26 / 68
三章 迷宮の洗礼
ツンデレ、ばれる
しおりを挟む
月曜日。寝ぼけた頭のまま、俺は教科書を詰め込むと学校へと向かう。
いつものように席へと座ると、隣から声が聞こえてくる。
「おはよ、けっこ眠そうだけど、昨日何かあったの?」
珍しく飯塚から話しかけてきた。
俺はハハハと笑いながら
「いやぁ、ちょっと調べものがね......」
と答えておいた。
なんの調べものかは言わない。まぁ、もし聞かれてもアニメとか適当に答えるつもりだ。
しかし、なぜか疑う視線を俺に向けながら、「ふーん」というのみだった。
このまま俺の話を続けられても困るので、話を転換する。
「そういえば、天ノ川君たちと迷宮にもぐっているんだよね。そっちはどんな感じ?」
「そっちは?」
あ、ミスった、早くごまかさないと!
「そ、そう、学校と比べて、探索者はうまくいっているのかなぁ......と」
我ながら、うまくごまかしたのではないだろうか。だが、一度向けられた疑惑の視線はなかなか離れることはない。
「私、魔法使って攻撃してるんだけどね、才能のある人は、魔眼を習得できるの」
「魔眼! なにそれかっこいい!どんな効果なの!」
そう、好奇心のある風を装った。俺はそれに関してはもう知っているのだ。それにもう興奮も前にやった。
「大抵は何かの魔法と、魔力視、つまり魔力が見えるようになるのよ。それでいつもは見ないんだけど、さっき間違えてみてしまったの。そしたら、あなたの魔力、見えたのよ。わかってるから、私に隠さず言いなさい」
やっべ、ばれた、しかもよりにもよって勇者パーティーに!
俺は脳をフル回転させる。しかし、魔力を見られた以上ゲームオーバーか......ならば、次はほかの人には言わないでいてもらうことか。
「ちょっと話があるから、そうだな......放課後、ちょっと話できるか?」
「いいわよ、その代わり嘘ついたらわかるから。覚悟なさい」
それが魔眼の効果で、俺にずっと疑惑の視線を向け続けていた理由だったか。
とりあえず誠心誠意お願いするか。
司と徹にも相談しないと。
俺は月曜日の会議のことで頭がいっぱいになった。
一時間目、二時間目と経過したときに、徹と司が俺のところに来た。
「拓海、大丈夫か? さっきからすごい顔してるぞ」
「拓海、もしかしてぼくのせぇい!?大丈夫ぅ?」
と二人に心配されてしまった。
「ああ、大丈夫だし司のせいでもないよ。ただ......
「「ただ?」」
「飯塚にばれた」
そう、今のうちに言っておくのだった。
昼休み、食堂で定例会議が始まった。
俺はそこで司に魔銀の装備を頼んでから、事の顛末を話した。
五分ほどで話し終えたが、二人は頭を抱えたままだった。
「もう、口外しないでくれって頼むしかないかな」
「そうだねぇ」「それしかなさそうだ」
「条件も不可能でなければ受ける、でいいか?」
「「異議なし」」
と、ここでこの話題は終わった。
そこで、ほかに話すことはあったかなと思い出しているうちに、あることを思い出す。
「司、そういえば鑑定、持ってたよな」
「え? う、うん、もってるよぉ」
「俺の両目を鑑定してくれ」
「わかったぁ......って、ナニコレ、魔眼を外から装着......いや、融合させたの?」
なにそれ、気が付かないうちに俺の両目があのコンタクトと合体していたのか?
