18 / 18
本編 ルーカス編
18
しおりを挟む俺はエルバンと作った手作りクッキー持って、馬車の揺れに身を任せ、街並みを眺めながらヴィスコンティ公爵家に向かった。
エルバンと一緒に作ったクッキーは、俺が初めてシリウスに手渡す手作りの食べ物だ。
今まで誰かに買ったものをプレゼントすることはあれど、手作りのものをプレゼントするという経験があまりない。
しかも、好きな人に渡すなんて尚更だ。
味見した時は今まで作った中でも最高の出来だし、俺自らデコレーションも行った。
しかも、シリウスの好物である苺のジャムクッキーもある。
俺なりに心を込めて作った。
内心、喜んでくれるのかドキドキしながらも、
シリウスの喜ぶ顔を思い浮かべ、うっすらと微笑みが溢しながら俺はヴィスコンティ公爵家に着くのを待った。
ヴィスコンティ公爵家に着き、馬車の扉が開くと目の前にシリウスがいて俺に手を差し伸べてきた。
今日は急だったからサプライズのつもりで来たけれど、驚かされたのは俺のほうだった。
「シリウス、!?
驚きました、、、。今日はサプライズのつもりでシリウスに会いに来たのに、、、。」
「少し、気分転換に散歩をしていたらちょうど君の馬車が見えて、それで急いで来たんだ。」
「まあ、そうだったんですね。」
俺はシリウスにエスコートされながらも手に持ったクッキーの入ったかごに目を向け、意を決してシリウスに話しかけた。
「シリウス」
「?、なんだ。」
「私、実は今日あなたに会いに来たのは、手作りクッキーをプレゼントしに来たんです。」
「クッキー、!?わ、私に?」
「はい、シリウスに!お好みの味かどうかはわかりませんが、、、料理長と共に作りました!」
「今すぐお茶の用意をしよう!イリア!」
「かしこまりました。ルーカス様、籠をこちらに。」
「はい、お願いしますね!」
シリウスは俺の手作りクッキーという言葉を聞いてすぐにお茶の用意をしてくれた。
驚きながらも嬉しそうな満面の笑みで。
俺の手作りクッキーってだけで俺のどタイプの男らしいシリウスが満面の笑みで嬉しそうにしてる様子よ。
ギャップ萌えです。
可愛すぎるわ!愛しすぎるわ!
今すぐ結婚したい!!
俺がクッキーの入った籠をイリアに手渡した後シリウスにエスコートされた部屋にはもうすでにお茶の用意が整えられていた。
仕事が早すぎる。
さっき指示されたばかりだろ。
しかも、さっき渡した手作りクッキーが綺麗に並べられている。
しかも、俺のお気に入りの紅茶がもうある。
流石は公爵家。職人技だ。
シリウスに「どうぞ」と手を向けられ、彼に促されてソファへ腰を下ろすと、すぐ隣にシリウスも座った。
はぁ、さりげなく隣に座ってくれるの好き。
「クッキーを手作りするという初めての挑戦で、、、シリウスのお口に合うかわかりませんが、どうぞ、!」
「すごく美味しそうだな、!まずはこのクッキーを頂こう、」
シリウスは一枚のジャムクッキーを大事そうに手に取り口へ運んだ。
サクッという音とともに、シリウスの眉がほんのわずかに動き、瞳が驚いたように瞬いた。
「す、すごく美味しい、、、!
ジャムの甘さとクッキーのサクサク感が絶妙だ、!
見た目もすごく可愛らしいし、、、
君の手作りクッキーが食べられるなんて俺は幸せ者だな。」
「褒めすぎですよ、!喜んでいただけてよかったです!」
シリウスは次々と俺の手作りクッキーを手に取り美味しそうに食べ始めた。
俺はその姿をしっかりと目に収め、頭の中のシリウスフォルダーにしっかり保存した。
この世界にカメラがあったらシリウスの姿を連写して部屋の中一面に飾るのになぁ。
そして、シリウスが隣で手作りクッキーを食べている時、俺のすることといえば、、、!
「シリウス!こちらも食べてみてください!
