【完結】百怪

アンミン

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3章 怪異にまつわる雑談・雑考

38「指」

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・欠けたものについて

――――――――――――――――――――――――

お寺で修行している知り合いの話。

昔はTVで、よく心霊写真特集とかやっていた
ものだが―――
『何か』が写っている、とは逆に、写っていない
ものもカテゴリーの一つとしてあった。

「足が消えているとか、手が無くなって
 いるとか……
 中には首が無い、なんてものもありましたね」

そしてたいていその写真は、手や足がケガする、
または霊が隠しているなどの注釈がつく。

彼は同僚と話し合うというより、半ば思い出話の
ように語り合っていたが、そこへ師が入ってきた。

話の流れで、彼らは師匠にも心霊写真について
聞いてみる事にしたが、

「加工し放題だしなあ、あんなの。
 それに霊が自分の存在を知って欲しいと
 出てくるのなら……
 今頃どの写真にも写っているだろうよ」

それもそうか、と皆がうなずいていると、

「ただ―――
 毛色の違う写真は見た事がある」

ある時、相談という事で持ち込まれたものだが、
『何も言わずに見てくれ』と言われたという。

そういう場合、たいていはいわくつきというか
事情が話せないもので……
その写真には人の良さそうな中年女性が、
被写体として笑っていたのだが、

「指が無かったんだよ。
 全部じゃねぇが、3本しか無かった」

相談主は何も言わず、ただ見てくれとしか
言わなかったのだが―――

「人の指は、2本の美徳と3本の悪徳で
 合計5本になっている、という話がある。

 だから物の怪や妖怪といった人外は、
 指が少なく書かれている事が多い……
 そんな事を彼に話したと思う」

それを聞いた相談主―――
こちらも人の良さそうな中年男性であったが、
彼は納得したように深々と頭を下げたという。

「何があったのかは知らんが、人間の内面なんて
 家族にすらわからない事もあるからな」

そういうのは本人が『いなくなった後』、
いろいろと出て来る場合があるからな―――
そう言う師匠に、彼と同僚たちは沈黙したという。

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