魔力極振りの迷宮探索

大山 たろう

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二章 体育祭編

迷宮探索2-2

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 結局先日は、レベルが上がったところで撤退してしまった。今日は十階層ボスを倒す。そう考え、データをそろえていく。
 気が付けば昼になっていたので、昼食を食べてから出発する。

 いつものように迷宮にもぐる。そしてまたじめじめとした洞窟を自分の庭のように迷わず進む。

 慣れてきた五階層、ボスの部屋だが、一度ボスを倒すと三日間は再戦できないらしい。ドアを開けたがやはり誰もいなかったので、六階層へと向かう。

 草の生い茂るフィールド。俺は迷わないよう地図を見ながら、先人たちのつけた目印を頼りに進む。

 は目印と言われたら、赤い矢印とかを連想するだろうが、迷宮内でそれを置きっぱなしにしていると、迷宮の掃除屋と言われる徘徊型ボスが現れるらしく、人工物は長時間(とはいっても数週間ほどは大丈夫)おけないため、たまに生えている木や、花などを目印にしている。

 頼りにならないと思っていたが、木を見つけ一安心。そのまま木の上にある門から七階層へ。

 どうか次はわかりやすいところを、どうか......と思っていたが、神は俺を見捨てたのだろうか、また草しかない草原の中央がスタート地点のようだ。

 「ぬぅぅぅぅぅぅっぅぅぅぅぅぅぅぅ」

 俺は一人うなり声をあげた。

 「もう精神が疲れた......」

 やっと十階層へと到達。これで百階層の十分の一と考えると頭がくらくらしてきた。
 それでもマップ通りに進んでいくと、五階層と同じような扉があった。
 
 俺は、強化エンハンスをかけると、分体ドッペルゲンガーを呼び出した。そういえば、こいつ魔法使わないよな......なんでだ?

 「なぁ、お前って、魔法使えるのか?」

 そう聞いてみると、コクコクと頷いた。

 「じゃあ、次の戦闘、使ってくれるか」

 そう言ったが、なぜか首を横に振られた。
 とりあえず、強化エンハンスの上昇幅を見るためにステータス見るか。
 もう何回目だろうと思ったが、この少しずつ強くなっている感がとても癖になって、つい見てしまう。

 俺はステータスを慣れた手つきで確認した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
藍染 拓海 人間 男 魔力タンクlv13

HP10/10
MP185/240
筋力10(+1)
体力10(+1)
敏捷10(+1)
知力10(+1)
魔防10(+1)
器用10(+1)
幸運10(+1)

スキル
魔力譲渡lv2
魔力回復増加lv2
魔力操作lv1
支援魔法適正
分体ドッペルゲンガー lv1
スキルポイント   15


分体ドッペルゲンガー 人間 男 

HP10/10
MP0/240
筋力10(+1)
体力10(+1)
敏捷10(+1)
知力10(+1)
魔防10(+1)
器用10(+1)
幸運10(+1)

スキル
魔力譲渡lv2
魔力操作lv1
支援魔法適正

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 強化エンハンスやっぱりオール1かー.....。重ね掛けはしないほうがいいって書いてたしな......

 と考えていると、ある点に気づいた。

 「分体ドッペルゲンガー、お前、MPゼロだったのか」

 そういうと、分体ドッペルゲンガーは嬉しそうにコクコクと頷く。

 俺はとりあえず半分(ロスはあるものの)ほど魔力譲渡をする。

 「魔法は使えるか?」と聞くとコクコクと頷いていた。

 よし、行くか。

 俺は、その門を開いた。

 ボス戦、スタートだ。


 門の奥には、玉座の間のような場所が広がっていた。
 しかし玉座の間とはいうものの、人間社会のような赤いカーペットに黄金が、といったような華美なものではなく、野蛮さと力の象徴ともいえるようなつくりをしていた。