こちらはチョコチップが入っているものなんですよ。」
「わかった」
そう言うとシリウスは俺の手からクッキーを食べた。もう、少し慣れてきたみたいだがまだ赤いのが尊い。
2人でクッキーを食べて楽しんでいると、「あ、!」っという声と共に、シリウスが何かを思い出したような仕草を見せた。
「そうだ、私もルーカスに渡したいものがあるんだ」
「私に、、、ですか?」
「あぁ。私からまだ君に専用のチョーカーを渡していないだろう?時間が掛かってしまったが、、、」
そう言うとシリウスは俺の前に綺麗な箱を出した。
中を開けて見てみるとそこには繊細な細工が施され小さな赤い宝石が散りばめられた美しい作りのチョーカーが収まっていた。
繊細な細工がしてあるにも関わらずΩのうなじを守るためにしっかりとした作りで鍵がなければ外せない仕組みのようだ。
「素敵ですね、、、!」
「ははっ、喜んでもらえたようで嬉しいよ。」
「シリウス、着けていただけますか、?」
「あぁ、もちろん。」
贈られたチョーカーをシリウスに手渡すと、シリウスがソファから立ち、俺の後ろに立った。
そっと首元に冷たい金属が触れ、カチりと音がなった。
「鍵はこれだ。」
「あぁ、ありがとうございます!」
「もう一つの鍵は私が持っていても良いだろうか?」
「もちろんです!」
「ありがとう。
前の記念パーティーでルーカスがたくさんの人に狙われているという事がよくわかった。少しでも君が安全に過ごせるように全力を尽くそう。」
「ふふっ、ありがとうございます。」
わぁぁぁぁぁぁ!
それって小説とかでよく見る「俺が君を守るよ!」宣言ですか?
ご馳走様です!
あのハゲ散らかしてたおっさん達もいい仕事したなぁ!シリウスの手前、俺が愛想良くしてたせいであいつら、なんかいい顔してたんだよ。
何様だよ!って何回、平手打ちを食らわしたろうかと思ったか!
我慢したけどさ!
まあ、でも、そのおかげで!
シリウスからチョーカーも贈って貰えたし?
最高かよ!俺、前世めちゃ良い事しちゃった?
シリウスが紳士すぎるよー!またまたギャップ萌えだわ!
もー!何回惚れさせにくるんだよ!
44
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
隣国のΩに婚約破棄をされたので、お望み通り侵略して差し上げよう。
下井理佐
BL
救いなし。序盤で受けが死にます。
文章がおかしな所があったので修正しました。
大国の第一王子・αのジスランは、小国の王子・Ωのルシエルと幼い頃から許嫁の関係だった。
ただの政略結婚の相手であるとルシエルに興味を持たないジスランであったが、婚約発表の社交界前夜、ルシエルから婚約破棄をするから受け入れてほしいと言われる。
理由を聞くジスランであったが、ルシエルはただ、
「必ず僕の国を滅ぼして」
それだけ言い、去っていった。
社交界当日、ルシエルは約束通り婚約破棄を皆の前で宣言する。
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
愛しい番に愛されたいオメガなボクの奮闘記
天田れおぽん
BL
ボク、アイリス・ロックハートは愛しい番であるオズワルドと出会った。
だけどオズワルドには初恋の人がいる。
でもボクは負けない。
ボクは愛しいオズワルドの唯一になるため、番のオメガであることに甘えることなく頑張るんだっ!
※「可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない」のオズワルド君の番の物語です。
※他サイトでも連載中
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
冷酷なアルファ(氷の将軍)に嫁いだオメガ、実はめちゃくちゃ愛されていた。
水凪しおん
BL
これは、愛を知らなかった二人が、本当の愛を見つけるまでの物語。
国のための「生贄」として、敵国の将軍に嫁いだオメガの王子、ユアン。
彼を待っていたのは、「氷の将軍」と恐れられるアルファ、クロヴィスとの心ない日々だった。
世継ぎを産むための「道具」として扱われ、絶望に暮れるユアン。
しかし、冷たい仮面の下に隠された、不器用な優しさと孤独な瞳。
孤独な夜にかけられた一枚の外套が、凍てついた心を少しずつ溶かし始める。
これは、政略結婚という偽りから始まった、運命の恋。
帝国に渦巻く陰謀に立ち向かう中で、二人は互いを守り、支え合う「共犯者」となる。
偽りの夫婦が、唯一無二の「番」になるまでの軌跡を、どうぞ見届けてください。
僕はあなたに捨てられる日が来ることを知っていながらそれでもあなたに恋してた
いちみやりょう
BL
▲ オメガバース の設定をお借りしている & おそらく勝手に付け足したかもしれない設定もあるかも 設定書くの難しすぎたのでオメガバース知ってる方は1話目は流し読み推奨です▲
捨てられたΩの末路は悲惨だ。
Ωはαに捨てられないように必死に生きなきゃいけない。
僕が結婚する相手には好きな人がいる。僕のことが気に食わない彼を、それでも僕は愛してる。
いつか捨てられるその日が来るまでは、そばに居てもいいですか。
【完結】選ばれない僕の生きる道
谷絵 ちぐり
BL
三度、婚約解消された僕。
選ばれない僕が幸せを選ぶ話。
※地名などは架空(と作者が思ってる)のものです
※設定は独自のものです
※Rシーンを追加した加筆修正版をムーンライトノベルズに掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる