魔力極振りの迷宮探索

大山 たろう

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七章 試練

耐久試練

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 紗耶香から電話があったので、逆方向へ射出していた俺はすぐさま逆方向へと舵を切る。
 一気に反対方向を向いたので、ものすごい力が俺にかかったが、無視して進む。

 あぁ、こういう時障壁を習得しとけばッて思うんだよな.....魔法刀身と一緒ってのは知ってるんだけど、いまいちピンとこないんだよなぁ。

 ともかく、急いで『隠密』を起動してジェットコースター下の休憩室へ。

 もういっそジェットコースターごと吹き飛ばせば、なんて考えるも、中に紗耶香がいたら一大事だと気づき手を引っ込める。

 そろりそろりと中に入ると、魔法陣を障壁で守る......ジェットコースターの人じゃん! マジかよ! しかも紗耶香いるじゃん、あぶねぇ! っと、行けない、平常心。
 後ろに回って魔法陣をぶち壊すと、さっさとその場から撤退する。

「フフ......最低限は......」

 感覚強化で聞き取れたその言葉が、俺の嫌な予感を証明するかのように響く。

 悪戯に、いたずらに。その言葉と俺の言葉を証明するように、この事件が顔を出した。



 俺は予感の伝えるがまま、空を飛ぶと、俺の平均的な視力ですらとらえられるほどのものがこちらへと迫っていた。

 魔物だ。しかも結構な上位層のやつまで混ざってる。うっわ、後方にはドラゴンかよ!


 一直線にこの遊園地を目指して、魔物の大群は進軍する。

 まるで、敵国の城の中の姫の首を、と考えているようなその野蛮な目は、ただ、ただただ一点を見つめている。

 こいつらは何を見つめているんだ......?

 しかし、今は関係ないと頭の隅に置いておく。隅に置きすぎてもはや隅じゃなくなっていそうなレベルで思考がそっぽを向くからな......

 よし、とりあえず殲滅してから考えるか。


 俺は魔弾を構える。ただひたすらに空中に魔法陣を。

 俺だけだとどうしても展開速度には限界があるので、ちゃんと二人でやっている。もちろん双子座ジェミニだ。

 ゲートをくぐって、侵入を図る魔物を片っ端から魔弾で貫く。

 もうこれ技でいいじゃん、ってレベルまで完成したこの魔弾の連射。

 名付けるとすれば、何だろう。ずっと続けるのだから、インフィニット? それともアンリミテッド? それを加えずに技名にするか?うーん、考えれば考えるほど楽しくなってきた。よっしゃ、このまんま撃ちまくるぜ!

 経験値も三人パーティーの二人分をもらっているので、結構レベルが上がっている。

 魔力だけはレベルアップによる回復(とはいっても全回復ではなくレベルアップ時の上限上昇分)が今は速さ的に上回っている。

 行けんじゃね、

 それが恐らくフラグだったのだろう。
 俺だって油断していたわけではない。

 しかし、空からワイバーンみたいなやつが火を噴いて俺を殺しやがった。

 幸いというか双子座ジェミニから復帰できたのだが、ほかのやつだったら即地獄か天国か異世界だろうよ!

 それほどに高火力だった。

双子座ジェミニ、お前、空のほうがいいよな?俺陸行くから、空行っていてー』

「あぁ、わかった」

 俺たちは結構な量の魔物を倒した。

 倒して、倒して、倒して......

 千を超えたころから数えるのをやめた。

 夜が更け始めてから時計を見るのもやめた。

 眠らず、いや眠ることを許されず、ただひたすらに魔法を撃ち続ける。

 集中が切れればそこが命の切れ目、魔力が切れても命の切れ目。

 いつの間にか入場ゲートは形を失い、ただ壁に阻まれた魔物が内側を通り抜けるだけと化していた。

 しかし、俺は防衛ラインを下げない。

 ここから下がると、どこまで拡散されるかわからない。

 今集中して倒せるならそれに越したことはない。

 撃ち続け、撃ち続け、撃ち続けた。


 火曜日、昼。

 ステータスを持たない人たちが非常用の食料を食べていた。が、俺はまだ食えない。ここから離れると誰かが死ぬ。それは避けたい。

 紗耶香が学校に電話をしようとしているが、つながらないらしい。

 そもそもなぜ探索者ギルドはこんな状況になってもここの救援へと入らないのだろうか。

 探索者ギルドへの不信感が募りだしたころ、俺はもう敵の兵が薄くなってきたことに気づく。

 もうすぐ、もうすぐで終わりを迎えるのか......



 しかし、その程度で敗れる軍隊ならとうの昔に崩壊しているはずだったのだ。

 最後に現れたのは、竜だった。

 ワイバーンではない、ドラゴン。体表に白いうろこをつけ、頭には一本の大きな角。

 そして体に白に近い黄色のオーラ。

 十中八九、九十階層ボス級であろう。

 一度だけ発見報告があったその魔物は......エレクトロ ドラゴンみたいないわゆる雷属性に突出したドラゴン。


 極度の疲労がたまっている中、こんな魔物と戦うなんて......少しどころじゃない、無理がある。

 それでも、生きるのをあきらめない。リア充になってそのまま二回目のデートで文字通り爆発するなんて嫌すぎる。

 方法を、方法を。

 打開策を求め、ただ周囲にあるものを見つけ、しかし浮かんで来ない勝ち目に絶望を隠しきれなかった。
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