、一通り
測量を終えると元来た道を引き返した。
途中、そこも通ったが、その時には壁は
きれいさっぱりと消えていた。
「仲間も、『あれ? あそこに壁あったよな?』と
言ってましたから、記憶違いではないと思います」
ふぅ、と一息入れると、彼はこちらに視線を戻し、
「あれは、あれからどこかへ行って
しまったんですかね?
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いたんですかねえ?」
そう、イタズラっぽく目じりを曲げた。
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