そりゃああんだけ痛いわけだ。
「いや、俺もよくわからんから鑑定を頼んだんだ。それで、結果はどんなもんだ?」
「えっとぉ、魔力を目に通すと、魔力視と幻術が使えるってかんじかなぁ?にしても良かったね、魔眼の魔法はとっても強いから、応用きく能力で、当たりだったんじゃない?」
「そうか、後でステータス確認しておくわ」
能力はまぁいいんだけど、また魔力依存だから、禁呪が手放せなさそうだ。
俺は言い訳を考えながら、体育へと向かうのだった。
放課後。ついに決戦の時になった。
俺は集合場所である教室へと向かう。
そこには、一足先に飯塚が来ていたらしい。
「ある程度、私の能力に関しては見当ついてるんでしょう?」
そう、いきなり切り出してきた。
ある程度分かっているからこそ、答えを濁す。
「どっちだと思う?」
その時、彼女は苦虫をかみつぶしたような顔をしていた。
やはりか。
彼女の能力は、正誤判定だろう。心が読めるなら、ここまで顔をしかめっ面にすることもない。
と、答え合わせをしたところで、俺は切り出す。
「俺はさ、ひっそりと探索者したいんだよ。間違っても天ノ川みたいな陽キャと一緒に行きたいわけじゃない。どころか、俺はできることならだれにも言わずに探索者をするつもりだったのに、こう簡単にばれてしまうとは......なかなか悲しいねぇ」
「会長にもばれているんでしょう?」
「まぁね」
「よく聞くもの、あなたの話」
「え、なんで?」
「いや、あれ私の姉よ」
「......まじで?」
「いや、みんな気付いているわよ、名前だって飯塚だったの聞いてなかったの?」
「俺その時話を聞いてなかったんだよ......いつ名前聞くかちょっと悩んでいたのに」
「あきれた.......まぁ、姉がずっと君の話をするから、気になったっていうのもあるわね」
「ほう、俺のこと気になったんだ」
「べ、べつに恋愛感情じゃないからね! バッカみたい!」
わかってはいたものの、つい言ってしまった。
しかし、姉妹だったとは......
っと、話が脱線した。
「話を戻すぞ。俺からのお願いは探索者のことを口外しないことだ。」
「いいわよ。その程度」
「......いいのか? 姉と違って代わりにとか要求しないのか?」
「あいつなにやってんのよ......それくらい構わないわ」
「ありがとう、女神様!」
そういうと、俺は法外な約束をされなかったうれしさからそれを言い残すと、すぐに走り去ってしまった。
「女神って、ばか......」
もう少し残れば、このつぶやきを聞けたというのに。
いつものように席へと座ると、隣から声が聞こえてくる。
「おはよ、けっこ眠そうだけど、昨日何かあったの?」
珍しく飯塚から話しかけてきた。
俺はハハハと笑いながら
「いやぁ、ちょっと調べものがね......」
と答えておいた。
なんの調べものかは言わない。まぁ、もし聞かれてもアニメとか適当に答えるつもりだ。
しかし、なぜか疑う視線を俺に向けながら、「ふーん」というのみだった。
このまま俺の話を続けられても困るので、話を転換する。
「そういえば、天ノ川君たちと迷宮にもぐっているんだよね。そっちはどんな感じ?」
「そっちは?」
あ、ミスった、早くごまかさないと!
「そ、そう、学校と比べて、探索者はうまくいっているのかなぁ......と」
我ながら、うまくごまかしたのではないだろうか。だが、一度向けられた疑惑の視線はなかなか離れることはない。
「私、魔法使って攻撃してるんだけどね、才能のある人は、魔眼を習得できるの」
「魔眼! なにそれかっこいい!どんな効果なの!」
そう、好奇心のある風を装った。俺はそれに関してはもう知っているのだ。それにもう興奮も前にやった。
「大抵は何かの魔法と、魔力視、つまり魔力が見えるようになるのよ。それでいつもは見ないんだけど、さっき間違えてみてしまったの。そしたら、あなたの魔力、見えたのよ。わかってるから、私に隠さず言いなさい」
やっべ、ばれた、しかもよりにもよって勇者パーティーに!
