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第0話 C1最速の少女
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1人、少女が佇んでいる。
人と車で溢れかえった深夜の芝浦PAには、少々似つかわしくない、ポニーテールの小柄な少女。そのせいか、少女はわずかながら注目を集めている。そのうち、グループで群れていた若者が少女に近づいていった。
「ねー今暇でしょ。
俺たちとつるんで遊ばない?」
紛う事なきナンパである。
その言葉に対し少女は、目線を合わせることも無く、無言でその場を立ち去った。口をへの字に曲げた若者。それを背に、少女は自分の車へと向かう。
PAの端には、SW20型のMR2が停まっている。銀色のその車体に派手なエアロは付いていない。せいぜいハコ形のリアウィングくらいだ。しかし、改造車だらけの芝浦PAのなかで、その車は謎の存在感を放っている。
少女はその車に乗り込むと、C1内回りへ向けて走り出した。
・
交通量の少ないC1を、銀色の車体は時速100キロ程度で流していく。さほど速くないように思えるが、制限速度もせいぜい時速50キロの狭い道路だ。傍からみればソコソコ速い。
その後ろから、先程の若者が無視された腹いせに煽っている。ネオン管に派手なエアロのついたS14は、速さなど求めていない雰囲気組の車だが、バトルでもしたいのだろうか。
少女は後方のその車に対し、表情をほとんど変えず、といっても僅かながら不機嫌そうだが、自分のペースを全く変えずに走っている。
しかし少女も面倒だったのか、引き離すためにペースを上げた。S14も付いていこうとしたが、その銀色の車体は近づくどころか、影も見えないほど先へ消えていった。
・
8月初旬、「KALMIA SPEED」と看板のついたチューニングショップの事務所に灯りが灯っている。
「で、新メンバーを見つけたって本当なんですか?」
従業員である若い長身の女性、長谷川志織は、隣に座る年上の女性に言った。
「ああ、少し面白いやつを見つけてな。」
少しの笑みを浮かべてそう言ったアラフォー辺りの女性は、このショップの社長である武内摩季。新生のチューナーであるKSの新メンバーを探し回っていた。
「あの厳しい条件で良く見つかりましたね。確かエンジン足回りとか全部整備できて、それに加えてドライバーとしても腕の立つ人。しかも女性限定。
男性ならともかく、女性でそんな人居ないと思うんですけど……。」
改めてとても無茶な条件だと思いながら、
志織は改めて思い返してみる。
「それが居たんだよ~。しかも首都高!C1に!」
「C1に?私C1ばっかり走ってますけど、そんなドライバー聞いたことも見たこともないですよ。第一、私だったらそんなドライバー見たら即バトル仕掛けますね。」
完全に疑っている志織の言葉に対し、
「あんたは外回り専門でしょ?
お相手は内回りにいるらしいよ。聞いたことくらいはあるでしょう、C1内回り最速のSW20のこと。」
「え!?まさかそいつですか!?ていうか女性なんですか!?そもそもそのSW20存在してたんですか!?」
志織は驚いて、椅子から転げ落ちかけた。
「うん。だからさ、スカウトしてきてくれない?」
「えぇ!?」
追い討ちをかけるように驚かされたので、志織は完全に椅子から床へと転げ落ちた。
「ッツ痛っったい!!」
床で転がっている志織を見て、摩季は口元をおさえてクスクスと笑っている。
「ごめんごめ…ッププ。そんなにおどろ…っククかなくても。」
「なに笑ってるんですか!!」
志織は抗議の声を上げ、やっと摩季の笑いも収まった。
「まあとにかく、話し合いでもバトルでもいいから、その子をここに連れてきて、ね?」
「はぁ……分かりました。連れてくればいいんですね……。」
志織は少々不満な点があるようだが、とりあえず承認した。
その後も、事務所の灯りは明け方までつきっぱなしだった。
人と車で溢れかえった深夜の芝浦PAには、少々似つかわしくない、ポニーテールの小柄な少女。そのせいか、少女はわずかながら注目を集めている。そのうち、グループで群れていた若者が少女に近づいていった。
「ねー今暇でしょ。
俺たちとつるんで遊ばない?」
紛う事なきナンパである。
その言葉に対し少女は、目線を合わせることも無く、無言でその場を立ち去った。口をへの字に曲げた若者。それを背に、少女は自分の車へと向かう。
PAの端には、SW20型のMR2が停まっている。銀色のその車体に派手なエアロは付いていない。せいぜいハコ形のリアウィングくらいだ。しかし、改造車だらけの芝浦PAのなかで、その車は謎の存在感を放っている。
少女はその車に乗り込むと、C1内回りへ向けて走り出した。
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交通量の少ないC1を、銀色の車体は時速100キロ程度で流していく。さほど速くないように思えるが、制限速度もせいぜい時速50キロの狭い道路だ。傍からみればソコソコ速い。
その後ろから、先程の若者が無視された腹いせに煽っている。ネオン管に派手なエアロのついたS14は、速さなど求めていない雰囲気組の車だが、バトルでもしたいのだろうか。
少女は後方のその車に対し、表情をほとんど変えず、といっても僅かながら不機嫌そうだが、自分のペースを全く変えずに走っている。
しかし少女も面倒だったのか、引き離すためにペースを上げた。S14も付いていこうとしたが、その銀色の車体は近づくどころか、影も見えないほど先へ消えていった。
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8月初旬、「KALMIA SPEED」と看板のついたチューニングショップの事務所に灯りが灯っている。
「で、新メンバーを見つけたって本当なんですか?」
従業員である若い長身の女性、長谷川志織は、隣に座る年上の女性に言った。
「ああ、少し面白いやつを見つけてな。」
少しの笑みを浮かべてそう言ったアラフォー辺りの女性は、このショップの社長である武内摩季。新生のチューナーであるKSの新メンバーを探し回っていた。
「あの厳しい条件で良く見つかりましたね。確かエンジン足回りとか全部整備できて、それに加えてドライバーとしても腕の立つ人。しかも女性限定。
男性ならともかく、女性でそんな人居ないと思うんですけど……。」
改めてとても無茶な条件だと思いながら、
志織は改めて思い返してみる。
「それが居たんだよ~。しかも首都高!C1に!」
「C1に?私C1ばっかり走ってますけど、そんなドライバー聞いたことも見たこともないですよ。第一、私だったらそんなドライバー見たら即バトル仕掛けますね。」
完全に疑っている志織の言葉に対し、
「あんたは外回り専門でしょ?
お相手は内回りにいるらしいよ。聞いたことくらいはあるでしょう、C1内回り最速のSW20のこと。」
「え!?まさかそいつですか!?ていうか女性なんですか!?そもそもそのSW20存在してたんですか!?」
志織は驚いて、椅子から転げ落ちかけた。
「うん。だからさ、スカウトしてきてくれない?」
「えぇ!?」
追い討ちをかけるように驚かされたので、志織は完全に椅子から床へと転げ落ちた。
「ッツ痛っったい!!」
床で転がっている志織を見て、摩季は口元をおさえてクスクスと笑っている。
「ごめんごめ…ッププ。そんなにおどろ…っククかなくても。」
「なに笑ってるんですか!!」
志織は抗議の声を上げ、やっと摩季の笑いも収まった。
「まあとにかく、話し合いでもバトルでもいいから、その子をここに連れてきて、ね?」
「はぁ……分かりました。連れてくればいいんですね……。」
志織は少々不満な点があるようだが、とりあえず承認した。
その後も、事務所の灯りは明け方までつきっぱなしだった。
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