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三章 迷宮の洗礼
ツンデレ、ばれる
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月曜日。寝ぼけた頭のまま、俺は教科書を詰め込むと学校へと向かう。
いつものように席へと座ると、隣から声が聞こえてくる。
「おはよ、けっこ眠そうだけど、昨日何かあったの?」
珍しく飯塚から話しかけてきた。
俺はハハハと笑いながら
「いやぁ、ちょっと調べものがね......」
と答えておいた。
なんの調べものかは言わない。まぁ、もし聞かれてもアニメとか適当に答えるつもりだ。
しかし、なぜか疑う視線を俺に向けながら、「ふーん」というのみだった。
このまま俺の話を続けられても困るので、話を転換する。
「そういえば、天ノ川君たちと迷宮にもぐっているんだよね。そっちはどんな感じ?」
「そっちは?」
あ、ミスった、早くごまかさないと!
「そ、そう、学校と比べて、探索者はうまくいっているのかなぁ......と」
我ながら、うまくごまかしたのではないだろうか。だが、一度向けられた疑惑の視線はなかなか離れることはない。
「私、魔法使って攻撃してるんだけどね、才能のある人は、魔眼を習得できるの」
「魔眼! なにそれかっこいい!どんな効果なの!」
そう、好奇心のある風を装った。俺はそれに関してはもう知っているのだ。それにもう興奮も前にやった。
「大抵は何かの魔法と、魔力視、つまり魔力が見えるようになるのよ。それでいつもは見ないんだけど、さっき間違えてみてしまったの。そしたら、あなたの魔力、見えたのよ。わかってるから、私に隠さず言いなさい」
やっべ、ばれた、しかもよりにもよって勇者パーティーに!
俺は脳をフル回転させる。しかし、魔力を見られた以上ゲームオーバーか......ならば、次はほかの人には言わないでいてもらうことか。
「ちょっと話があるから、そうだな......放課後、ちょっと話できるか?」
「いいわよ、その代わり嘘ついたらわかるから。覚悟なさい」
それが魔眼の効果で、俺にずっと疑惑の視線を向け続けていた理由だったか。
とりあえず誠心誠意お願いするか。
司と徹にも相談しないと。
俺は月曜日の会議のことで頭がいっぱいになった。
一時間目、二時間目と経過したときに、徹と司が俺のところに来た。
「拓海、大丈夫か? さっきからすごい顔してるぞ」
「拓海、もしかしてぼくのせぇい!?大丈夫ぅ?」
と二人に心配されてしまった。
「ああ、大丈夫だし司のせいでもないよ。ただ......
「「ただ?」」
「飯塚にばれた」
そう、今のうちに言っておくのだった。
昼休み、食堂で定例会議が始まった。
俺はそこで司に魔銀の装備を頼んでから、事の顛末を話した。
五分ほどで話し終えたが、二人は頭を抱えたままだった。
「もう、口外しないでくれって頼むしかないかな」
「そうだねぇ」「それしかなさそうだ」
「条件も不可能でなければ受ける、でいいか?」
「「異議なし」」
と、ここでこの話題は終わった。
そこで、ほかに話すことはあったかなと思い出しているうちに、あることを思い出す。
「司、そういえば鑑定、持ってたよな」
「え? う、うん、もってるよぉ」
「俺の両目を鑑定してくれ」
「わかったぁ......って、ナニコレ、魔眼を外から装着......いや、融合させたの?」
なにそれ、気が付かないうちに俺の両目があのコンタクトと合体していたのか?
