【完結】ゲーセンダンジョン繁盛記 ~魔王に異世界へ誘われ王国に横取りされ、 そこで捨てられた俺は地下帝国を建設する~

アンミン

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76・エリックの心配

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「ここか……?

 こんなところにあるにしちゃ、小奇麗こぎれいだな」

クラーク・ミントの二人組冒険者に案内させ、
エリックは店構えを見てつぶやく。

「ええと、ここにいるんですけど」

「お客さんがいるかも~……」

戦士風の男とシーフのような女性は、なおも
店に入れる事に消極的だったが、

「つか繁盛しているようには見えねぇがなあ。
 とにかく、お邪魔するぜ」

ブラウンの短髪にボサボサのヒゲを生やした
男は、無造作に宿屋の扉を開けた。



「いらっしゃいませ」

アラフォーの中年男性はともかく―――
クラークさんとミントさんは俺を見て驚きの
表情を作る。

もちろん、護衛としてコマチを側に連れて
いるが、

「んん?
 ローラさんって女性がいると聞いたんだが。
 坊やは息子さんかい?」

「いえ、俺は実質上のこの店のオーナーです。
 あなたがクラークさんとミントさんが
 お世話になっていた、宿屋の人ですか?」

???と頭にハテナマークを出す彼を前に、
メイド姿の魔物が微笑む。

調子が狂うのか、彼は頭をかきながら、

「俺は―――
 同じこのエンテの街で宿屋を営んでいる
 エリックって者だ。

 美味いパンの作り方を教えてもらえると
 聞いて来たんだが」

「わかりました。
 ではエリックさん、こちらへお越し
 ください」

そして俺はそのまま―――
まず客席に座ってもらう事にした。



「オーナーと言っていたが……
 君がその年で?
 どこぞの貴族か豪商のお坊ちゃんかい?」

「まあ、それはおいおい―――
 食べながら話しましょう。

 あ、来ましたよ」

「食べる?」

俺、コマチにエリックさん、クラークさん、
ミントさんが丸テーブルの席に着き……
ものの1分もしないうちに、

「あ、ヒロトお兄ちゃん。
 ここでいい?」

「ありがとう、リナ、グレンも。
 ここに置いていってくれ」

二人がメイドワゴンで運んで来たのは―――
軽食、スナック系でまとめられ、

ハンバーガー、ホットドッグ、フライドポテト、
ハッシュポテト、フランクフルトにコロッケなどが
飲み物と一緒にテーブルの上に置かれた。

「ほう、こいつは……
 この2人が俺の店に持ってきたパンも
 すごかったが」

「じゃあ、取り敢えず食べましょうか」

そこで新しく来た二人も交え軽く食べながら―――
歓談する事になった。



「なるほど……
 エリックさんは元冒険者で、引退後
 宿屋を始められたと」

「食い物に関しちゃ、他の冒険者よりも少し
 うるさかったからな。
 それが高じて料理も出す宿屋にしたんだ。

 しかしこれほどの物は食った事が無かった。
 同じ街に住んでいながら、不覚だぜ」

一通り食べ終わった頃、みんな一息つき―――
和やかな雰囲気になる。

「でも、こちらから聞いてばかりですが……
 エリックさん、俺に聞く事は無いんですか?」

ほとんどこっちから聞くだけで、エリックさんも
質問するにはするのだが、

それはどちらかというと、一緒に来た男女の
事についてであり、料理や俺との関係については
一切触れなかった。

すると彼は飲み物を口に付けた後、
クラークさんとミントさんに顔を向け、

「俺が心配だったのはコイツらの事だ。

 あのパン―――
 ものすごく上等な小麦や砂糖が使われていた。

 同じ種類のパンもあったが、ほとんど同じ形、
 大きさ、焼き上がり……
 中に入っていた甘い物も俺にゃわからねぇが、
 ものすごく高価って事だけはわかる」

その指摘に、俺の隣りに座っていたリナ、
反対側に座るグレンも納得というようにうなずく。

「だからまあ……
 コイツらに悪事に手を出す度胸はねぇだろうが、
 何か妙な事に巻き込まれていないかと思ってな。

 それで直接確かめに来たんだ」

「それで―――
 どうでしょうか?」

俺の問いに、彼はふと視線を俺の両隣りに移し、

「子供の顔を見りゃわかるよ。
 少なくとも悪人にゃ見えねえ。

 俺にも息子と娘がいるんだ。
 だからわかる。

 で、俺に何をさせようってんだ?」

「んー、ですから……
 クラークさんとミントさんがですね、今まで
 お世話になった恩返しについて相談されまして。

 で、ここの料理をエリックさんに教えたら?
 と俺が提案しました。

 教えるのはローラさんで、ここの宿屋の
 女将さんですけど、どうでしょうか?」

俺の言葉に、彼はポカンとして口を開けるが、

「本当に料理を教えるために?
 いや、是非ともお願いしたいところだが」

「まあこちらからもお願いする事がありますが、
 説明がちょっと。
 それは直接、料理を教えてもらえればわかると
 思いますので」

「?? おう」

こうして俺とみんなは―――
エリックさんに料理を教えてもらう『場所』へ、
移動する事となった。

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