婚約を前提に結婚しましょう?

くう

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本編 ルーカス編

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割れない硬いクッキーを作った翌日。
俺は今日もシリウスへ渡すクッキー作りを行うため、厨房に入ると料理長ことエルバンが扉の目の前で何かを決意したような表情で突っ立っていた。



「何してるの?」

「坊ちゃん!私は決めました。
今日、坊ちゃんには私の指示に従って料理していただきます!」

「、、、ん?
いつも、エルバンが指示通りに料理して来ただろう?」

「、、、本気で仰られてますか?」

「もちろん」

「、、、、、、」


何だ、その表情は?
エルバンの言う通りに調理して来ただろ?
材料も作る工程もほとんどエルバンが指示した通りに行っただろ。




「、、、とにかく、今からこの3つ約束を守って頂きます。」

「えぇー?約束ぅー?」

「一、私が用意した材料以外使わない、ニ、何かする場合は私に確認を取る、三、私の指示がある場合はその通りに動く!
この、たったの3つです!
このお約束が守られなければ坊ちゃんは完璧なクッキーをお作りになられる前に何かを爆発させて厨房を破壊しそうです!」

「いや、そこまでじゃないでしょ」

「そこまでなんですっっ!」



普通は主人に指示するとか言っちゃダメなんだぞ?それに、俺はシリウスのためを思って体にいいものを入れたり、クッキーがより美味しくなるようによく考えて加えたりしてたんだ。
例えば、そこら辺にあった野菜をちぎって入れたらうまく生地が混ざらないから水とかミルクとか入れたりして。
そんなことを続けていたらやり過ぎてしまっただけだ。

俺なりにしっかり考えている。
まあ、でも料理長であるエルバンが言うんだから聞いておくか。エルバンが父に何か言ったら厨房に入れなくなることもありそうだしね。

俺は仕方なくエルバンとの約束を守ることにした。


「仕方ないなぁ。じゃあ早速材料を用意し「もう準備してあります!」、、、はやいな、わかったよ。」



厨房の作業台を見てみるとしっかり材料がわかりやすく置かれていた。もう量も測ってあるようだ。準備いいな?



「坊ちゃん、まずは材料を混ぜて生地を作ります。バターは常温で溶かしてありますので卵を割り入れてもらえますか?」

「わかった。」




バキッ!




俺が卵をボウルに叩きつけた瞬間、割れてしまい殻と中身がこぼれてしまった。



「あっ」

「坊ちゃん!強く叩きすぎでございます!」



卵割るのって難しいよな。
触った感じ硬かったから強めに割ったら中身が出てしまった。
隣でエルバンが怪我の心配をしている。
こんなことで怪我するわけないだろ。



エルバンは机や床などを掃除してから新しい卵を取り出し割り入れた。



「坊ちゃん、卵は私が悪いれましたので小麦粉をふるいにかけてくださいませ。」

「ふむ、、、わかったよ。任せて。」



俺はエルバンの言う通りにふるいにかけようとするとエルバンから注意がきた。もう、遅かったけど。



「坊ちゃん!そんな上から小麦粉をふるったらこぼれます!、、、あー!ほら!言わんこっちゃない!」

「、、、難しいものだね。」



何とか生地を作り上げ、型抜きをする。
横ではエルバンが見守っている。



「型抜きだけはお上手ですね。」

「だけどは何だ?だけとは。」

「それではこちらに型抜きが終わったものを載せていただけますか?」

「わかった。」



シリウスに渡すものなので普通のクッキーではなくハート型のクッキーにした。

渡す時に「シリウスだけだよ♡」ってな感じで猫かぶって「あーん」まで持っていけたらいいなとニヤニヤしながらほくそ笑んでいたらエルバンに引かれた。



「ニヤニヤしてどうしたんですか、?」

「何でもないよ。」

「私がクッキーを見てますので、私がまだ途中のデコレーション用のチョコレートを溶かしていただけますか?」

「わかったよ。楽しみだなぁ、、、クッキー!」




そうしてチョコレートを溶かしていると、、、

何故かチョコ分離した。
一応言うが俺は何もしていない。
何故かチョコが分離した。




「エルバン。チョコが分離した。」

「そうですか。 、、、は!?」



エルバンは俺が溶かしていたチョコレートを見ると口を開けて停止した。
そこまで驚くものか?
このチョコレート不良品なんじゃないか?



「嘘でしょ、、、」

「、、、エルバン。
このチョコレートは不良品だったのではないか?」

「いや、アウェーツァ侯爵家で使われる食材は全て高級食材です。しっかり管理されて最終チェックも欠かしません。
、、、一体何をしたんですか、?」

「私は普通に溶かしていたが、チョコが勝手に分離したよ。」

「私の時は順調だったんですっっ!」




、、、まあ、俺には料理の才能は無かったみたいだな。
それは認めようじゃないか。ははっ。



結局エルバンがチョコレートを1人で溶かした。
流石、料理長。有能だ。
俺はその間シリウスとクッキーを食べるラブラブ妄想をしながらオーブンを眺めた。







クッキーがいい感じに焼けたようでエルバンがオーブンからクッキーを取り出した。

今までよりいい匂いがしたので今回は成功したようだ。
見た目もすごく良い。まさにクッキーだ。



エルバンが味見をしたら合格とのこと。



最後にチョコレートやジャム、ナッツやドライフルーツで飾りつけた。



「どうだろう?結構良いのではないか?」

「めちゃくちゃ美味そうですよ!味も良かったし。これなら公爵閣下にお渡ししても毒殺未遂とかで絶対に捕まる心配はありません!」

「私が1人で作ったクッキーはそんなに酷いものだったか?」

「、、、はい!初めて作ったクッキーを食べた方はほとんどの方がお腹を壊しています!」

「、、、そうか。」



まさかそんなゲテモノを作っていたとは、、、
その日夕食時に父上と兄上が来なかったのはそういうことか。申し訳ないことをしたな。






「さっそく!公爵閣下にお渡ししましょう!
出来立てが1番美味しいですから!」




「そうだね。」










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