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37・お散歩へGO!
しおりを挟む「みんなお水持った?
トイレは行った?
ちゃんとリナとパトラさんとコマチさんの
言う事、聞くんだよ?
あと具合が悪くなったらすぐ言って―――」
翌日、朝食を取ってしばらくした後……
俺はあの岩山の洞窟、ダンジョンの入り口部分で、
散歩に行く子供たちに注意していた。
「主よ、心配し過ぎぞ」
「そこまで行くと、マスターやお兄ちゃんを
通り越して、お母さんですよ」
魔狐と銀猫が、呆れたような
声を出す。
しかし心配なものは心配なのだ。
「しかし主は―――
よくダンジョンの外に出て来られるのう」
「?? ダンジョン管理者って、外には
出られないものなのか?」
魔狐の問いに聞き返す。
「フツーは出られないんですよ。
まあマスターは召喚された経緯が経緯だから、
フツーじゃないかも知れませんが」
銀猫の説明に思わず自分の手を見つめる。
そうなるとつくづく、俺はレアケースなんだな。
「じゃあお留守番お願いしますね。
ア・ナ・タ♪」
リナがいたずらっぽく笑いながら、一緒に
洞窟の外へ出ていく。
俺はそれを見送ると、ダンジョンの中へと
戻って行った。
「さてと」
ホテルのロビーエリアで、俺は両腕を組んで
考える。
先日、レベルが上がった事で、『再現』スキルも
05に上がり、ゲーセン以外の休憩場所―――
いわゆるホテル部分に、新たに追加出来る施設が
増えたのだ。それが、
・コンビニ
・ドラッグストア
・コスプレ喫茶
地球では、俺のホテルに元あった施設で……
召喚時にはすでに撤退していたが、
この3つの施設が『再現』出来るように
なったのである。
ただ『再現』にも管理ptは消費する。
どの施設も3,000くらいかかるらしいので、
まずは一つだけに絞る。
それで昨夜、お風呂から出た後―――
どの施設を『再現』させるかで、みんなで
話し合った。
コンビニは汎用性が高い。
文房具も豊富で、何より勉強している子供たちの
助けになる。
また、料理のレバートリーも増え、新鮮な果物や
野菜を子供たちに食べさせる事が出来る。
野菜ジュースやフルーツジュースで摂取している
現状は、お世辞にも健康的とは言い難いからな。
ドラッグストアは……
大きなところなら、コンビニほどではないにしろ
パンや弁当を置いている。
また今後の事を考えると、各種薬が手に入るのは
魅力的だ。
さらに化粧品も充実している。
コスプレ喫茶は今のところ除外。
物資が衣装くらいしか無いし……
そしてコンビニかドラッグストアか、どちらを
追加するか、というところまでまとまった。
ただそれから先は―――
子供たちは『ヒロトお兄ちゃんにお任せ』で、
リナ・パトラさん・コマチさんにも改めて
相談したのだが、
コンビニ=料理か、ドラッグストア=化粧品かで
悩みに悩まれ……
結局は俺に一任されたのである。
「まずはコンビニから『再現』するか。
場所は……万が一を考えて防火扉の向こう、
団体部屋の近くに」
――――――――――――――――――――――
『機能・コンビニを再現しますか?』
管理ptを3,000消費します。
→はい
いいえ
――――――――――――――――――――――
俺は『はい』を選択し―――
まずはコンビニを施設内へ復活させた。
「久しぶりの外ですけど……
結構ジメジメしますね」
薄黄色のセミロングの少女が、片手で汗を拭い、
「主のダンジョン―――
『えあこん』とやらで、建物内は一定の
温度に保っておると言っていたが」
「外に出ると、改めてあの施設の快適さというか、
有難みがわかりますよ」
数本のシッポと狐耳を持つパトラ、そして
猫耳と一本のシッポを持つコマチが、リナと
語り合う。
とはいえ、密着しているわけではなく―――
パトラが一番前、コマチが最後方、リナが
中間の辺りにいて、子供たちの集団を
引率していた。
「パトラお姉ちゃん、もう戻ろー」
「疲れたか?
そうじゃのう、そろそろ頃合いか」
服の端を引っ張って来る女の子に、彼女は
目を細めながら答える。
「そうですね。
ヒロトお兄ちゃんも外出するのは久々なので、
無理はしないようにって言ってましたし」
「じゃー全員回れー右っ!
……ン?」
コマチが鼻をヒクヒクとさせ、空を見上げる。
「どうしたのじゃ?」
「……気配がする。
人間が複数……?」
その言葉に、子供たちが互いに身を寄せ合って
固まる。
「確かに気配があるのう。
コマチ、お主は奥方と子供たちを守って、
ダンジョンまで戻ってくれ。
わらわが確認してくる」
そう言うが早いか、パトラの姿は瞬時に
茂みの中へと消え、
「パトラさん!」
「リナ様、ここは彼女に任せてください。
ワタクシたちはいったんダンジョンまで
戻りましょう」
こうしてパトラ以外の一団は、ダンジョンまで
引き返す事になった。
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