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163・マオル大陸での警戒01
しおりを挟む「……何か、探りを入れて来ている者が
いる、と……?」
『はい。
とはいえ、マオル大陸の主だった
列強は、水面下でヴァルマ様の支配下に
入ったはず。
それで、ちょっと意図を図りかねて
おります』
聖赤山病院のナースステーションで―――
ボクは武田先生や葵お姉ちゃんたちと
一緒に、
モニター越しにガド帝国女帝・
グレンダ様から、報告を受けていた。
「……ローレル王国でそのような動きは、
聞いた事はありませんね……
だとするとガド帝国一国を狙って……?」
『いえ、そこまでは。
もしかしたら他の列強も、何者かに
調べられているのかもしれません。
メルリアたちから、不審な動きを
している者がいると報告が上がって
来ましたので、取り急ぎヴァルマ様に
お報せした次第』
そこでボクは首を傾げて、
「マオル大陸は平和になったんですよね?
どこかがそれで不満を持ったの
でしょうか?」
実際、バクシア獣王国との和平も、
各種族の長が納得せず、それで交渉が
長引いたと聞いていたので―――
そう質問すると、
モニターの向こうのグレンダ様が、
ブンブンとすごい速さで首を左右に振り、
『少なくとも支配者層、上層部に限って
それは無いと思うわ。
緊急時の避難に食料……
さらに医療を始めとする最新技術。
そしてみっちゃん様の不興を買うなんて、
絶ッッッッッ対にあり得ないッ!!』
そう握りこぶしで力説するグレンダ様に、
ボクはやや引くも、
「それに今のこの世界で、みっちゃんに
気に入られるというのは、
女として最高の勝ち組になるって
事だからねえ」
「そうなの?」
葵お姉ちゃんに思わず聞き返すと、
「みっちゃんはやっぱり、自分の価値を
わかってなさ過ぎッス」
「武田先生の存在も少なくないので
あるが、施設自体はみっちゃんが
いなければ成り立たないのである」
「それに武田先生も~、みっちゃんが
嫌っていう人には協力しませんわ~。
もしわたくしたちが大嫌い!
っていう人がいたら~、みっちゃんは
その人のために動きたいと思います~?」
詩音お姉ちゃんの言葉に、ボクは
フルフルと首を左右に振る。
するとお姉ちゃんたちはみんなで、
ボクを囲むようにして、
「あ~もうっ!
可愛いなぁ!!」
「これが天然ッス!」
「抗えるわけが無いのである」
「無敵過ぎますわ~♪」
と、口々に撫でたり抱きしめて来て―――
お姉ちゃんたちの香りの中に顔をうずめる。
『そうですよ!
あらゆる面でみっちゃん様の事を知って
いれば、逆らうなんて考えられません!
ああ、そっち行って混ざりたい……♪』
「……ともかく、ガド帝国では引き続き
警戒をお願いします……
ローレル王国始め諸国には、わらわから
注意を促しましょう……」
『よろしくお願いいたします。
こちらからも、何かわかったらすぐに
ご連絡を。
それでは―――』
と、どうやら武田先生は話し合いが終わった
みたいで、モニターから顔を上げると、
「うらぁ!!
何わらわを差し置いていちゃついて
いるんじゃー!!
混ぜやがれこんチクショー!!」
と、ダイブするかのように先生が
飛び掛かって来て……
ボクは5人に揉みくちゃにされる
事となった。
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