【完結】百怪

アンミン

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2章 闇語り

31「セット」

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・愛用の品について。

――――――――――――――――――――――――

お寺で修行している知り合いの話。

よく形見の品や、生前愛着していた道具などに
不思議な現象や不可解な出来事があるという話を
聞くが―――
実際にはどんな意味、どのような意図があるの
だろうかと、彼はその解釈を同僚と議論していた。

師匠もいたので話題に入ってもらい、
意見を言ってもらうと、

「身代わり、もしくは関連付けというのが
 あるんじゃないか」

師いわく、呪いに身近な道具や髪の毛とかを
使うのはポピュラーな話だし、段階を踏む、
というのを聞いた事があるという。

「段階って何でしょうか?」

「イケニエとか、何らかの事情で人を選ぶ際、
 まずその人間を確保する。

 次の段階で、その人間が愛用している物を
 奪う、用意するというのがあるらしい」

身柄を確保した後に―――
例えば男の子ならば玩具、女の子ならば
クシや髪飾りを確保するのだという。

「同時に持っていった方が早くないですか?」

「さらわれる場所ってたいてい外だからな。
 愛用の物とかは家にあるだろ。

 あと何かこう、愛用の物とセットで
 ようやく安定なり、もしくは何らかの
 保険がかけられるんだろう」

そして、その対抗手段として―――
さらわれた人間の愛用の物を汚したり、
壊したりして拒絶するのだという。

「それで戻ってくるんですかね?」

「言葉の無い交渉のようなモンだからな。
 『一かけらだってくれてやるものか』
 という意味があるのかも知れん。

 ……ま、ほとんどは人さらいに売って、
 せめて愛用の物を後で送ったりしていたん
 だろうけど」

それを聞いた彼と同僚たちは、うなりながら
黙り込んだ。

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