そりゃああんだけ痛いわけだ。
「いや、俺もよくわからんから鑑定を頼んだんだ。それで、結果はどんなもんだ?」
「えっとぉ、魔力を目に通すと、魔力視と幻術が使えるってかんじかなぁ?にしても良かったね、魔眼の魔法はとっても強いから、応用きく能力で、当たりだったんじゃない?」
「そうか、後でステータス確認しておくわ」
能力はまぁいいんだけど、また魔力依存だから、禁呪が手放せなさそうだ。
俺は言い訳を考えながら、体育へと向かうのだった。
放課後。ついに決戦の時になった。
俺は集合場所である教室へと向かう。
そこには、一足先に飯塚が来ていたらしい。
「ある程度、私の能力に関しては見当ついてるんでしょう?」
そう、いきなり切り出してきた。
ある程度分かっているからこそ、答えを濁す。
「どっちだと思う?」
その時、彼女は苦虫をかみつぶしたような顔をしていた。
やはりか。
彼女の能力は、正誤判定だろう。心が読めるなら、ここまで顔をしかめっ面にすることもない。
と、答え合わせをしたところで、俺は切り出す。
「俺はさ、ひっそりと探索者したいんだよ。間違っても天ノ川みたいな陽キャと一緒に行きたいわけじゃない。どころか、俺はできることならだれにも言わずに探索者をするつもりだったのに、こう簡単にばれてしまうとは......なかなか悲しいねぇ」
「会長にもばれているんでしょう?」
「まぁね」
「よく聞くもの、あなたの話」
「え、なんで?」
「いや、あれ私の姉よ」
「......まじで?」
「いや、みんな気付いているわよ、名前だって飯塚だったの聞いてなかったの?」
「俺その時話を聞いてなかったんだよ......いつ名前聞くかちょっと悩んでいたのに」
「あきれた.......まぁ、姉がずっと君の話をするから、気になったっていうのもあるわね」
「ほう、俺のこと気になったんだ」
「べ、べつに恋愛感情じゃないからね! バッカみたい!」
わかってはいたものの、つい言ってしまった。
しかし、姉妹だったとは......
っと、話が脱線した。
「話を戻すぞ。俺からのお願いは探索者のことを口外しないことだ。」
「いいわよ。その程度」
「......いいのか? 姉と違って代わりにとか要求しないのか?」
「あいつなにやってんのよ......それくらい構わないわ」
「ありがとう、女神様!」
そういうと、俺は法外な約束をされなかったうれしさからそれを言い残すと、すぐに走り去ってしまった。
「女神って、ばか......」
もう少し残れば、このつぶやきを聞けたというのに。
いつものように席へと座ると、隣から声が聞こえてくる。
「おはよ、けっこ眠そうだけど、昨日何かあったの?」
珍しく飯塚から話しかけてきた。
俺はハハハと笑いながら
「いやぁ、ちょっと調べものがね......」
と答えておいた。
なんの調べものかは言わない。まぁ、もし聞かれてもアニメとか適当に答えるつもりだ。
しかし、なぜか疑う視線を俺に向けながら、「ふーん」というのみだった。
このまま俺の話を続けられても困るので、話を転換する。
「そういえば、天ノ川君たちと迷宮にもぐっているんだよね。そっちはどんな感じ?」
「そっちは?」
あ、ミスった、早くごまかさないと!
「そ、そう、学校と比べて、探索者はうまくいっているのかなぁ......と」
我ながら、うまくごまかしたのではないだろうか。だが、一度向けられた疑惑の視線はなかなか離れることはない。
「私、魔法使って攻撃してるんだけどね、才能のある人は、魔眼を習得できるの」
「魔眼! なにそれかっこいい!どんな効果なの!」
そう、好奇心のある風を装った。俺はそれに関してはもう知っているのだ。それにもう興奮も前にやった。
「大抵は何かの魔法と、魔力視、つまり魔力が見えるようになるのよ。それでいつもは見ないんだけど、さっき間違えてみてしまったの。そしたら、あなたの魔力、見えたのよ。わかってるから、私に隠さず言いなさい」
やっべ、ばれた、しかもよりにもよって勇者パーティーに!
