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七章 試練
第二段階を得ようとも、爆発魔法を使えても
しおりを挟む私たちがご飯を食べていたころ。
おかしな魔力の動きは......ビンゴ。
中央にある最初に行ったジェットコースターの駅の中から。
目を凝らし、中を見る。
そこで魔法を展開していたのは、昼休憩と言って裏へと回っていたあの特徴的な話し方をする係員だった。
私が絶望を伝えようとしたがシカトしたので頭の中に残っている。
展開場所はジェットコースターの係員向けに作られた簡易休憩所。ジェットコースターの鉄骨を縫うように製作されているその休憩所は、もし鉄骨が倒れても大丈夫なように出口をしっかり作っているようだ。
その中で物理的に魔法陣を書き、展開しているようなので、拓海に頼んで破魔をかけてもらうとしよう。
私は『視ルハ真実知ルハ虚実』を解除すると、拓海に電話をかける。
実は何度も電話をかけようとして、結局かけることができなかったというつらい過去があるのだが、それが今役に立った。
電話帳を探すより早く電話番号を手打ちしていく。
数コールで電話がつながり安堵した。
「もしもし拓海、どっちか最初のジェットコースターへと向かって。そこにこの檻の魔法陣があるわ」
「了解、俺が向かうよ」
「うん、私も向かうから」
「わかった、あとでな」
電話が切れる。一緒にあって話すのは楽しいが、電話もまた違った趣があっていいなぁ......顔のにやけ具合を隠さなくていいところとか楽だし。って、これじゃ彼にベタ惚れみたいじゃない!
顔を一気に赤くしたものの、涼しい風で心を落ち着かせ、ジェットコースターへと走っていく。
先についたのは紗耶香だった。
魔法陣のもとへたどり着くと、そこには魔力を充填していた魔法使いの係員がいた。
「あなた、よくここがわかったわね。大方この魔法陣が目当てだろうけど、そうやすやすとわたさないわよ」
そう言って係員は背中から指揮棒ほどの長さの短杖を構えた。
私も手に付けた指輪を握りしめる。
室内戦、しかも鉄骨の下のため、爆発系統の魔法は控えないといけない。
ここから離れて倒すか、ここで苦手ではあるもののほかの魔法で倒すか。
さて、二つに一つだが、相手もここで戦うことにリスクを感じているみたいで、魔法陣を背にしている。ここから離れたいが、離れられないという心情かな。ここはとりあえずここで戦闘を組み立てよう。
「『鎌鼬』!」
少し苦手だけど、これしかない。
属性魔法 風属性中級魔法 『鎌鼬』
この魔法は、風を操作しているわけではない。
魔力を放出し、それを刃の形へと操作する。そこに属性文字 風を組み込む。
これを複数一気に作り出すのが鎌鼬。
人の体も無防備なら一撃、無理でもある程度のダメージを期待できる。
そしてこの魔法の特徴として、斬撃を放つわけだから、壁などを魔弾などに比べ貫通しにくい。
ここで魔法陣を停止できれば。そう考えていたが、やはり相手もこんなことをしでかす相手。腕には自信があるらしい。
魔力を放出、それを固定させて製作したのは障壁。
いつも拓海の使う魔法刀身と同じ魔法文字を使うものの、若干発動形式が異なる。
拓海もこの魔法、覚えればいいのにって前言ってみたら、「そんなの展開してる間にやられちゃうよ」と返された。ステータス低いのにどうしてそこまで無理をするのだろうか......っと、いけない、先頭に集中しないと。最初は腹の探り合い見たいな感じで小手調べのような魔法ばっかりだけど、いつ仕掛けてくるかわからないし。
さっと意識を切り替え、紗耶香は鎌鼬を三発放つ。
しかしやはりというか。展開された障壁に阻まれる。
しかしどうやら相手は知力ステータスの限界なのか、魔法の維持に必死で攻撃をしてくる気配がない。どうやら時間稼ぎが目的のようだ。
さっさと倒して敵の陰謀を、と思ったが、障壁を展開されているから、私にも打てる手がない。
結局、私は拓海に頼るしかなかった。
もう行かないでと言いながら、いざというときに彼の力を頼ってしまった。
紗耶香は、ふがいなさに顔を曇らせるのだった。
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