【完結】女性冒険者パーティーの愛玩少年記~ナースのお姉さんたちと一緒の世界に転生したボクは、 病院ごと彼女たちの癒し要員となる~

アンミン

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68・生まれ故郷02

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「な、な……!
 いつの間にこのようなものが!?」

村長である老女が、その透明な扉を見て
驚きの声を上げる。

「ええと、まずお2人とも中へ。
 許可済みですから、どうぞ」

僕は村長と、もう1人の女性に施設内へ
入る事を促す。

「は、はい」

そうして、ボクとあおいお姉ちゃんたち―――
『クイーン・ビー』のメンバーは、
村の2人と一緒に分院内へと
足を踏み入れた。



「こ、ここは……」

「長生きはするものだのう。
 このような景色を拝めるなんて」

完全に異世界の施設の設備を前にして、
これまでただの村人であっただろう2人は、
その光景に戸惑う。

「これが、みっちゃんのスキルなんです。

 じゃあ、エリザさん」

そう言って葵お姉ちゃんが彼女の肩を
抱いて、ボクの前に差し出すように
誘導する。

同時に、ボクもガマン出来なくなり、
ずっと顔を隠していたフードを脱いで、

「えっ!?」

「お、お前……
 ミルトレッドかい!?」

エリザ、つまりボクの母親と村長さんが、
ボクの顔を見て驚く。

「おか……」

ボクがお母さん、と呼ぶ前に―――
ボクはそのまま彼女の胸に抱かれ、

「あああ……!
 わたくしの、わたくしの子……!

 帰って来たのね、ミルトレッド……!
 もう離さないわ……!」

「お母さん……っ!!」

ボクはそのままお母さんの胸の中で、
しばらく泣き続けた。



「ふぅむ……
 ミルトレッドは異世界からの転生者で
 あったと」

「信じがたい話ではありますけど―――
 現に、この建物を見た後では」

レストランに場所を移し、村長とお母さんに
ボクたちから経緯を説明する。

ボクの前世が地球であった事。
そこで今の年齢と同じくらいの頃に
死んだ事。

献上品として移送される際に、魔物の
襲撃にあった事。
そこを『クイーン・ビー』に助けられた事。

そして彼女たちは、かつて自分を看護して
くれた、病院のナースたちだった事。

さらに領主であるヴァルマ様は、ボクの
主治医だった事など……

「本来なら、もっと早く報せてあげた
 かったのですが―――

 まさか領主様まで前世の関係者とは
 知らなくて」

「それに、いろいろと秘密にしなければ
 ならない事が多過ぎたッス。

 下手をすれば領主様どころか、国が
 召し上げてしまうかも知れない能力
 ッスからねえ」

葵お姉ちゃんと加奈お姉ちゃんの言葉に、
村長さんとお母さんはうなずく。

「ふむ、では……
 私どもも、この秘密を守らなければ
 ならぬ、という事ですね?」

村長さんが念を押すように聞いてくる。

「そうであるな。
 出来れば村まるごと、この秘密は
 守って欲しいのである」

「それに、この施設に入るのは許可制
 ですから~、

 いざという時、ここに入れば魔物や
 盗賊の襲撃からも守る事が出来るの
 ですわ~」

続いて、理奈お姉ちゃんと詩音お姉ちゃんの
説明にお母さんが口を開き、

「ではそれが、ヴァルマ様のお詫びという
 事でしょうか」

「ウン。そう受け取ってもいいと思う。

 ボクももっと早くお母さんやお父さんに
 この事を報せたかったんだけど―――

 スキルptポイントが溜まるまで、時間が
 かかったんだ。

 でもこの施設さえあれば、村のみんなを
 安全な場所まで避難させられるんだよ!」

ボクがそう力を込めて話すと、お母さんは
ボクの額を指先でつつき、

「落ち着いて話しなさい。
 会えてうれしいのはわたくしも同じ
 だから……

 安全な場所ってここでしょう?
 それとも、ここがどこかとつながってでも
 いるの?」

あ、そこまではまだ説明していなかったか。
でもこれは見てもらった方が早いしなあ。

「う~ん……
 じゃあ村長さん、村のみんなを集めて
 もらえますか?」

ボクがそう提案すると、

「あー、『ゲート』か。
 でもそりゃ、夜になってからの方が
 いいかもね」

「この村限定って事にするのなら、
 そっちの方がいいッスよ」

「昼間だと、村の部外者が来たりする
 可能性もあるのである」

「確かに、その方が良さそうですわ~」

そう話すお姉ちゃんたちとは対照的に、
村長さんとお母さんは顔を見合わせた。

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