魔力極振りの迷宮探索

大山 たろう

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六章 文化祭

そんなこと言われたって

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「さて、今日は敵の進入ルート、それから私の段取りを説明していくわ。」

 そう言って会長は生徒会室に取り付けられたプロジェクターに校内の地図を表示する。

「当日、敵はここから侵入してくるわ」

 そういってマークを付けた場所は部室校舎に取り付けられたトイレだった。

「ここに入ってくる痕跡はないのに、ここから現れる。それが確認できた」

 そう言い放つ会長。だから不法侵入ルートとかで入り込んでくる前に校内にそもそも入れないようにする立ち回りをそもそも提案しなかったのか。
 俺は一人納得をする。

「じゃあ、人質取られる前に撃退は駄目なんですかぁ?」

「ダメに決まってるじゃない、だってなにも犯罪している証拠がないのにこっちが手を上げたら、こっちが犯罪者よ。しかも、こいつらに不意打ちは恐らく通用しない。優秀な斥候がいるみたいだから」

 司の質問に会長が答える。
 実際その通りだ。いずれ犯罪の記録が出てくるだろうが、それでも最初のほうは学生が暴動を起こしたとマスコミに報道されるのが容易に想像できる。

「話を戻すわ。私たちの勝利条件は『運動場での戦闘での勝利』よ。殺す必要はないわ。」

 その言葉に紗耶香は息を吐く。しかし、殺さないとはどういうことなのだろう。実際前回はそれができなかったわけだし。
 俺の疑問をくみ取ったかのように、会長はそれについて説明をする。

「今回、彼らは、どうやら強い人と戦いたい、っていう理由で戦闘をするみたいね。そこでユニークが三人いるこの学校に白羽の矢が立った、ってところかしら。」

 ほう、そうか。あれ、でも司は大手の情報網ならまだしも、そんな野良まで知るほど有名なのか?
 まぁ、人の口に戸は建てられぬともいうし、ばれちまったんだろう。そして大手でけん制しあっている間はまだ大丈夫って感じなのかな?推測の域を出ないが、結構現実味があるぞ。

 そして会長は運動場まで線を引いて、真ん中に点をつけた。

「そして極光の勇者がまず運動場で戦闘を始めるわ。そして負ける」

「負けるのまで決定事項かよ!?」

 俺はつい叫んでしまう。けど仕方ないと思うんだ。これほど無様な勇者がほかにいるだろうか?

「仕方ないじゃない、いくらスキルを使おうが変わらなかったんだもの。っと、そんな弱者は置いといて、そのあとのことが本題よ」

 そう前置きをして、会長は説明を続けた。しっかし弱者て。なんと哀れな......南無。

「あなたたちがいないと、今度は私が殺されるわ。最近これより後の未来が見えなかったのも、これが原因かもしれないわ。これは蛇足だから、また後で説明するわ。それであなたたちのすることは......私の後ろからついてきたらいいわ。登場も派手に行きましょう。なにせ初のお披露目ですもの」

 派手にって......どんな感じで行くのかは知らないが、嫌な予感しかしない......

「条件でこの学校の生徒じゃないと戦闘すらさせてくれないのよ......全く、なんてわがままな奴なのかしら」

 あったこともない相手にそこまで言えるのか......

「とりあえず、敵構成は言っておくわ。盾一人、槍一人、短剣一人、杖一人、弓一人よ。それぞれ職業は重戦士、槍の名手、斥候王、時空魔術師、魔弓狙撃手よ。ほぼ全部四次職、しかも斥候に至っては最終職よ。まぁ、人数制限がないとはいえ、能力は最終職の名にふさわしいものよ、注意なさい」

「ちなみにどんな能力なんですか?」

「能力は二つ。一つは感知効果上昇。その名の通り、感知系スキルに極大の補正がかかるわ。もう一つは『隠密権能ハイドアビリティ』よ」

 権能か......なんかかっけぇ。

「最終職は何かしらの権能を持つわ。ちなみにこの隠密権能ハイドアビリティは使用中に察知されなくなるわ。効果時間は練度次第だけど、一番厄介なのは、権能に対抗するには権能で迎え撃つしかない、ってところよ。」

「マジっすか......」

「正直、勝ち筋こそ少ないんだけど、戦わないことには私と人質が死んでしまうのよね......だから明日は、頼んだわよ」

 そう、上目遣いで言ってくる会長。身バレはもうあきらめたし、なぜか死ぬ可能性よりも、派手な登場に思考を向けてしまっている。というよりこれで死ぬ心配はない、とでも考えているのだろうか。ここまで信頼されると、俺は腹が痛くなるのだが.......

「それじゃ、解散!」

 上機嫌な会長。俺は会長に少し時間を、というと、「わかったわ」という返事が返ってきた。

「先、帰っておいてくれ」

 そう三人に告げると、何か納得しない様子で生徒会室を去った。

「まぁ、重い内容ではないですよ、鑑定の依頼だけです。」

「そう、それは良かった。何を鑑定するのかしら?

 俺は魔銃と弾丸を渡す。

『のうのう! やっと戦闘かの! って誰じゃ! わらわを手放すのか! やめるのじゃ、早まるでないのじゃ!』

 騒がしい魔銃を無視して俺は会長に渡す。

 体から離れた瞬間に声が聞こえなくなった。まぁ、離れても声が聞こえたらちょっと引くわ。

 とか考えているうちに、会長の鑑定が終わったようだ。しかし、先ほどとは違い、どこか浮かない顔をしている。

「まず、この銃ね。『知能ある武器インテリジェンスウェポン』らしいわ。まだ二つしか確認されていない、レア物ね。魔力を込めると、この回転式弾倉に六等分されるみたいね。そしてこの銃、実弾も撃てるわ。そしてこの一つだけ赤いところなのだけれど......」

 会長が魔銃を俺に渡した。確かに、弾のところが一つだけ赤くなっている。これがどうかしたのだろうか

「これは本当は教えたくないのだけれど......教えるわ。ここに、さっきの弾を込めてあなたの魔力をしこたま込めて、撃ちだすと、神をも殺せるわ」

 いきなりそんなことを言い出した。前置きからして嘘は言っていないのだろう。
 しかし会長は「けれど」と言葉をつづけた。





「けれど、これを使ったが最後、あなたは蘇生も効かずに死ぬわ」
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