俺は脳をフル回転させる。しかし、魔力を見られた以上ゲームオーバーか......ならば、次はほかの人には言わないでいてもらうことか。
「ちょっと話があるから、そうだな......放課後、ちょっと話できるか?」
「いいわよ、その代わり嘘ついたらわかるから。覚悟なさい」
それが魔眼の効果で、俺にずっと疑惑の視線を向け続けていた理由だったか。
とりあえず誠心誠意お願いするか。
司と徹にも相談しないと。
俺は月曜日の会議のことで頭がいっぱいになった。
一時間目、二時間目と経過したときに、徹と司が俺のところに来た。
「拓海、大丈夫か? さっきからすごい顔してるぞ」
「拓海、もしかしてぼくのせぇい!?大丈夫ぅ?」
と二人に心配されてしまった。
「ああ、大丈夫だし司のせいでもないよ。ただ......
「「ただ?」」
「飯塚にばれた」
そう、今のうちに言っておくのだった。
昼休み、食堂で定例会議が始まった。
俺はそこで司に魔銀の装備を頼んでから、事の顛末を話した。
五分ほどで話し終えたが、二人は頭を抱えたままだった。
「もう、口外しないでくれって頼むしかないかな」
「そうだねぇ」「それしかなさそうだ」
「条件も不可能でなければ受ける、でいいか?」
「「異議なし」」
と、ここでこの話題は終わった。
そこで、ほかに話すことはあったかなと思い出しているうちに、あることを思い出す。
「司、そういえば鑑定、持ってたよな」
「え? う、うん、もってるよぉ」
「俺の両目を鑑定してくれ」
「わかったぁ......って、ナニコレ、魔眼を外から装着......いや、融合させたの?」
なにそれ、気が付かないうちに俺の両目があのコンタクトと合体していたのか?
そりゃああんだけ痛いわけだ。
「いや、俺もよくわからんから鑑定を頼んだんだ。それで、結果はどんなもんだ?」
「えっとぉ、魔力を目に通すと、魔力視と幻術が使えるってかんじかなぁ?にしても良かったね、魔眼の魔法はとっても強いから、応用きく能力で、当たりだったんじゃない?」
「そうか、後でステータス確認しておくわ」
能力はまぁいいんだけど、また魔力依存だから、禁呪が手放せなさそうだ。
俺は言い訳を考えながら、体育へと向かうのだった。
放課後。ついに決戦の時になった。
俺は集合場所である教室へと向かう。
そこには、一足先に飯塚が来ていたらしい。
「ある程度、私の能力に関しては見当ついてるんでしょう?」
そう、いきなり切り出してきた。
ある程度分かっているからこそ、答えを濁す。
「どっちだと思う?」
その時、彼女は苦虫をかみつぶしたような顔をしていた。
やはりか。
彼女の能力は、正誤判定だろう。心が読めるなら、ここまで顔をしかめっ面にすることもない。
と、答え合わせをしたところで、俺は切り出す。
「俺はさ、ひっそりと探索者したいんだよ。間違っても天ノ川みたいな陽キャと一緒に行きたいわけじゃない。どころか、俺はできることならだれにも言わずに探索者をするつもりだったのに、こう簡単にばれてしまうとは......なかなか悲しいねぇ」
「会長にもばれているんでしょう?」
「まぁね」
「よく聞くもの、あなたの話」
「え、なんで?」
「いや、あれ私の姉よ」
「......まじで?」
「いや、みんな気付いているわよ、名前だって飯塚だったの聞いてなかったの?」
「俺その時話を聞いてなかったんだよ......いつ名前聞くかちょっと悩んでいたのに」
「あきれた.......まぁ、姉がずっと君の話をするから、気になったっていうのもあるわね」
「ほう、俺のこと気になったんだ」
「べ、べつに恋愛感情じゃないからね! バッカみたい!」
わかってはいたものの、つい言ってしまった。
しかし、姉妹だったとは......
っと、話が脱線した。
「話を戻すぞ。俺からのお願いは探索者のことを口外しないことだ。」
「いいわよ。その程度」
「......いいのか? 姉と違って代わりにとか要求しないのか?」
「あいつなにやってんのよ......それくらい構わないわ」
「ありがとう、女神様!」
そういうと、俺は法外な約束をされなかったうれしさからそれを言い残すと、すぐに走り去ってしまった。
「女神って、ばか......」
もう少し残れば、このつぶやきを聞けたというのに。
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