【完結】女性冒険者パーティーの愛玩少年記～ナースのお姉さんたちと一緒の世界に転生したボクは、 病院ごと彼女たちの癒し要員となる～

31・この世界の事情０２

「あ、あうぅう……
　死ぬ、死んじゃうですの……
　もう死んでもいいですの……」

葵あおいお姉ちゃんたちに介抱される
シーマさんに、ボクは思わず頭を下げる。

「ごっ、ごめんなさい！！
　つ、つい興奮し過ぎちゃって」

お姉ちゃんたちの中にはいないタイプ
だったのと、

普段、１対１でする事は無かったので、
何かスイッチが入ってしまったように、
やり過ぎてしまったのだ。

まるで自分の体じゃないかのように、
勝手に動いてしまって―――

「そんなに興奮したのか？」

葵お姉ちゃんがボクに振り向く。

「う、うん……
　だっていつもはその、お姉ちゃんたちが
　リードしてくれるっていうか―――」

そう、常に複数相手という事もあったけど、
大体はお姉ちゃんたちが、年上らしく優しく
教えてくれるような感じで、

シーマさん相手のように、ボクが主導権を
握れる事はあまり無かったので……
それでちょっと暴走しちゃったのだ。

「あー……
　まあ、何となくわかるのである」

「わたくしたちとはまた違った感じで、
　シチュも刺激になったでしょうね～」

理奈お姉ちゃんと詩音お姉ちゃんが、
微妙な表情となる。

まあ確かに、葵お姉ちゃんたちとはそれこそ
前世からの仲だから、シーマさんとするのは
新鮮だったという事もある。

あと同時に、この世界の事情とやらも
絡んでいて―――

村で、あちこちに出かけてくる同性の友達や
お兄ちゃん、弟分を『うらやましい』と
思った事はあるけれど、

当人たちに言わせると、あまり良いものでは
無かったらしい。

たいてい返ってくる答えは、『怖かった』
だって。

冷静に考えると、そういう年齢に達した
途端に……
『レンタル』が開始されるわけだから、

当然、相手にするのは年上が多い、という
事になる。

そしてその体格差は歴然で、下手をすると
自分より倍くらいの大人としなければ
ならない。

力づくともなれば、絶対に勝てない身長・
体重差の人を相手にするのだ。

例え女性でも―――
それは怖いと思う。

それに比べ、ボクの相手は幼い頃から
お世話してくれていたお姉ちゃんたち。

そしてシーマさんも当初はケガ人という
扱いで来ていたし、

大人しかったのと、いざとなれば他の
お姉ちゃんたちが助けに来てくれる
環境という事もあって……
ついヤリ過ぎてしまったのである。

「ご、ごめんなさい！
　今度はちゃんと優しくしますからっ」

ボクはブンブンと彼女に向かって
頭を下げる。

だけど返ってきた答えは、

「えぇっ！？

　あ、いえ、その。
　ワタシも経験豊富ってわけじゃありません
　ですの、でも―――

　べ、別段イヤじゃなかったっていいますか、
　その……」

「ほへ？」

えーと？
でもあれだけ嫌がっていたのを、
無理やり続けてしまったような。

すると葵お姉ちゃんがコホンと
咳払いして、

「ま、まぁなんだ。
　男と女の『イヤ』というのは、
　ちょっと違うんだよ」

「そうなの！？」

そんなの、お母さんだって教えて
くれなかったけど。

「いや、普段と『その時』によって
　違うというのもあるのである」

「これはちょっと、数をこなさないと
　わからないかな～？」

お姉ちゃんたちがもじもじと体を
くねらせながら話す。

「えっと、じゃあ―――
　お姉ちゃんたち……も？」

「はぴゅっ！？」
「うひょおっ！？
「どっせいっ！！」

ボクの質問に、今まで聞いた事の
ないような声を上げ、

「とと、とにかくシーマの容態を
　詳しく診るから！」

「いったんみっちゃんは、
　外に出るのである！」

「そ、そうですわ！
　それと何か適当に、お茶とお菓子を
　みつくろって欲しいですわ～！」

そしてボクはお姉ちゃんたちに押し切られ、
シーマさんの入院部屋の扉は閉じられた。