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154・統一規格
しおりを挟む「よし、こんなものかな」
「お疲れ様、ヒロトお兄ちゃん」
「お疲れ、ヒロト」
クレイオス王国王都・ネーヴェ―――
その地下に作ったダンジョン、
【女性騎士団施設地下】
【聖女様の部屋地下】
そのカスタマイズを終えた俺は、妻二人から
労いの言葉をかけられていた。
「ご苦労様です、ヒロト殿。
しかし、非常階段や『えれべぇたぁ』の増設、
地下通路の拡張はわかりますが……」
現女性騎士団団長・ルランさんが疑問の声を
あげる。その視線の先は、
「ゲーム機と言う魔導具ですね」
「アレがキモだからのう」
リナとメルダもそちらへ目をやる。
今回、各所を避難先に改造するにあたり、
どこのダンジョンにも、地下一階にあたる
フロアにはそれを設置した。
アクションゲーム、シューティングゲーム、
パズルゲームに対戦格闘ゲーム……
また巨大な筐体としてガンシューティング、
レーシングを対戦用に二台ずつ、
人が乗り込む搭乗型の物も用意した。
「何と言いますか……
増える分には文句などありませんが。
どんな意味があるのでしょうか?」
切れ長の目をした騎士団長は首を傾げる。
ここ、【女性騎士団施設地下】の地下一階は、
いわゆるUF〇キャッチャーフロアになって
いる。
そこに来て今回新たに設置したゲーム機は、
ジャンルが明らかに違う上に各種入り乱れて
いて、統一性が全く無い。
「いざという時の保険ですね。
これが、条件という名の鍵になるんです」
その筐体の前まで妻たち、ルランさんと
一緒に行くと、メルダから口を開き、
「本来、ダンジョンにはクリア条件が
あるのだ。
ある仕掛けを解く、モンスターを何体倒す、
鍵を複数揃えるなどのな」
「そしてそれが制限となるんです。
侵入者に最下層まで来られ、ダンジョンコアを
破壊されれば―――
ダンジョンマスターは倒されてしまいます。
だからそうされないために、様々な条件や
トラップを用意するんです」
リナの後に俺がコホン、と咳払いして、
「今はどのダンジョンもほぼ無制限に出入り
出来ていますが、例えばここなら……
『人形を3体取れ!』とか、
『全ての魔導具から人形を1体ずつ!』とか
条件を設定し、それが達成されるまで次の
フロアへは行けない―――
と、こうやって侵入を制限出来るんです」
俺と嫁二人の話に彼女はうなずき、
「確かに、ダンジョン側であれば簡単に
クリアされたら困る。それはわかる。
それはわかるのだが……
今、これを置いた意味は何なのです?」
要はタイミング的にわからない、という事か。
まあ確かにこれは説明不足だったかも知れない。
「条件は俺のダンジョンである限り―――
いつでも俺が設定出来て、切り替える事が
出来ます。
例えば何者かの襲撃を受けたとします。
地上施設のエレベーターや非常階段は、
残念ながらダンジョン『入口』と見られ、
物理的な妨害はともかく、制限設定が
出来ないのです」
【魔境の森】では、入口を岩でふさぐ&擬態
しているが、あれとて破壊されたら侵入されて
しまうだろう。
俺は続けて説明する。
「ですが、ダンジョンに入ってしまえば
俺のテリトリーです。
襲撃を受け、人々を避難させる。
このフロアより先、下へ一通り移動させた後、
条件を切り替えます」
そこで俺は新たに設置した魔導具を指差す。
「この全てのゲームを一度もミスする事なく、
クリアする事、と―――
そうなれば襲撃者はこれらのゲームを
クリアするまで、これ以上進めないわけです」
「条件を、全ての侵入者がそれぞれ全ての
ゲームを、ともすればかなり厳しくなるな」
赤髪の元魔王がドヤ顔で補足し、
「まあお兄ちゃんの考えた『永久るぅぷ』も
あるので、実質クリアは不可能なのですが」
リナが悪そうな笑みを浮かべて続く。
「そのためにこれらの魔導具を設置したのか……
だが先ほど言われたように、人形を何個取る、
とかではダメだったのですか?」
確かに条件は俺次第だから、何も新たに魔導具を
設置しなくとも、と疑問に思うのは当然か。
「条件を統一させる必要があったんですよ。
他にもダンジョンを作りましたが、結構
眷属の好みに合わせたりしたので―――
地下一階がメダルコーナーだったり、
ここのようなキャッチャー系だったりと、
バラバラでしたので……」
「もし敵の襲撃を受けて、いざ条件切り替えと
いう時に、各ダンジョンごとに条件が異なって
いたのでは非効率であろう。
手間取っている間に侵入を許すかも知れぬ」
「なので、各ダンジョンの地下一階に、
これと同じ魔導具を設置したんです」
セットのようにメルダ、リナが俺の話を
引き継ぎ、そこでルランさんはようやく
合点がいったようにうなずく。
「なるほど……
一括でダンジョンを封鎖出来るように
したわけか。
聞けば聞くほど我が国が―――
ヒロト殿を手放したのは、取り返しのつかない
失点だと思う」
女性騎士団トップの言葉を聞いて、妻二人は
満足気な表情となり―――
俺は気恥ずかしい顔で、リナとメルダに
挟まれていた。
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