俺は脳をフル回転させる。しかし、魔力を見られた以上ゲームオーバーか......ならば、次はほかの人には言わないでいてもらうことか。
「ちょっと話があるから、そうだな......放課後、ちょっと話できるか?」
「いいわよ、その代わり嘘ついたらわかるから。覚悟なさい」
それが魔眼の効果で、俺にずっと疑惑の視線を向け続けていた理由だったか。
とりあえず誠心誠意お願いするか。
司と徹にも相談しないと。
俺は月曜日の会議のことで頭がいっぱいになった。
一時間目、二時間目と経過したときに、徹と司が俺のところに来た。
「拓海、大丈夫か? さっきからすごい顔してるぞ」
「拓海、もしかしてぼくのせぇい!?大丈夫ぅ?」
と二人に心配されてしまった。
「ああ、大丈夫だし司のせいでもないよ。ただ......
「「ただ?」」
「飯塚にばれた」
そう、今のうちに言っておくのだった。
昼休み、食堂で定例会議が始まった。
俺はそこで司に魔銀の装備を頼んでから、事の顛末を話した。
五分ほどで話し終えたが、二人は頭を抱えたままだった。
「もう、口外しないでくれって頼むしかないかな」
「そうだねぇ」「それしかなさそうだ」
「条件も不可能でなければ受ける、でいいか?」
「「異議なし」」
と、ここでこの話題は終わった。
そこで、ほかに話すことはあったかなと思い出しているうちに、あることを思い出す。
「司、そういえば鑑定、持ってたよな」
「え? う、うん、もってるよぉ」
「俺の両目を鑑定してくれ」
「わかったぁ......って、ナニコレ、魔眼を外から装着......いや、融合させたの?」
なにそれ、気が付かないうちに俺の両目があのコンタクトと合体していたのか?
そりゃああんだけ痛いわけだ。
「いや、俺もよくわからんから鑑定を頼んだんだ。それで、結果はどんなもんだ?」
「えっとぉ、魔力を目に通すと、魔力視と幻術が使えるってかんじかなぁ?にしても良かったね、魔眼の魔法はとっても強いから、応用きく能力で、当たりだったんじゃない?」
「そうか、後でステータス確認しておくわ」
能力はまぁいいんだけど、また魔力依存だから、禁呪が手放せなさそうだ。
俺は言い訳を考えながら、体育へと向かうのだった。
放課後。ついに決戦の時になった。
俺は集合場所である教室へと向かう。
そこには、一足先に飯塚が来ていたらしい。
「ある程度、私の能力に関しては見当ついてるんでしょう?」
そう、いきなり切り出してきた。
ある程度分かっているからこそ、答えを濁す。
「どっちだと思う?」
その時、彼女は苦虫をかみつぶしたような顔をしていた。
やはりか。
彼女の能力は、正誤判定だろう。心が読めるなら、ここまで顔をしかめっ面にすることもない。
と、答え合わせをしたところで、俺は切り出す。
「俺はさ、ひっそりと探索者したいんだよ。間違っても天ノ川みたいな陽キャと一緒に行きたいわけじゃない。どころか、俺はできることならだれにも言わずに探索者をするつもりだったのに、こう簡単にばれてしまうとは......なかなか悲しいねぇ」
「会長にもばれているんでしょう?」
「まぁね」
「よく聞くもの、あなたの話」
「え、なんで?」
「いや、あれ私の姉よ」
「......まじで?」
「いや、みんな気付いているわよ、名前だって飯塚だったの聞いてなかったの?」
「俺その時話を聞いてなかったんだよ......いつ名前聞くかちょっと悩んでいたのに」
「あきれた.......まぁ、姉がずっと君の話をするから、気になったっていうのもあるわね」
「ほう、俺のこと気になったんだ」
「べ、べつに恋愛感情じゃないからね! バッカみたい!」
わかってはいたものの、つい言ってしまった。
しかし、姉妹だったとは......
っと、話が脱線した。
「話を戻すぞ。俺からのお願いは探索者のことを口外しないことだ。」
「いいわよ。その程度」
「......いいのか? 姉と違って代わりにとか要求しないのか?」
「あいつなにやってんのよ......それくらい構わないわ」
「ありがとう、女神様!」
そういうと、俺は法外な約束をされなかったうれしさからそれを言い残すと、すぐに走り去ってしまった。
「女神って、ばか......」
もう少し残れば、このつぶやきを聞けたというのに。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした
セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。
牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。
裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる