【完結】百怪

アンミン

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1章 怪異・不可思議

80「唇」

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聞いた話。


知人が小学生の頃、父方の実家に里帰りした時の事。

家族で山に入り、ふと偶然に荒れ果てた神社を

見つけてしまった。


物珍しさに探索する彼に、両親、特に父親は

何も触るな、と注意した。

彼は妙な日本人形や文字の入った木の札等を

見つけたが、父親の言いつけを守りそれらには手を

出さなかったという。


そこにいたのは30分くらいだったと当人は

記憶しているが、帰ってからが大変だった。

夜、就寝前に唇が腫れ上がってしまい、しかも

それがすごくかゆかったそうだ。




彼は祖母に、昼間神社跡に行った事などを話した。

両親の話との食い違いがあったものの、祖母は

“よし、任せとけ”

と言ってそのまま外へ出て行ってしまった。


しばらくするとウソのように唇の腫れは収まり、

同時に祖母が帰ってきた。

“今日はもう寝ろ”と言われ、かゆみから解放された

彼は、そのまま眠りについたという。


翌朝、祖母にどこに行ったのか聞くと、

例の場所に唐辛子をまぶした生肉と、水を入れた

バケツを持っていったらしい。

生肉を放り投げてしばらく待つと、ひぃひぃ、と

泣き声が聞こえてきた。




「家の孫に悪さしたのはどこのどいつだ?

 治せばすぐ水をやるぞ」




暗闇に向かって話しかけると、闇の向こうから

声が返ってきた。




“悪かった”

“怒るのは当然じゃ”

“カンニンしてくれ”




そんな言葉が聞こえ、祖母はバケツを置いて

帰ってきたのだという。




「ただ、不思議なのは、両親は神社跡には

 行ってないって言うんですよ。

 昔の茶屋の跡に行っただけ、それも5分くらいしか

 いなかったって」




祖母も、あの山には神社などなかったと言っていた。

一体あれは何だったのかと聞くと、




「小さな子供が珍しいから、ついイタズラしに

 出てきたんだろうな、みたいな事を言ってました」




何が? と祖母に聞くと、


“イタチかムジナだなあ”


と答えたという。
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