 壁には牛の頭が飾られ、角の先に火がともされていた。

 天井はここも星のように無数の光る水晶が地面を明るく照らしていた。

 最奥には、大きな玉座。何かの骨で組み立てられたかのようなそれは、その王が座るにふさわしいと思える出来だった。

 ボスゴブリンが現れる。しかし攻撃はしてこない。

 ボスゴブリンはこちらに目もくれず、玉座に座る。

 すると、横のドアから、十五体のゴブリンが現れる。
 そいつらはこん棒ではなく、盾や剣、弓、杖と、役割分担までしっかりしているようだ。

 俺はすぐさま分体ドッペルゲンガーと二手に分かれると、魔弾を乱射した、

 一部は盾にふさがれたようだが、結構な数が後衛のほうまで行ったようで、杖と弓は後ろへ引いている。

 「付与:魔術刀身」

 俺はその隙に剣を持っているゴブリンに切りかかる。
ぐぇぇという声とともに、そいつは霧となった。

「ゲギャギャギャ!」

 怒った様子の弓持ちと杖持ちは、俺に向かって遠距離攻撃をしてきた。

 すぐさま俺は今まで使いどころのなかった魔法を使う。

 収束、操作。

 二文字で組めるこの魔法は、相手の遠距離攻撃を吸い込み、俺の支配下に置ける。

 勢いが強いと収束しきれずに突っ込んで来るため、格下にしか使えない魔法だが、しっかり効いたようだ。

 俺は撃ち込まれた魔法を射出し返す。

 すると跳ね返ってきた自身の攻撃に対応できず、後衛がほとんど霧と化す。


 俺は残りの後衛に魔弾を撃ちながら、何もできずに残ってしまった盾持ちに対して射出を行う。

 射出というのは、魔法文字を使ったものではなく、手から魔力を一気に放出し、衝撃波を飛ばしているようなものなのだ。

 それ単体に威力はほとんどないものの、吹き飛ばしノックバックが大きい。

 盾持ちは射出をもろに食らい、壁と挟まれ、あっけなく死んだ。

 残すは、ボスのみである。

 玉座から立ち上がると、そばにあったこん棒......というには優しい、巨大くぎバットのようなものを担ぎ、雄たけびを上げた。


 しかし俺は空気を読まずに雄たけびしている口の中に魔弾を撃ちこんだ。

 「ガハッ!!グォォォオォオォォオオオオオ!」

 やっべ、さらに怒らせた!

 ゴブリンが俺に走ってくると、こん棒をすごい速さで振り下ろす。
 俺はとっさに右に飛んだ。
 態勢を立て直し、魔弾をもう一度撃ち込む準備に入る。
 しかし、ボスゴブリンは振り下ろしたこん棒をそのまま俺のほうへ振ってきた。

 これはまずい、つぶれる!
 俺はすぐにバックステップをする。しかし、魔弾を撃ちこめなかった。

 決めた、俺は回避に専念する。頼んだぞ、分体ドッペルゲンガー
 そう人任せをしながらこん棒のリーチより遠くに構える。
 ボスゴブリンがこっちに走ってくるところで、こけた。何を無様な、と思っていたが、どうやら分体ドッペルゲンガーが、魔弾を足に命中させたらしい。

「お手柄!」

そう言いながら、俺はこけたボスゴブリンに魔術刀身を付与しっぱなしだったナイフを振るった。

ボスゴブリンが霧となる。
その場に残ったのは、魔石と、青い台座だけだった。

・レベルが15になりました

・一次職、魔力タンクをマスターしました。二次職への転職が可能です

分体ドッペルゲンガーのレベルが上がりました

分体ドッペルゲンガー内スキル、入れ替わりを習得しました。

お、ちょうどよくレベルもマックスになったか。
そして二次職だが......まぁ、どーせロクな名前じゃなさそうだ。
転職はあとですると決め、今は目の前の台座に目を向ける。
これが、転移台座か。

転移台座。それは、十階層毎に設置されていて、ボスを倒すと出現する。ボスの魔石を置くと使えるようになり、例えばここから一階層へ行ったり、一階層から一気に十一階層まで行けるわけだ。

俺はためらいなく魔石を台座に乗せる。すると、俺の体にある魔法陣にホタルのような魔力の塊が入り込んだ。

これで使えるな。
俺は分体ドッペルゲンガーと一つになると、台座に手をのせた。

「転移、一階層」

疲れ切った俺は家へと帰る。





こうして、おおよそ二週間で十階層を攻略した。

しかし、ここからが本番だと言わんばかりに、迷宮は拓海を待ち構えるのだった。
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